第27話 オークの降る夜
―― 王都南西の森 ――
「やっと終わったわ。すっかり暗くなっちゃった。リルガちゃんもお疲れ様」
「……がんばった!!」
ふんすとガッツポーズを決めるリルガ。
『マスター、目尻が下がりすぎて人に見せられない顔になってますよ』
(だってぇ、可愛いじゃない)
「……おい、終わったのか? てか、すごいなお前ら……。うぇっ!」
早々に無理ゲー認定をしたアベルは、ランス達がオークと戦っている間、ずっと意識の向こう側にトリップしていたのだが、戦いが終わったことで意識が戻ってきた。
意識が戻って初めて見た光景……、首なしオーク達がに木々に逆さに吊るされ、風にゆられてぶーらぶら。
『残酷描写ですね』
(あら、保険に入っているから大丈夫よ)
「あ! アベルちゃん、吐くなら向こうでお願いね!」
結局、オークの数は10匹に及んだ。
オークの肉は王都でもかなり高値で売れるため、放置するのももったいない、万が一アンデット化をした場合を考え、ランスは回収することを決めた。
オークの肉を良い保存状態で維持するためには、血抜きが必要になる。
ランス手馴れた手つきで枝ぶりのしっかりした木を選んで首をはねたオークを逆さづりにしていく。
ぼたぼたとたれる血が他の魔物を寄せつけるため、リルガがバケツをオークの下に置いていく。
あとは、血の臭いを魔道具『ファブリー●』を使って消臭していけばしばらくの間、他の魔物も寄ってこないだろう。
「うっぷ……、お前たちオークって喰えるのか?」
「ええ、美味しいわよ。オークをお土産にアベルちゃんが謝罪すればギルドの皆も許してくれるわよ」
「……食べないと人生損する」
「ていうか俺の収納だと頑張って1匹しか入らんぞ?こんなにどうするんだ?」
「え? 策はあるわよ! あ、リルガちゃん、この防護布でオークを1匹ずつ巻いてくれる?」
「……らじゃ!」
「それじゃ、アベルちゃんは1匹だけ収納してもらえる? それは冒険者ギルドへのお土産にしてね」
「お、おう。ていうか俺は何もしていないぞ。貰ってもいいのか?」
「新人のお手伝いだし、これから冒険者同士、仲良くお突き愛、しましょうね」
「なんかニュアンス違くないかっ!?」
『無意識でしょうけど、アベルさん、お尻を手で隠しましたね』
「……さぁて、リルガちゃ「おい、本当にお付き合いだよな? なっ?」んの準備も終わったし帰るわよ。あとは帰って寝るだけだし、……【慈悲眼】っ!」
「……ごくっ!」
「ひいっ、オーク! いや、ゴリラだっ!!」
「誰がゴリラだゴラァっ!! 掘るぞ!」
『普通そこは埋めるぞとかでは?』
(うっせぇ!)
「ひいっ、ごめんなさい……」
「簡単に説明する。今から王都に帰る。
リルガたんと坊主は俺にしっかり捕まっていろ。以上だ」
「ちょっ、説明そんだけぇ?」
「おい、逃げんなっ」
がしっと首根っこを捕まれアベルは逃げられない。
「リルガたん、おいたんにしっかり捕まるんでちゅよ~♪」
「……ランス、普通に話して」
「ぐっ、わかった。それじゃ行くぜ! 物理タオパ●パイーっ!!!!」
説明しよう!!
物理タオパイパ●とは、9匹のオークを王都に向けて思いっきりぶん投げ、そのうちの1匹に自分達も飛び乗って帰る技である……!!!!
「異世界もうやだぁ~っ!!」
静寂の森にアベルの声はむなしく響き渡った。




