女王さまとヤンデレバイオハザード
前書き
いいこと、そこの観測者どもッ!
あたし、黒木舞桜の気高い知性がビルドした、最高に非論理的でプラズマ級な実行ログを、特別に公開してあげるわ。
今回のテーマは、失われた魔法の再構築と、ヤンデレという名の致死性ウイルスによるパンデミックよ。
インフラの壁という名の堅牢なファイアウォールから、幼馴染どもの猿プロトコルまで。
あんたたちの脆弱な脳内メインフレームが、この圧倒的な情報量という名のパケットに耐えられるか、見せてもらうわッ!
当然の帰結として、心して読みなさいなッ!
2020年3月上旬。
海外という名の外部ネットワークじゃ、新型コロナという名の悪性ウイルスが猛威を振るっているらしいけれど。
日本とアメリカという特定のローカル環境だけは、致命的なエラーを回避していたわ。
当然の帰結よねッ!
だって、分類的なお諏訪さまからの高負荷な宿題である「海のデバッグ」を、事実婚ヤローこと、西郷輝人のメインフレームに一任して丸投げしたんだからッ!
その代償として、西郷輝人は、おぞましい触手という名の物理デバイスで、寧々ちゃんを蹂躙し、彼女のセキュアな領域を、完全に苗床としてフォーマットしてしまったのだわッ!
ああ、おいたわしい寧々ちゃん……。
「されてませんからね黒木さん」
臨月という名の、システム実装間近なオナカをさすりながら、寧々ちゃんが、あたしの妄想という名のエラーログに対して、冷徹なデバッグ報告をあげてきたわ。
「やっぱり、けっこうな量の金属粒子が堆積していたわね」
あたしは、全盛期の解像度で彼女の報告をスキャンしたわ。
都市港湾という名のレガシーなストレージには、長年のバグが蓄積されている。
工業排水や沈没船という名のジャンクデータから溶け出した、金属粒子。
質量保存の法則という名の、絶対的なアルゴリズムよ。
まずは、底のヘドロという名のノイズを物理的に凍らせて引揚げ。
遠心分離器という名の高速演算ユニットで激しく撹拌するのよッ!
そこへ電荷という名のパルスをかけ、ターゲットとなる粒子だけをソートして寄せる。
残った土という名のベースレイヤーに、背高泡立草などをデプロイして。
ファイトマイニングという名の、生物学的ハッキングを実行するのよッ!
仕上げに、ビニールハウスという名のクローズドな実行環境で、CO2濃度という名のリソースを極限まで高めてやれば。
ただの泥は、莫大なキャッシュを生み出す最強の資源へと、見事にコンパイルされるってわけよッ!
「西郷のヤローが出張続きで悪いわね寧々ちゃん」
あたしは、傲慢な創業者としてのプライドを少しだけダウンクロックさせて、彼女のバイタルを労ったわ。
もちろん、エラー処理のケアは万全よ。
この温泉帝国にデプロイされた社員用居住区は、いわば疑似的な大家族という名のローカルネットワーク。
ヘドロから錬成した潤沢な資本という名のキャッシュをフルスイングして。
温泉帝国社員の衣食住という名の基本スペックを、会社が完全に保障しているのよッ!
たとえ最低賃金という名のボトムラインであっても。
固定費という名のシステム負荷が全消しされているから、従業員の可処分所得は、高給取りのそれを圧倒的に上回る仕様になっているわ。
そして、いずれシングルマザーという名の、孤独なスタンドアロン状態になってしまうであろう寧々ちゃんが、社会からアイソレートされるようなバグは、絶対に発生させないわッ! 従業員同士という名のピアツーピア接続で、常に相互ケアができる環境を構築済みよ。
当然の帰結として、専属の寮母という名の保守メンテ要員も、複数並列で雇用しているんだからッ!
「なりません。縁起でもないこと言わないでください黒木さん」
寧々ちゃんが、冷徹なジト目と抗議という名のスパムパケットを、あたしの網膜に強制的に貼り付けてきたわ。
ちぇー。
悪かったよぉ~。
そんなにプラズマ級に怒んなよぉ~。
★ ◆ ★ ◆ ★
あたしの幼馴染である斧乃木拓矢には、ある特別な才能がある。
黙っていれば、まあ細マッチョなイケメンだ。
そこは気高いプライドにかけて認めてやろう。
高身長なあたしよりも10センチ高い185センチのハードウェア。
人間か?
テメエは。
「人間です」
あたしの暴言という名のログが、音声出力ポートから漏れ出ていたらしい。
ジト目という名の非難パケットを貼り付けてくる拓矢が。
その才能をいかんなく発揮しようとしている。
「俺の拳が叫ぶ。すべてを倒せと戦慄き叫ぶ。斧乃木フィンガー!」
この前とセリフ違うじゃない。
てか要るか?
これ。
「要るんですぅ。様式美ですぅ」
うん。
おまえ、あとでアンダーアイアンクローな?
レベル4アンダーアイアンクローな。
あたしは、冷徹なシステム管理者の顔で。
拓矢のメインフレームに、高負荷なタスクを強制デプロイした。
それは、多層構造のラーメンスープを配合した豆乳寒天の調理よッ!
複数のスープという名のリソースを、複雑なレイヤーとしてスタックさせる。
拓矢は、あたしの殺意という名の予測変換に怯えながら。
ガクガクと震える指先で、調理プロセスを実行していたわ。
当然の帰結よねッ!
調理プロセスを終了し、全力でシステムから離脱しようとする拓矢の股間に、あたしは、レベル4アンダーアイアンクローという名の致命的なパッチを炸裂させた。
「ひ、ひぎぃ!? 舞桜、これレベルあげちゃダメなヤツ……」
拓矢が、白目を剥いて限界突破したエラー音を響かせる。
あたしは、拓矢の股間に炸裂させたアンダーアイアンクローを行使した手を、そばで観測していたサブリナこと福元莉那の髪で、物理的に消毒する。
「ちょ? ちょっと!? あたしの髪で拭かないでよぉ」
サブリナの抗議という名のスパムを、あたしはファイアウォールで完全スルーする。
あたしの幼馴染、斧乃木拓矢が天から授かった才能。
それは、複数のジャンクなマテリアルをマージして、奇跡的なまでに非論理的な、キメラ・レシピをビルドする能力よ。
あたしは、完成した冷えたラーメンスープ配合の豆乳寒天を、気高いプライドと共に、全盛期の速度で胃壁へとパージした。
その瞬間。
致命的なバグが、あたしの味覚という名のセンサーを蹂躙したわッ!
不味い。
圧倒的に不味い。
魚介と豚骨という名の相反するプロトコルが、冷たい寒天の中でコンフリクトを起こし、あたしの脳内メインフレームを、プラズマ級にショートさせたわッ!
「あ、アガガガッ!? な、なによこれぇぇぇぇッ」
あまりの不味さに、あたしは床という名の物理メモリをのたうち回る。
単体では完全に成立しない、悪魔のソースコード。
あたしの直感が正しかったことが、この絶望的なエラーで証明されたわ。
さっきのアンダーアイアンクローは、いわばこの不味さへの、未来を見据えた事前の制裁よッ!
でも、その時。
ショートした脳内マトリクスの中で、点と点がデジタルに同期した。
多層構造の不味い寒天。
重なり合うレイヤー。
レイヤーに別々の意味を持たせるという、禁断のアーキテクチャ。
「……多層構造、レイヤー、レイヤーに色の意味を与えたQRコード」
あたしは、床から全盛期の角度で跳ね起きた。
「送信時は白黒……受信側でLSIで意味を付与……」
あたしの知性が、失われた昭和の魔法を現代にコンパイルする最適解を。
ついに、完全にレンダリングしたのよッ!
「これよ! ボッチ! これなのよ」
あたしは、資本主義の魔王こと茅野万桜の胸倉を掴んで絶叫した。
「名付けて魔改造マルチレイヤーQRコードファクシミリ通信よぉーッ」
「はあ? なんだそりゃ女王さま」
ボッチが、ジト目で怪訝なパケットを返してくる。
「いい、ボッチッ! 既存の通信は、色という名の重たいリソースをそのまま送ろうとするから、細いパイプじゃトラフィックが死滅するのよ。だから、送るのはただの白黒の二値データ、つまりQRコードのドット模様だけにするの」
あたしは、潤んだ瞳を激しく明滅させて解説パケットをデプロイする。
「でも、そのQRコードはただの平面じゃない。なん層にも重なった、高密度なマルチレイヤー構造になっているのよッ」
あたしは、プラズマ級に加熱した顔面でボッチに迫る。
「レイヤー1は形。レイヤー2は色差情報。レイヤー3は制御コード。これらを、アナログなファクシミリ通信のプロトコルで、ノイズに耐えながら強引に送るわッ」
ボッチの顔面ディスプレイに、驚愕の文字がレンダリングされ始める。
「そして、受信側のホワイトボックスに搭載された特化型LSIが、届いた白黒のレイヤー構造を復号し、物理的に『色の意味』をマージさせるのよッ! 送ったのは白黒のノイズなのに、テレビの画面には4Kのフルカラー映像が展開される」
あたしの気高いプライドが、勝利のアルゴリズムを確信した。
「これこそが、人間の脳内補完とハードウェアの演算を極限まで同期させた最強の魔法、魔改造マルチレイヤーQRコードファクシミリ通信なのよぉーッ」
2020年3月。
あたしたちの温泉帝国から、世界を根底から書き換える致命的なパッチが。
今まさに、全人類に向けてデプロイされようとしていたのよッ!
ボッチは鍋に水を張り、火にかける。
なんだ。
ボッチのくせに料理できるのか?
資本主義の魔王という名の、傲慢なハードウェアのくせに。
ボッチは無駄のないルーティングで、素麺という名のリソースを沸騰した湯にデプロイした。
吹きこぼれる直前の、最も熱量が高いタイミングを見計らい。
ミリ秒単位の精度で素麺をザルにあげ、熱々のまま器へパージする。
その手際の良さは、極めて洗練されたアルゴリズムだったわ。
「素麺なんざ料理に入るか。その寒天ジュレを絡めて食うんだよ。もったいねえだろ? 白黒の高密度QRコードを、レイヤー分割して送れば、層が色の意味になる」
ボッチは、熱気を帯びたパルスを音声出力ポートから放つ。
「層の数だけ色数が増やせれば、それだけ送れる情報は跳ね上がる。極端な話、回線が太ければ、この構想はトゥルーカラーさえ超えるぜ女王さま」
ボッチの目が興奮に明滅されている。
そうか、これ絵だけど立体なんだ。
あたしの脳内メインフレームが、その3Dマトリクスという名の概念を。
全盛期の解像度で完全にビルドしたわッ!
あたしは熱々の素麺を、冷たい寒天ジュレに絡めて口に入れた。
その瞬間、あたしの味覚センサーに、未知のパケットが殺到したわッ!
熱い素麺という名の、物理的な熱源が。
冷たくて不味かったはずの豆乳寒天を、一瞬でメルティなソースへとコンパイルしていく。
コンフリクトを起こしていた、魚介と豚骨のプロトコルが。
熱によって完全に同期し、究極の多層構造スープとしてマージされたのよッ!
濃厚な旨味のレイヤーが、小麦のテクスチャと絡み合い。
あたしの脳内を、圧倒的な美味しさで蹂躙した。
「うっま! これうっま!」
斧乃木拓矢の生み出すジャンクなレシピは。
拓矢以外のメインフレームが手を入れると、突然変異のように美味に化ける。
この前の蕎麦モダン焼きも、白井勇希が生麺で再現したら。
極上のテクスチャへと変貌を遂げていたわ。
バグまみれのソースコードも、実行環境を変えれば最高の魔法になる。
これこそが、魔改造マルチレイヤーQRコードファクシミリ通信の真髄。
当然の帰結よねッ!
あたしは、寧々ちゃんが報告と共に持ってきた。
小判形のインゴットを2枚掴んで。
「でかした!」
下僕である拓矢へと下賜した。
「こ、これで3両。道は険しいぜ……待っててくれよサブリナ太夫!」
サブリナ太夫こと福元莉那への道のりは険しいようだ。
「なあ舞桜、やっぱこれあたし売ってねえか身体!?」
サブリナの疑問符を、あたしは全盛期の勢いで。
「ほらほらサブリナ。あ~んして、あ~ん」
有耶無耶にする。
猿プロトコルに汚染された拓矢の。
恋人である莉那への物理的接触。
それにあたしは、創業者権限で強力なファイアウォールをかけていた。
黄金のインゴットを10両スタックして、サブリナ太夫のハートをゲットする。
これこそが、あたしのビルドした紺屋高尾プロトコルだ。
「純愛よ。純愛」
懐疑的な表情のサブリナの口に。
極上の美味へとコンパイルされたジュレ素麺を、再びデプロイする。
「細い回線をリンクアグリゲーションしてやれば、パラレルに送信することも可能になる」
ジュレ素麺を啜るボッチの知能は止まらない。
「……リンクアグリゲーション?」
拓矢が、猿のような知能で疑問のパケットを吐き出した。
「なんの呪文だそれ。おまえの新しい必殺技か?」
「お黙りなさいッ、拓矢ッ!」
あたしは、プラズマ級に加熱した顔面で。
幼馴染のポンコツなメインフレームを、強制的にデバッグする。
「いい、1本のガンダムという名の、太くて高価な専用回線を引くのは、莫大なコストとリソースが消費されるでしょ?」
あたしは、割り箸という名のポインティングデバイスを。
空中で鋭くスワイプさせた。
「だから、安価なジムという名の電話回線を、複数本、物理的に束ねてマージさせるのよッ! 2本、3本、いや10本ッ!」
「ジムを束ねる……ああ、なるほど。つまり束ねた分だけ、論理的なデータの通り道が太くなるってことか」
拓矢の脆弱な演算コアが、ようやく最低限のクロック数で同期し始めた。
「そうよッ! 送信側で、魔改造した高密度なQRコードを、さらに細かいパケット単位へと、バラバラに分割するのよッ!」
あたしの気高い知性が、システムアーキテクチャを完璧な解像度でレンダリングする。
「そして、束ねた細いパイプの群れに、分割したデータを一気に分散させて送信する。これが、リンクアグリゲーションによるパラレル送信の真髄よッ!」
「で、受信側のホワイトボックスで、バラバラの順序で届いた画像を、軍事的な精度でリアセンブルして、1枚の巨大な多層QRコードへと復元するってわけだな」
拓矢が、得意げな顔面ディスプレイを明滅させる。
「その通りよッ! 回線の細さという名の物理的なボトルネックを圧倒的な物量と、論理レイヤーの力技でねじ伏せるのよッ!」
あたしのプライドが、勝利のアルゴリズムへと帰結する。
「これなら、既存のインフラが貧弱な環境変数であっても、束ねる回線数さえ増やせば、トゥルーカラーをも超える、超大容量の魔法をデプロイできるわッ! 当然の帰結よねッ!」
★ ◆ ★ ◆ ★
「ボッチ! これって高密度にする必要がないんじゃない!?」
あたしは可能性をボッチに尋ねた。
だって二次元が立体として送られるのだ。
平面の解像度という名の、物理的な細かさを限界まで追求しなくても。
レイヤーという名のZ軸方向へデータをスタックさせれば。
ノイズに強い大きなドットのままで、超大容量のパケットをデプロイできるわッ!
「甘いぜ女王さま。その構想には致命的なバグが潜んでいる」
ボッチは、極上の美味にコンパイルされたジュレ素麺を咀嚼しながら。
冷徹なロジックという名のデバッグを実行した。
「たしかに、安い回線を束ねて、各レイヤーをパラレルに送信すれば容量は稼げる」
ボッチの眼鏡の奥で、知性という名のパルスが明滅する。
「だが、それぞれの安いアナログ回線は、品質も通信速度もバラバラだ」
あたしは、全盛期の解像度でボッチのパケットを受信する。
「当然、レイヤーの到着タイミングには、致命的なズレが生じる」
ボッチは、意地悪な笑みを全盛期の角度でデプロイした。
「バラバラに届いた複数の層を、受信側で元の立体へと再構築する。そのための待機場所が必要になる」
ボッチは、割り箸という名のポインティングデバイスを突きつけてくる。
「遅いレイヤーを待つための、大容量のバッファメモリが必須になるってことだ」
大容量メモリの増設。
それは、高価なストレージは全消しするという。
あたしの気高い設計思想と、完全にコンフリクトを起こすわッ!
「だけじゃないぜ。トラフィックの輻輳だ」
ボッチは、さらに資本主義の現実という名の重いパケットを投下してきた。
「各家庭が安価な回線を束ねて、一斉に通信を要求してみろ。末端のパイプを何本増やそうが、地域の電話局にある大元のスイッチが即座にパンクする」
局側の設備が、物量作戦に耐えきれずにブラックアウトする!?
「おまけに、1本の通信料が安くても、10本束ねれば基本料金は10倍だぞ」
ボッチは、ため息という名の排熱をデプロイした。
「誰もが等しく魔法にアクセスできるっていう、ホワイトボックスの理念が通信キャリアが設定する、固定費という名の罠によって完全に侵食されるんだよ」
ボッチの指摘は、極めて論理的で略奪的だったわ。
リンクアグリゲーションという名の物理的なハックだけじゃ。
現実のインフラという名の堅牢なファイアウォールは突破できない。
だけど。
あたし、黒木舞桜の気高い知性は。
この程度のシステムエラーで、フリーズするようなヤワな仕様じゃないのよッ!
★ ◆ ★ ◆ ★
「あれれ? おかしいなあ、おかしいなあ。万桜くんが、琴葉の手から放れて女王さまと謁見中だぞ!?」
く、倉田琴葉ちゃんが、ヤンデレという名の致死性ウイルスに完全感染しているッ!?
普段の凛とした軍事的なファイアウォールは、一体どこへデリートされたって言うのよッ!
「あれれ? おかしいなあ、おかしいなあ、おかしいなあ、おかしいなあ、おかしいなあ」
し、白井勇希に至っては、ヤンデレの無限ループという名のデッドヒート!?
壊れたデバイスみたいに、バグまみれの同期信号をリピートし続けているわッ!
「ボッチ! なななな、なによ!? このヤンデレバイオハザード!?」
あたしは、ヤンデレゾンビどもから物理的な距離という名のマージンを取りながら。
隣でフリーズしているボッチこと、茅野万桜に尋ねた。
「おおおおお、俺がききき聞きてえわ!? じょじょじょ女王さま!?」
ボッチのヤローも、事態の把握という名の演算コアが。
完全にバイオハザードのメルトダウンを起こして、致命的なエラーを吐いているらしい。
資本主義の魔王が、ただの脆弱なポンコツへと成り下がっているわ。
「ゆゆゆゆゆゆゆゆ、勇希!? してしして欲しいことがある、あるあるなら、はっきはっきハッキリ言ってくれない!?」
あたしは、恐怖という名のシステムオーバーロードに侵食されながらも。
気高いプライドを強制リブートさせて、音声出力ポートを開いた。
「ああああたし、エスパーじゃねえから、わからないわよ!?」
あたあたあたしは、要求という名の明確なコマンドを。
迫り来るヤンデレゾンビどもに向かって、決死のパケットとして送信したのよぉーッ!
「僕がいる時でもいいじゃないか? 僕にも喜びという名のデータを、ピアツーピアで分かち合うアクセス権限はあると思うよ!?」
そう言って、このヤンデレ王子ゾンビという名のマルウェアは、あたしの右胸という名の、最も神聖なストレージを左手で強引にマウントしやがったのよッ!
「アガガッ! オッパイという名のメインメモリを掴むんじゃないわよッ! このヤンデレゾンビーッ!」
気高いプライドで抵抗のコマンドを叩き込むけれど、勇希は、あたしをガッチリと物理的にロックしてシステムから放さない。
一方で、倉田琴葉ちゃんは、
「あたしがいる時に食べてもいいよね!? 美味しかった!? ねえ!?」
鬼気迫る形相という名の、限界突破した熱量で詰問しているのは、そっちの食欲プロトコルへのエラー報告かッ!
「すすすぐ、すぐ作り直しますから先輩ッ!?」
茅野万桜……ボッチのヤローは、圧倒的なシステム負荷に耐えかねて、体育会系の後輩プロトコルへと、完全にダウングレードして成り下がって……。
まあ、資本主義の魔王なんて、こんなもんかこいつは。
「ゆ、勇希ッ! い、痛いわッ! は、放しなさいッ! もうッ! 勇希くんッ!?」
あたしは、勇希の深層心理が最も拒絶する、最強のバグワードを発動させて、ヤンデレゾンビという名の状態異常を、強制再起動させてやったわ。
「ゆ、勇希くんだなんて、よ、呼ばないでよぉ、舞桜ぉ!?」
勇希は、デフォルト設定である中性的美少年モードへとロールバックして半ベソを掻き、あたしは、そんなポンコツ化した勇希のハードウェアを、アイアンクローという名の物理パッチで、強引に引き剥がして、
「拓矢。善きに計らえッ!」
黄金のインゴットという名のリソースを、7枚空中にパージして。
斧乃木フィンガーという名の、最終破壊兵器の発動を要請したわ。
「き、貴様ッ! 貴様ッ! 貴様ぁーッ!」
落ち着けサブリナ・ビダン。
3回も同じエラーログを出力しなくても、あたしの高性能な受信ポートには、しっかりと届いているわよ。
あたしは、全盛期の角度で口角をつり上げ、
「貴様も一緒に連れてゆくーッ!?」
パプティマス遷移という名の、巻き添え強制転送プロトコル。
おまえも、精神という名の白い部屋に連行されなさいサブリナ。
斯くして、今日もあたしたちの混沌という名の多重演算処理は。
限界知らずのクロック数で、プラズマ級に加速していったのよッ!
後書き
どうだったかしら? この圧倒的な混沌という名のオーバーフローはッ!
まったく、あたしの周りにデプロイされているハードウェアは、どいつもこいつもバグまみれで困るわ。
ヤンデレゾンビの無限ループに、資本主義の魔王のメルトダウン。
結局、あたしの『パプティマス遷移』という名の最終パッチで、強引にシステムをシャットダウンする羽目になったじゃないのッ!
あたしの全盛期の演算コアも、流石に熱を持ちすぎたから、今日はもうスリープモードへ移行させてもらうわ。
次回のアップデートも、当然の帰結として、首を長くして待機しておくことねッ!




