4 選考会議
声優オーディション終了後、録音スタジオの別室で番組製作スタッフによる選考会議が行われていた。
「今回の応募者は二十六人ですよ。主役は桑本ほとりって最初から決まってて、オーディションは形だけの話だったのに」
スタッフの内澤が応募者リストを観ながら、言った。
「おい、それ、ここだけの話にしとけよ。ただでさえ、今はあることないこと、インターネットに情報が流れちまうんだから」
音響監督の島崎が言った。
「新人ばっかりかと思ったけど、結構、俺が好きだった声優も参加してたりして、感動しましたよ」
とスタッフの水原が言った。
「好きな声優って誰よ」
「河岸観里って知ってる?俺、久しぶりに声聴いて、感動したよ」
「そんな奴、いたか。覚えてねぇな」
「とりあえず、オーディションに中堅どころも参加してくれて助かった。指名だと、ギャラが高くつくからな。とりあえず、脇は彼らをチョイスな」
「新人でめぼしい奴はいたか」
「ルックスなら、結構いましたよ。台詞は棒読みだけど」
「棒は勘弁してくれよ。俺のセンスが疑われるだろ」
「事務所から新人を三人は選ぶように言われてるんで、必ずお願いしますよ」
「じゃあ、ルックスで決めろ。番宣やDVD特典の時、映り映えがするだろ」
「河岸観里、脇で入れられないかな」
「まだ、言ってんのか。マイナーはいらないっての」
「彼女、デビューは映画のヒロインっすよ」
「河岸は声の才能はあると思うが、技量に欠けてるよ。劇団在籍経験がないだろ。その場その場をやっつけ仕事でやってる感があるんだよな。まあ、ナレーションやラジオのパーソナリティ向きだな」
「雑談はそれまでにして、役の選考に入るぞ。主役の鉄壁マリモは桑本ほとりで決定。続いて、マリモの親友、須藤フブキは――」




