第23話 おネエさんと一緒
―― 冒険者ギルド ――
いい年をした厳ついおっさん達が泣きわめく阿鼻叫喚の光景に、ランスはとりあえずリルガの耳をふさいで聞こえないように努力した。
しかし天狐族の聴力は良い、良すぎる。
「(……コーン)」
「(そうね、可哀想よね。みんな、このアベルちゃんが心配だったから言ってたのに)」
「なっ、なんだよ。俺は間違えたこと言ってないぞ。てか、言葉の暴力でテンプレ処理とかないわ」
ランスとビージンからのじとっとした視線に耐えられない。
「んで、このクエストは受けていいんだよな?」
「むむむむ……」
味方がやられてビージンは黙りこんでしまった、このまま受けさせて問題があった場合、ギルドマスターから叱られるのは自分なのだ。
それにオーク討伐は時間がかかるとオークが強くなっていくため一発で解決してほしい。
「ふぅ、……ビージンちゃん、それじゃ私が一緒に行ってあげるわよ」
「ランス様っ! よろしいんですかぁっ!!!!」
「おいっ! あんた勝手に決めんなよっ!!俺は一人で大丈夫だっての!!」
「アベルちゃん、ちょっといいかしら?」
「なんだよ? 俺は間違ってねぇだろ?」
いいからいいからとアベルを壁際に連れていき小声で……
「(あのね、嘘をつくんならギルド内の暗黙のルールまで頭の中に入れて欲しかったわね)」
「っ! …………嘘だと? な、何を言っている。
さっきあいつらの質問にも答えただろうが!」
「(そうね、ルールが頭の中に入ってることは良いことだから見逃してあげる。
ただね、登録したてのルーキーにソロ討伐なんかさせたらビージンちゃんがあとで叱られちゃうの!)」
「そんなの関係――――」
「(無いって言うのならもう一度きちんと説明を聞いてもらうわよ。……ゆうちゃん?)」
「おまっ! あんた……何者だよ」
本名を言い当てられて目を大きく見開いた。
「(さっきも言ったけど、私はただの冒険者よ。
どうするの? 共闘が不満なら貴方が危なくなるまでは、私は見てるだけでもいいわよ)」
「……わかった。どうやってるのかね、俺のスキルのことを知ってるみたいだな。
それじゃあんたは俺がソロでやるのを見ててくれ。
それで問題なければそこの受付嬢に今後は俺の行動に口出すなって言ってくれよ」
「ビージンちゃんはちゃんと仕事をしているだけよ。でも、いいわよそれで。
それと……アベルちゃんの秘密は口外しないから安心してね」
パチッとウインクを飛ばすがアベルは大げさに身を退けぞらせて避けた。
──ごつっ!
「あらぁ、大丈夫?」
「……誰のせいだよ」
アベルは頭をさすりながら受付のビージンに話がついたことを説明し、オーク狩りのクエストを受けることができた。




