第34話・わたしのブーツで駅なんかメチャクチャにしてやる!
ヘルネブルグの中央駅に狙いをつけたわたしは足元などまったく気にしないで歩き続けた。
❝ズヴ~ン!ズヴ~ン!ズヴ~ン!❞
わたしのエナメルホワイトのロングブーツが街中をボコボコにしていく。
「アラッ、ごめんなさい!」
「一応道路を歩いてるんですけど。わたし、ちょっと大きすぎたかしら?」
と冗談まじりにつぶやきながら駅舎に向かって歩き続けるわたし。
麻美と里奈子は一心不乱に暴れ続けている。
彼女達の足元は気の毒なくらいメチャメチャに踏み荒らされていた。
そしてわたしは中央駅の正面にやって来た。
この駅から戦車などいろいろな兵器が輸送されているらしい。
❝ここだけは徹底的に破壊しなければ。❞と気を引き締めるわたし。
駅舎の向こう側には10数本の列車が停まっているプラットホームを巨大な白い屋根が覆っていた。
その右奥には何本もの引込み線があり、そこにも貨物列車や客車などたくさんの列車が停まっていた。
「悪いんですけどォ、わたしィ、このプラットホームをひと踏みしたいんで~す!」と悪戯っぽく微笑みかける。
「まずは、わたしのブーツで感触を確かめなきゃネ~!」
「えいっ!」
❝ズゴ~ン!❞
ちっちゃな掛け声と共にわたしは駅舎の建物を軽~くブーツのつま先で蹴りつけた。
わたし的には軽く蹴ったつもりだったが、わたしの巨大なブーツが駅舎の壁を粉々に打ち砕いてスッポリと駅舎の建物に突き刺さった状態になった。
「わたしっ、軽~く蹴ったつもりなのにィ~!」
わたしは駅舎に突き刺さった右足をそのまま少し持ち上げてから思いっきり踏み降ろした。
「それっ!」
❝ズッヴ~ン!❞
一瞬にして駅舎はわたしのブーツの餌食になった。
さすがに400mを越える身長のわたしのパワーは凄まじい。
中央の駅舎を踏み砕いたわたしはしゃがみ込んで両サイドの残った建物に手を掛けた。
「このわたしのロング手袋ってェ、かなりイケテルのよねェ!」
「だからァ、こんな風にしてあげま~す!」
❝グッシャ~ン!グッシャ~ン!❞
そういうとわたしは3階建ての細長い建物をロング手袋をはめた手で握り潰してやった。
「こっち側も残さず壊さなきゃねェ!」とつぶやくとわたしは反対側の建物も左手で握り潰した。
わたしは立ち上がると完全に破壊された駅舎の瓦礫をブーツで踏みしだいた。
そして、プラットホーム全体を覆うカマボコ型の白い屋根の中央付近に狙いを定めて踏みつけた。
「それじゃあ、遠慮なく踏ませて頂きま~す!」
❝ズッシ~ン!❞
わたしのブーツが白い屋根を踏み抜いて停車していた数本の列車を踏み当ててペシャンコに押し潰した。
「イェ~イ!ヤッタネって感じだワ~!」
“サクッ”とした感じの踏み応えがたまらなく快感だった。
「もうわたしっ、止まりませ~ん!えいえいえ~い!」
❝ズ~ン!ズ~ン!ズヴ~ン!❞
そう叫ぶとわたしは体をくねらせながら、もう一方の足でもプラットホームを踏みつけた。
そして、両足で小刻みにステップを踏みながら残ったホームや列車を踏み潰していく。
執拗なまでにブーツで踏みつけるわたし、わたしの足元はもの凄い土煙で覆われた。
「ゴメンネェ~!ちょっとやり過ぎちゃったかな~!」
ペロッと舌を出して謝るわたし。
そんな可愛い素振りとは裏腹に、わたしの足元にあった広大なプラットホームは列車もろともグチャグチャに踏み潰されていた。
土煙が収まると、そこにはわたしのブーツの靴底のギザギザ模様が無数に刻み付けられていた。
「こうなったら、ぜ~んぶ、ぶっ壊しちゃえ~・・みたいな!」
そう叫ぶとわたしは引込み線の方に歩いていってしゃがみ込んだ。
そして列車や貨車をワシ掴みにするとまとめて握り潰しながら駅前の商店街目掛けて投げつけた。
「イェイ、イェイ、イェ~イ!ソレ~!」
❝グシュッ!グシュッ!ヴォ~ン!パラパラパラ!❞
口をついて出てくる威勢のいい掛け声と共にわたしは手当たり次第に列車を握り潰してはその残骸を投げつける。
駅前には列車の残骸が飛び散り商店の建ち並ぶエリアでは火災が発生していた。
引き込み線に停車していた列車や貨車は残らずわたしが始末してやった。
もう握り潰すものがなくなったのでわたしは立ち上がって、引込み線の線路を踏みにじり始めた。
「もう2度と使えないようにこうしてやるゥ~!」
❝ズシ~ン!ズシ~ン!ズシ~ン!❞
❝ズリッ!ズリッ!ズリッ!❞
何度も踏みつけてはブーツでグリグリとにじりまくるわたし。
わたしの足元に広がっていた1m四方くらいの線路は無数の靴跡でグチュグチュになった。
「次にわたしに踏まれたい人はどこかなァ?」
そういうとわたしは商店街の前に躍り出た。
そして問答無用に強烈なブーツ蹴りを喰らわせる。
「ファイト、ファイトッ!」
❝ズッコ~ン!ズッコ~ン!ズッコ~ン!ヴォヴォ~ン!❞
わたしのエナメルホワイトのロングブーツが優しさのカケラも感じられないくらい強烈に4階建ての建物を次々に吹き飛ばしていく。
「わたし的にはァ、かなり手加減してるつもりなんだよォ~!」
「メチャメチャに壊しちゃってごめんなさ~い!」
ストリート沿いに建ち並んでいた建物は殆ど蹴り崩してやった。
その後ろに2~3階建ての住宅や小ぶりな建物が無数に建ち並んでいる。
この大きさなら蹴りつけるというよりはすり潰すといった方が当たっている。
わたしはブーツを滑らせるように右に左に家々をなぎ払っていく。
「この感触もたまらないのよねェ~!」
あまりにも巨大になったわたしは今までとは違った破壊の感触に酔いしれていた。
ヘルネブルグの美しい町は徐々にわたし達のブーツ破壊によってどす黒く変貌し始めていた。