ベアリング
また工作回かよって思いますか?
アオさんに精進料理のレシピを教え始めてから、だいたい8ヶ月くらい過ぎたかな、今日は水車のお披露目式なんだ。
風車はどうしたかって?風車は色々な理由で後回しになってる。
理由ってのが、風力発電用の大型の風車にするか、風の谷型の風車にするか、それとも円盤に旗が立ってる形にするかでカンタ君と話し合っている所だからさ。
これ以上聖域の雰囲気をぶち壊すなよ。って言われて風力発電用大型風車が大反対されてる所なのさ。
水車のお披露目式なんてすぐに終わってしまった。
全部手作りと言いたいけど、実を言うと水車の軸や軸受なんかは、日本から買ってきたステンレスパイプと日本製のベアリングだったりする。
そこは長く使える物にしたかったからさ。
それ以外だと、木の軸を削るのに木工旋盤(人力)を作った時も軸受は日本製のベアリングを使用したよ。水車が本格的に稼動したら自動化するつもりだけどな木工旋盤も。
木工旋盤で木を削る時の刃も日本製の鑿を新たに購入してきてたりする。
なんでベアリングが日本製なのか?って言うとさ。日本に住んでたら気付いてる人は少ないと思うけど、実はベアリングって精密加工の技術力の塊なんだよ。
まずベアリングに使われてる鉄の玉、これを真球にどれだけ近付けられるか、この時点で凄い加工技術が必要なんだ。
そしてベアリングのレース、つまり枠だな。これを加工するのも精密加工技術が高く無いと精度が出ない。
ちょっとでも引っかかったりすると、ベアリングって簡単に片減りするんだぜ。
それを1分間に数千回回転するエンジンの中に使って数万キロ走っても、まだまだ使える物を作れる日本の技術力って凄いと思わないか?
日本以外の国で日本製のベアリングと同等の精度が出てる物を作れる国なんてドイツだけなんだよ。
世界中の車やオートバイのメーカーが日本製やドイツ製のベアリングを採用しているって知ってたかい?
日本だとさ、身近なホームセンターでお手軽に買えたりするベアリングだって、精密加工の技術力が日本やドイツの水準まで行ってない国だと手に入る事がまず無い代物だったりするんだ。
一時期流行っただろハンドスピナーって、あれも安物の大陸の国製とかだとすぐに止まってしまうだろ?
日本製のベアリングを使ってる1000円くらいするのと比べたら雲泥の差じゃなかったかい?
最高水準の技術力を駆使して作られた物がお手軽にホームセンターで買えたりする日本に産まれてたら、製造業でもやってないとまず気付けない事だよな。
閑話休題
そうそう、今日のお披露目式のついでに、神降ろしと言うニカラ氏族のお祭りも一緒にやるんだ。
その時に出す料理を、アオさんが朝から頑張って使っている。
今じゃ女衆より料理が上手くなってるし。
甥っ子のギン君も、アオおじのごはんがいちばんオイシイって言ってるぜ。
良かったなアオさん。
「ニノに〜い!やばいやばい!もうすぐ産まれる!早くワカメヒコ呼んで!早く早く!」
なんと!ついに産まれるのか!
「ガンモー!出番だよ!戻っておいで!」
聖域中に響き渡る声でガンモを緊急呼び出ししておいた。因みにスキルだから大声を出したわけじゃない。
ベアリングを語る回でした。
次回予告 3章エピローグ
3章エピローグを書いた後に2日ほど更新をお休みします。
閑話 鬼の目に涙 のプロットは出来ているのですが、どうしても文書に出来ない部分があるので。
そこの表現力を少し勉強してきます。
拙い文章の作品ですが、読んで貰えて嬉しいです。ありがとうございます。




