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盗賊稼業も楽じゃない!  作者: 北極えび
第二章 ー古代の暴君ー
52/345

再度、古怪の館へ

登場人物


リシュ・レミルトン 駆け出し盗賊

リティア・ウィンフィールド 先輩 背後からの刺客

シンシア・ルフィン プリ盾系ゆるふわ姉さん

アリッサ・ハーメイ 放し飼いサモナー

ララ・ヘルミナ お子様メイジ

ジーン・トアロ 盾なしウォリアー

マリア・ヴェルナーデ 螺旋階段

ジェフリー マシュマロボディ

ルーファス 大剣メイジ

ティアナ 意識高い系のプリースト

ウォーレン・ジーク シーフのマスター

 遠隔用の武器を考えておきなさい。そうララ先生に言われたので、俺は道具

屋でクロスボウ用の矢を数十本購入して、相手から離れた場合の武器をクロス

ボウにしようと思っていた。近接で近寄るので肩から掛けていても邪魔になら

ない方が良いと先輩から聞いた事もあって、家に置いてる長弓を取りに行かず、

クロスボウを選ぶ為に武器屋へ。先輩達はよろず屋で補充すると言って別れた。


”そういや先輩どーするんだろ。ギアリファクターでチェンジするのかな”


ーおおよそ40分後 古怪の館前ー


 何を購入したのか先輩達に聞いてみたりしてると、錬金術で使う素材や魔力

回復とかのポーション等。そういえば俺、体力回復2本しか持ってなかったわ。

 魔力は必要ないし、危なくなったらステルス使ってゴキュゴキュすればいい

と思っていたので一番安いヤツを所持してたけど、まだ使ったことがないや。


”アルケミストって補助系っぽい印象なんだけど、攻撃スキルはなさそう”


 蒼の洞窟で先輩とジーンが2人して調味料みたいなモノとか作ってたしな。

アレで攻撃系をイメージとか出来ないって。胡椒なら投げつければ何とかデバ

フになりそう。そう考えていたらアリッサとララの姿っぽいのが見えてきて、

何ていうか2人ともお洒落なんだが、これから戦闘行くっていうよりパーティ

へ向かう的な?俺とジーンと先輩との対比が凄い。シンシア姉さんはまた別。


「あっれー、皆早いねー。もう待っているって思わなかったよー」


「いやいや、遅いと思ったらメイジの正装かいな。さすがに手抜きじゃ相手に

 失礼やし蒼の時も着て来たら良かったのに、何でなん?」


「あの時は洞窟内は寒そうだから嫌ってアリッサが言うから適当な厚着だった

 のよ。私もそれに乗ってしまったけれど」


「・・・(着ぐるみを思い出す、俺と先輩とジーン」


 俺達の前に来た2人の姿に先輩が”メイジの正装”と口にしていたけど、

これがっ?正装って正式な場所に行く時に着るヤツだよな。

 メイジでの「フォーマル」と呼ばれるドレスコードがパーティに行く感じ

なんだが、ララはボレロ服という物でアリッサがラッフルドレスというのだ

とシンシア姉さんから教えてもらった。ええっ、やはり”正装”なんだ。


”俺、ジーン、先輩だけ何か違う。力仕事の為に炭鉱へゴーみたいな”


「あー。でも蒼の時、リファで着替えようかなって思ってはいたよ。

 寒くて断念したけどさー。あれは反則だよねー。洞窟が冷たいなんて」


「そ、そうなのか、確か蒼の中は時期によって違うと聞くが、俺達が向かった

 時は色々あり過ぎた。洞窟内で土砂崩れに巻き込まれなかったのが幸いだ」


「そうやなー。タイミングが悪かったと思うけど全員無事やったもんな」


 アリッサの話しを聞いていて、そういえば街で俺と出会った時にララから

洞窟内部は温度差があると言ってなかったけ?と思い出したけど、本人はオ

ヤツに夢中だったわ。洞窟温度<お店でお茶の方が優先度高かったのだろう。

 ジーンがアリッサの言葉をフォローする様に、俺達が向かったのは運が悪

かったと話している。そういや初めて行く場所でネームドとも出会ったな。


”そう考えると色々な偶然が重なって、ああいう運だったのかとさえ思う”



 少しだけ話し合った後、先輩を先頭にジーン、シンシア、アリッサ、ララ、

俺の順番で再度あの館に足を踏み入れたのだけど、ついさっきと様子がかなり

違う事にシンシア姉さんと俺は気づいた。何て言うか、元々荒れてはいたが、

出る時の壊れ具合より酷くなっているという違和感。それをシンシア姉さんも

感じているのか、顔つきが不安そうでジーンと先輩に説明しようとしていた。


「何だか、さっきミッションを行っていた時と様子というか雰囲気が違う様な

 気がしませんか?空気も冷たくなって昼間より肌寒い程」


「そうか?元々、これくらい荒れていた場所だと思うが」


「うーん、まぁ。うちら入るまで時間あったから他のパーティーが来てたん

 ちゃうんか。といっても紫蜘蛛見て逃げ出した可能性あるけどの」


 シンシア姉さんが何かを先輩達と話していたけど、俺の方からじゃ遠くて

内容までは分からないが、先輩が立ち止まったという事は何かある。

 パーティーを先行するシーフは、先にある程度どこまで偵察するのか話し

あって、ほどんどが女神像を目印に、偵察してモンスターの位置、罠を確認

した後に戻って、他のメンバーと盾役が先頭になるのか決めるのだと言う。


「そう言われれば、そうですね。時間が経っているのですから、他の方々が

 同じミッションを行っていたとしても不思議じゃないですね」


「なるほど、ついでに逃げ出すじゃなくて、倒してくれていれば御の字なん

 だが、そうすれば対象の蜘蛛のみになるし、皆で夕飯を食べる時間もある」


「あははは、それやったら報酬で奢ってーな。さて、女神の場所は分かった

 からうちが先に見てくるわ。アイツが居たら、その場所を確かめないとの」


 え?あれ、先輩が単独で女神前で祈った後に奥の通路へ向かっていった。

何だか先輩が俺達から離れる前にジーンに笑いかけ、それで任せてくれみたい

な風に見えたんだけど、何があった?先輩だけで偵察へ向かったっぽいけど。

 こういう場合って後衛にいるシーフってどうするんだろ?今度聞いておか

ないとなー。前へ出て、前衛になるのなら先輩がこっちへ来いというハズ。


「どうやらリティアが先行して探るみたいね。貴方たちが此処を去って時間も

 経っているのだから、ミッションをしている他のパーティーがいるかも知れ

 ない。それにアレニェがドコにいるのか、腕の良い上級者がミッションにつ

 いてるパーティーだと倒されている可能性もあるわ」


「えー、そんなパーティーあるの?それじゃぁ、私が向かうまであの蜘蛛さん

 生きてないかも!お願い!残り体力1でもいいから生き延びてて!」


「もう瀕死じゃないっすか、それ。床に足が挟まってコケただけで消滅しそう

 な勢いなんですけど。アリッサなら躊躇なさそうにトドメ刺しそうで怖っ」


 俺やアリッサより遥かに経験があるララ先生から先輩が先に調べて、アイツ

の居場所を探ってくると聞いたけど、アリッサは腕の良い上級者の事が気がか

りになっていて、ララ先生からそういうパーティーはメンターという制度を利

用していると説明されていた。っていうか高レベルの上級者と居るのは俺達も

そうだと話したらアリッサは妙に納得したのだけどメンター制度は使ってない。


「なんで使わないのですか?これといった理由があるのなら聞いてみたいの

 ですが」


「場合によるのよ。私としては蒼の様な特例だと使うけど、今回は紫オーラが

 対象。討伐目的なら使わないわね。でも中にはメンターを使って連携の練習

 を目的としたパーティーもあるから一概に討伐目的のみとは言えないわ」


「うーん、連携のれんしゅーってどんな事をするのー?ララちゃんがたまに話

 すヘイト管理だっけ?それに関係してる?」


 先輩とララ先生。戒律も違えば、先生は本来の年齢も分からないので、

ともかく先輩より経験がありそうとは思っていた。そんな人がメンターを使

う場合と使わない場合。その理由が知りたくて聞いたのだけど、なるほど。

 メンター側の利点はクラスアドバンスメントと呼ばれる特殊な経験が得られ

る。これはメンター側にならないと分からない事で、今の俺には早すぎる。


「メンターの概念にはレベル差を平均にして一緒に冒険というのがあるの。

 上級者からしたらお手伝いになるワケだけど高レベルが一掃してしまったら

 初心者は何も得られるモノがない。上級者の戦い方を肌で感じる事が出来る

 その制度がメンター。他にもあるけどね」


「詳しい説明を有難う御座います。俺にはまだ早すぎますね。さっきアリッサ

 がヘイトの事を話してましたよね?魔法職でも管理するんですか?」


「なんだっけ。私の火力がどうのこうの言っていたのを覚えてるんだけど、

 まだ装備が気に要らないから、あんまり気にしてなかったんだよね」


 まあ確かに、ララ先生の話す通り。レベル差のない上級者と一緒なら

低レベル帯のモンスターなんて見てるだけになるし。こっちとしても一瞬で

片付けられたら立ち回りを覚えるとか無理っスわ。あれ?でもちょっと待て

よ。今現在はどうなってるんだ?紫蜘蛛相手だし、さすがにメンターは。


「そうね。基本と云えば語弊があるかも知れないし驚くと思うけど、本来は

 シーフが担当するの。でもあくまで基本ね。その応用が盾職。アリッサの

 場合、これからの事を考えたらヘイトを渡す方を取得しておいた方が無難

 なの。どういった立ち回りを行うパーティーに属するかにもよるけどね」


「あ、その事はチラッとだけ先輩から聞いた事がありますよ。シーフでしか

 ヘイトを受け渡しするスキルを取得出来ないと。最初に聞いた時は驚きより

 意外過ぎて、何故?という疑問しか浮けばなかったですけど」


「うーん、何だかモヤっとするものがあるけど。持っておいて損はない感じ

 なのかなー。まだ先の事は分からないやー」


 正直、少しドキッとした。魔法職でアリッサの先輩に当たる人がシーフの

スキルというを知っていた事に。見た目が子供なのもあって、何でだか自分

でも分らなかったが奇妙な程にギャップが有り過ぎたせいなのかも知れない。

 ヘイトコントロールの事に関しては先輩からチョコッとだけ聞いた程度だっ

た。シーフへ転職して来るほとんどの人が取得した後、また転職するからと。


”それもあって盾職タンク目指す人が取るって印象が強いんだよなー”


 まあ盾職でも取ってないヤツと出会ってるし。シンシア姉さんみたいに取得

してる人もいるから、もーよく分からない。モヤッとしたとアリッサが話して

るので、使える様にした方がいいのか微妙という感じさえある。

 俺としても先輩が取得してないっぽいので、後でもいいやーと考えている。


「今はまだ意識しなくても、高レベル帯でヘイトとデバフをコントロールする

 シーフはデバッファーと並んで貴重な存在になると覚えておいて」


「え?高レベル帯だとデバフすらコントロール出来るのですか?」


「そう、デバフの受け渡しも出来る様になるの。主にヒーラーから吸った後、

 モンスターや耐性のある盾に投げてヒーラーの負担を減らす。特に沈黙や

 石化といったのを自身で受けて、パーティー全体の現場監督的な立場まで

 使いこなし、火力も高いシーフだと相当な手練れとして重宝されるわ」


 この話しをララ先生から聞いた時、デバフをコントロール出来ると先輩から

聞いた事がないので信じられなかった。具体的なスキル名を言わなかったけど

シンシア姉さんとのプリ盾に関しても詳しかったし、本当の事なのだろう。

 となるとシーフの役割って、俺が思っていた以上にパーティーとして活動

してる人はソロよりも幅広い視野と状況判断が必要となる。


「なーんかレベルの高い場所になると色々大変そうだねー。宝箱を開けるのは

 面白いと思ったんだけどなー」


「そ、そうっスね。俺もデバフまで扱えるとは思ってなかったよ」


 デバフコントロールという想定外の事を聞いてしまったので、その事を考え

ていたら近くに居るアリッサが大変そうだねー。と他人事で呟いていて、本人

は宝箱を開けるのはいいけど、それ以外は興味がないご様子。

 コヤツはメイジの魔法で失敗してるのに懲りてないわ。アレはたまたま運が

なかっただけ。次は大丈夫という謎の自信があるような表情をしてる。



 先輩が探索へ向かった後、数十分くらいした頃だろうか、俺達が出会った

場所に居るのかも知れないと思って、先輩が行った場所と反対の方を見て来よ

うとジーン達と話していたら、丁度先輩がその方向から戻って来た。

 余りにも普通過ぎる様子なので、もう倒されているかもと思ったりしたが

どうやら俺達が戦った廊下側じゃなく、奥の方で動かずに回復中っぽい。


「まあ、前より大きくなっとるな。それと他パーティーも戦ってたみたいや。

 使い終わった回復薬やら比較的新しい傷が部屋の至る所にあったしの」


「なるほど、しかし奥というのは窓側の部屋なのか?俺達が出会った場所よ

 りも相当移動しているな」


「そうやで入口から左に行った一番奥や。ジーンと出会ったのが右からなら

 さらに奥の方に中央へ繋がる通路もあるけ、最初はソコにおったんやろな」


 戻って来た先輩からある程度の情報を聞いたのだけど、やはりさっきまで

どっかのパーティーと戦っていた様だ。それで奥の方まで行ったのか分から

ないが、部屋自体は大きさのある造りだと言うので、回復を待たずにこのま

ま特攻した方がいいと皆で判断した後に、シンシアから何かしらの保護魔法

を受けたジーンが先行して、アレニェと再戦の火蓋が切れようとしいた。


お読み頂き有難うございます。

拙い文章ですがマイペースに更新しているので宜しくです。

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