第40話 戦術盤IV
「あなたは誰?」
アキトは思わず声を上げる。
「誰とは?」
アリアが首を傾げる。
「にいに…」
ルナは不安な顔でアキトを見つめた。
「すみません」
アキトはとっさに答える。
声はアキトの脳裏に語りかけてくる。
『驚かせてすまない、アキト。自分はアキトの剣に宿る者、仮にサネユキと名乗っておく。アキトに聞きたい。アリアに勝ちたいか?』
アキトは少し思案して答える。
(勝ちたいです…)
『アリアが言っていることも間違ってはいない。血を流す道をあえて進む必要もない。ここで勝てば、流血の道を自らの意思で進むことになる。それでも勝ちたいか?アキト』
(二度とエリナ姉さんやカイト兄さんのような悲劇を生み出さないためにも…)
アキトは強い意思をもって答える。
(勝ちたい!ここで勝たなければこの国の理不尽さを正すことは出来ない!!)
『わかった。ならば自分もアキトを助ける』
『彼女は兵の使い方に関しては天才的といっていい。実戦で兵が指示通りに動くかどうかは別の問題だが、自分が対峙して陸戦で勝てるのかといえば、その勝率は一割もないだろう』
(今回はなぜか陸戦ではないけど…)
『そのとおり。幸い海戦マップとなった。海の戦いは陸とは違う、そこに勝機がある。アキト、長門を中心に置き船を一列に並べるんだ』
(わかった、サネユキ)
アキトは長門を中心に駒を並べ始めた————
◆ ◆ ◆
「こちらは配置をすでに完了しています。少年まだですか?」
「少し待ってください」
アキトはサネユキと思念で会話をしながら慎重に駒を配置している。アリアはすでに布陣を終えている。
戦術盤はかなり高価な魔道具なんだろう。人の思念を読みとり戦場を形成する。そして、索敵されるまで相手の駒を見ることはできない。
数分経過————
「配置完了しました。アリアさん」
アキトがアリアの目を見て言った。
「では、はじめようか、少年。これで負けたらわかっていますね?」
アリアは念押しする。
「はい」
アキトは頷く。
「アキトさん、今度こそ私の仇をとってください」
「にいに…がんばるの」
メリダとルナがアキトを応援する。
「私は皆さんの嫌われものになっていますね」
アリアは目線が少し下がる。
「しかし、少年のために私は負けるわけにはまいりません」
アリアは顔を上げた。
アキトの艦隊は長門を中心に一本の線のように進んでいく。
前方を中心に斥候駒である魔女を移動させて索敵を行いつつ単縦陣ですすんでいく。
しばらくするとアリアの魔女駒がアキトの艦隊の前を通過した。
『この進路を読まれているとは…』
サネユキは驚く。
続く




