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0,それぞれの始まり

コーヒー屋がAIと一緒に作った本格ファンタジーです。よろしければ最後までお付き合いください。

プロローグ


――遥か昔。


この世界〈イディア〉には、すべてを創り出した女神が存在した。


女神イディアは、自らの守護者として四体の竜人を創造する。


火、水、風、土。

大地を支配する力を授かりし“四守竜”。


彼らは世界の柱となり、長きにわたり平和を守っていた。


――だが。


それは、ほんの表層にすぎなかった。


竜人の起源には、誰も知らぬ“真実”があった。


その血――

竜人の根源は、「聖竜」と呼ばれた最初の存在から奪われたもの。


聖なる存在は、実験の果てに逃げ出し、やがて憎しみに染まり――

邪竜へと堕ちた。


そして時は流れ――


ある一人の竜人が、この真実に辿り着く。


名は、希龍 雨。


歴史に“裏切り者”として刻まれた男。


彼は異世界で邪竜と出会い、その血を継ぐ新たな種を生み出した。


――黒竜人。


世界は、再び混沌に呑まれる。


女神は命を賭して邪竜を封じたが、もはや神はこの世界にいない。


残されたのは――


七つに分かれた竜人たちの国と、

静かに蠢く“黒き影”。


すべては、忘れられた“竜の系譜”へと収束していく。


そして今。


新たな戦いの幕が、静かに上がろうとしていた。

 

 

 ――人間界/希龍きりゅう みつ


モノローグ


『僕の名前は、希龍 光。』


ごく普通の高校生――

そう言いたいところだけど、実は少しだけ事情が違う。


家の玄関を開ければ、そこは空手道場。


畳の匂いと木の香りが広がる、昔ながらの空間だ。


父――希龍 覇弥斗は、この道場の師範。

武道一筋で生きてきた人間だ。


無口で、厳しくて、あまり他人と関わらない。


友達と呼べるような人もほとんどいないが、

遠い親戚の魔佐斗まさとという人だけは、たまに家を訪ねてくる。


僕は学校から帰ると、道場の掃除をするのが日課だった。


放課後、友達と他愛もない話をしながら帰る。

そんな、どこにでもある日常。


――のはずだった。


だけど。


心の奥が、ずっとざわついていた。


『このままでいいのか?』


理由は分からない。


でも、何かが引っかかっている。


何かを見落としているような――

そんな違和感が、ずっと消えなかった。


そして――その日。


すべてが動き出す。


道場の裏にある、小さな林。


夕暮れに染まった帰り道で、僕は“それ”を見つけた。


光「……なんだ、あれ」


風に揺れる木々の隙間。


その奥に、明らかに“異質なもの”があった。


空間が、裂けている。


木の枠もない。

扉の形すらしていない。


それなのに――


確かに“入口”だと分かる。


光(……これ、夢じゃないよな……?)


気づけば、足が勝手に動いていた。


草をかき分け、一歩、また一歩と近づいていく。



そして、手を伸ばした。



触れた瞬間――


風が吹いた。


冷たい。


まるで、違う季節の空気が流れ込んできたかのような風。


光「――っ!」


次の瞬間。


体が、ふわりと浮いた。


地面の感覚が消える。


重力がなくなる。


音が遠ざかる。


視界が歪み、世界が崩れる。


そして――


気づいたときには、そこにいた。


見たこともない空と、

見たこともない大地の上に。


光「……ここは……どこだ……?」

 


――イディア世界/雨川(あめかわ) 拓弥(たくや)


雨の匂いがする、蒼い夕暮れだった。


空には、太陽でも月でもない――

黒く鈍い光を放つ円。


“黒太陽”。


その異様な光に照らされながら、拓弥は玄関の扉を開けた。


ふらつく足取りのまま、中へ入る。


肩には浅い切り傷。

服は泥に汚れ、ところどころ破れていた。



翔「……おい、拓弥!? どうした、その傷……!」



奥から駆け寄ってきた翔が、思わず声を荒げる。


拓弥は軽く笑ってみせた。


拓弥「……ちょっとな」


だが、その立ち方は明らかに不安定だった。


翔はすぐに薬箱を取りに走る。


その様子を見て、奥からもう一人――魔佐が顔を出した。



魔佐「“ちょっと”って顔じゃないよ……。何があったの?」


拓弥は少しだけ視線を落とし、静かに答える。


拓弥「……ナイトメアってやつに襲われた」


「夢……いや、前世の記憶で見ていた気がする……」


その一言で、空気が変わった。



翔「……前世、か」


魔佐「記憶があるんだね……。どこまで思い出してる?」


拓弥は拳を握りしめる。


わずかに、指が震えていた。


拓弥「断片的だけど……名前は“光雷”」


「ナイトメアの軍にいたこと……」


「でも、最後は……」


言葉が途切れる。


思い出しかけて、止まる。


魔佐「……怖くなった?」


その問いに、拓弥はゆっくりと首を振った。


拓弥「……いや、違う」


顔を上げる。


その目には、迷いではなく――


“決意”があった。


拓弥「あいつを見て、思ったんだ」


「戦わなきゃ、って」


静まり返る室内。


その中で、魔佐がふっと微笑んだ。


魔佐「……そっか」


「話してくれて、ありがとう」


翔も、静かに言葉を続ける。


翔「お前がどんな過去を持ってても――」


「今ここにいるお前は、俺たちの“家族”だ」


「それだけは変わらない」


拓弥は一瞬だけ目を伏せて、そして小さく笑った。


拓弥「……翔さん、魔佐兄……ありがとう」


その夜。


拓弥は一人、部屋の窓から空を見上げていた。


黒太陽は雲に隠れ、

空にはただ――激しい雨だけが降っている。


どこか懐かしい景色。


それでいて、胸を締め付けるような感覚。


それは確かに、彼の“記憶”の中にあったものだった。


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