第43話大会に向けて
「スズキさん、少しの間ですけどお世話になりました」
荷造りを終えた、アユムはこの国で一番お世話になったスズキにお礼を言っていた。
「賑やかだったけど、君たちが出ていくと寂しくなるね……また縁が会ったらその時は僕にアユム君の武器を作らせてよ」
「勿論です!」
スズキと火竜のライと別れたアユム達は、朝一にムラサメの知り合いである商人の馬車で和の国を出発した。
一時は大会巡りを断念したアユムだが、スズキの助けでライを迅速に助けれたこともあって、大会巡りをすることが可能になった。
「その大会に出たら、何が得れるんだ?」
「そうね、大会ごとに貰えるものは違うけれど。1つ言えるのは」
「その大会で優勝した人はこの世界で一番強いって言えるのかな?」
「一番……」
「ご主人様は一番強いよ!」
「ア、アユムさんは私のヒーローですから」
「そうね、お弟子くんは強い。けど、大会の出場する人は全員同じ人間と思っちゃだめだよ」
じゃあ、その大会で優勝したら実質世界最強か……俺がお金や名誉より欲しい最強の称号。
強くなかったら、守れないんだから大切な人達を…異世界にきたばかりの頃は弱かった。
けど、今の俺なら大丈夫。
「お弟子くん、真剣なところ悪いけど大会は四大会あるからね。その、四大会の成績優秀な人だけが参加できる大会で優勝出来た人が世界最強だからね」
「まぁ、私みたいに出ない人もいるからあくまでってところもあるけどね」
ムラサメが出たら、勝てる自信ないわ。
でも、その大会で優勝出来たら違う世界が見えるのかな……俺が一番強かったら俺の大切な人達くらいは守れるよな。
「大会って、四大会連続であるのか?」
「いや、三ヶ月に一回で一年で四回だよ」
「じゃあ、俺がこれから向かってるところが初めの大会開催地ってことか」
「正解! 私のお弟子くんなら余裕だよ」
「私のは余計だ、余計」
和の国から出発して3日経った。
3日の間アユムは襲ってくる理性のない魔物を倒したり、フェンとライと遊んだりと変わらない日常を送っていた。
比較的過ごしやすい温度だった和の国から次の目的地に向かうと次第に周りの気温が上がってきて、ジッとしているだけで汗が滲み出るほどだ。
暑い、俺は暑いのが苦手なんだよ……出てくる魔物も暑苦しい姿で火を使ってくるし。
「ご主人しゃまぁ、暑いよ」
フェンは狼の姿は暑いのか人間の姿になり、服は脱いで肌着だけの状態になっている。
モンスターも暑いって思ったり、するんだよな。
意思疎通できるフェンだからわかることだけど。
アユムが考え事をしている隙にフェンはひんやりするのか、アユムの滅龍刀・氷柱の鞘の部分を抱き抱えて横になっている。
「こら、フェン。刀で涼むのはやめろ、怪我したらどうするんだ」
「えぇーー。ご主人様のケチ、それに怪我しても治してくれるんでしょ?」
素直だった、フェンも今ではこんな我がままワンコに。
「アッハッハ、お弟子くんはフェンちゃんに振り回されてるね。慕ってくれてないと、そういう事は起こらないからね」
いいことだよとムラサメは言った。
「慕われてるのか舐められてるのか、まぁどっちにしろ可愛いので許せますよ」
アユムが可愛いと言ったときフェンの顔がにやけていたのを知っていたのは横に座っていたライだけだった。
「ムラサメは、大会に出たことはあるのか?」
「うん、出たことあるよ。負けちゃったけどね」
「負けたのか……ムラサメを倒す相手ってどんな化け物だよ」
「確かに化け物みたいに強い男だったよ」
「確か《破壊者》って通り名があったような」
それって、あん時の洋服屋の店長じゃねーか!!
思いもよらぬところで、知っている人物の名前が出て驚いたのと同時に、あの男ならありえると納得した。
「力に技術で対抗したのだけどな、化け物じみた力の前では私は無力だったよ」
「まぁ、悔しくないって言ったら嘘だけど……そのおかげで、もっと強くなろうって思えたから。結果オーライってやつだよ!」
やっぱり、俺が出る大会には化け物じみた人ばかりが出るみたいだな。
負けられないな、男として大陸最強の名は貰う。




