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ぽよんとしました。

おすすめの現代ファンタジー教えてほしいです。




「おはよう!」


江藤が登校していると急に後ろから抱き着かれて、ぽよんという擬音が付きそうな感触とともに声をかけられた。実際は気配察知スキルで忍び寄っていることは把握できていたわけだが避けてしまうとこの柔らかさを体験できないためにわざわざ動かなかったのだ。


「おはよう、藤崎さん」


動じずにいる江藤をみて藤崎と呼ばれた女性は納得いかないと言いたげな、むすっとした顔をしてから、コロッと表情をニタニタと人の悪い笑みに変えて話しかけてきた。


「ねえ江藤君、昨日もやったの?」


昨日のこと、そうあの空を飛んで云々のことであり、江藤の力を唯一知っているのがこの藤崎千里である。


あんな過ぎたる力を持ってしまったことに一高校生が舞い上がらないはずもなく、力を持った江藤にできないことはなく、お金を稼ぎまくり、美女を侍らせ、酒池肉林と楽しんだものだが、それにも飽きてきたころ、ふと家にあった猫の仮面をつけてヒーローのように人助けをしてみた。


他のことに飽きが来ていた江藤には案外やりがいのあるもので、日本といわずに世界中を文字どうり飛び回り、ひったくりや、食糧支援、テロやら暗殺やらと戦ったりもしてきた。


そんなことをすれば目立たないはずもなく最初に出没したところが日本であることと猫の仮面をかぶっていることから、ブルーキャットというサブカルチャーに多大な影響を受けたであろう徒名がついてしまったりもして、少々浮かれたりもしていた。


そんな時にある言葉を知ってしまった。


「悪とは片側から見た側面でしかなく正義もまた悪になりえるのだ」


江藤はこれを無関係だと無視出来なかった、(今まで自分がしてきたことが正しかったのか?)

(正しかったはずだ)(ほんとうに?)(殺した人にも家族がいたはず、その家族は今後どうなる?)


思いがけないところでつまずいた江藤は悩み、ふさぎ込んで学校を休み、やってきたのはあの時の廃れた公園だった。だがあの時とは違い先客がいた、一人になりたいがためにやってきたのだが、どうしようと立ち呆けていると「うぅ」っとうめき声が聞こる。



そちらに目をやると、ぽてっとベンチから転げ落ちてうずくまっているではないか。慌てて駆け寄ると同い年ぐらいの女の子であることが分かった、誰もがハっとするような美少女であることが苦痛に歪んだ顔からでも分かるほど綺麗な女の子であった。


見とれているわけにもいかず手慣れた動作で診察していく、貧しい国では、自ら診察や処置を施すこともあったのでなれたものであった。


じっと顔を見るとぴこんっと音がしそうな勢いで少女の顔の横にステータス画面が出てくる。そこに書かれている内容と自分の診断が間違っていないことを確認し、安堵する。というのもこの少女、ただの空腹である。


何とか抱え上げることに成功し、腹ペコ少女を自宅まで運んだ俺は、少女を抱えたまま茫然とした。


何せこの少女、汚いのである。このままベットに寝かせるには少々抵抗がある。

抱えたままうろたえているとうぅとうめき声が聞こえてくる。この際仕方がないかとベットにおろす、なんてことはなく、どうやっているのかわからないが奇妙なほどスムーズに、するすると衣服をほどいていき生まれたままの姿になったところでやっと寝かせる。あっちこっち手が触れてしまうのはご愛敬である。


そんなくだらないことをしていてもしょうがないため、台所で水を用意して少女の傍へときた。


「おーい、水だぞ、飲めるか?」


うっすらと瞼が開き、目の前のコップを認識した瞬間クワッと目が開き声を出さずに口をもごもごとさせるのでコップを口元まで持って行ってやるとごくごくと飲みだした口の端から滴る水があらぬ方向へ流れていくのをみて、改めて自分が服を脱がしたということに言いしれないものを感じつつ、水が飲み終わると溶けるように眠り込んでしまった少女を見てどうしたものかと考える。


回復魔法を使ってしまえばきれいさっぱり元気になることだろう、だがそれでいいのだろうか、あんなところにあんな状態で何の変哲もない普通の少女が倒れているわけがない、そんなことは少しでも考えればわかることであり、結局結論を出すことなくこのまま少女の看病をグダグダと続けていった。



2日、3日と過ていくにつれて少しずつ元気を取り戻していった少女は由香里と名乗り、この地域にある私立高校に通っていることが分かった。家族のことを聞き出そうか迷ったが本人がこんな状態であるにもかかわらず携帯に着信があることなどがなかったためにあえて触れないでおいて、そっと頭に手をかざし江藤は目を閉じる。10秒ほど経っただろうか、江藤はゆっくりと目を開け険しい顔でむぅと唸った。


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