アカ、アオ、クロ
少しづつでも話が進んで欲しいです。
家が建っている周りの整地してある土地まで辿り着いてまず最初にガンモを呼んだ。
「ガンモ、この鬼さんの背中の矢を抜くからそこの傷も治してあげて。そしたら缶詰にしようか。」
そう言うと口に咥えた缶詰を地面に置いて早く早くと急かしてくる。
「すいません、さっきは死にかけていた人も居たようなので治療を優先させましたけど、クロさんの背中の矢を抜いて貰えませんか?抜いた後に治療しますから。」
そう言うと、女の人2人がかりで背中に刺さっている矢を引き抜いていく、力任せに引き抜くもんだから凄い血が出てる……
「ガンモ、良いよ治療お願いね。」
そう言うとガンモが尻尾を膨らませてうんうん唸った。
さっきは、ちゃんと治る所を見ていなかった鬼さん達が、矢を抜いた傷が跡すら残らず治っていくのを凝視している。
中には、おお!と声をあげる者まで居た。
ガンモにお礼を言って、ご飯皿に缶詰を開けて、ほぐしながら入れてあげると、勢い良くがっついている。シラスウマーマグロウマーって言いながら。
ちなみに自分に刺さってた矢は、透過すれば痛くも痒くもなく落下した。
「とりあえず何か食べれる物をと言いましたが、あまり食材が豊富にある訳じゃ無いので。粥くらいしか用意出来ないのですが、料理って出来る方います?米と塩と少しの野菜と、あとは卵くらいしかないのですけど。」
そう言うと。米!米だと!まさか米なんてって感じでざわざわしている。
令和元年の新米だぞ!ふふふ!惑星パンツの住人よ日本の米を貪るがいい!塩を軽くかけるだけでもこの世界じゃご馳走だぞ!
なんて考えながら部屋の食料棚から米の入った袋(20kg入り)を二袋持ってくる。
そうそう、雑草のテントの場所だけど、竈を作ってあるんだ。羽釜も装着済だぜ!と言っても2回しか使った事がないんだけどな……
料理が苦手だからさ。
女衆が4人出てきて、米を炊くのを手伝ってくれると言うから米の入った袋を渡したら。
「なんだいこの米は、こんな米初めて見たよ。こんな真っ白な米だなんて、贅沢な食べ物だよぅ。」
との言葉に他の鬼さん達もソワソワしている。
軽量カップを渡して。
「これに米1杯に水半分で炊いて貰えたら普通のご飯に。水を1杯にしたらお粥になりますけど、どっちがいいですか?」
と聞いたら、ご飯が良いと言っていたので準備は女衆に任せよう。
かまどの中に薪を入れて、指先から火を出して種火を作って。
「あとはお願いします、男衆と少し話をしてきますから。あと米は全部使って貰って構わないですから、足りなければ追加で持ってきますから言ってくださいね。」
少し大きめの羽釜だから数回炊けば大丈夫かもだけど、このサイズでこの人数なら20kgの米なんてすぐ無くなりそう。
さっきまでの警戒が嘘のように女衆4人は、米を取り出してキャッキャ言っている。
男衆の所に戻ってきた、とりあえず地面に座らせるのもなんなので。
「そこに積んである丸太を輪切りにして椅子でも作りましょうかね?」
と言うと、5人程の男衆が丸太を持ち上げてこれくらいだなとか相談を始めた。
そこにチェーンソーを持った俺登場、ブロンブロン言わせながらチェーンソーを動かすと、超ビビってる、鬼なのに……あんた達の見た目の方が怖いよ絶対。
「輪切りにしますから少し離れてて下さいね。高さはこれくらいでいいですか?」
と聞いたら印を付けてくれたのでサクサクと輪切りにして行く。切り落とす度におぉーと声が聞こえる。
着いて来た男衆が輪切りにされた丸太をどんどん運んで行ってくれる。
ひときわ大きい丸太をテーブル替わりに少し高めに切って。
「これをテーブル替わりにしてくださいね、地面に直接食べ物を置くのもなんなんで。」
と言うと、4人ががりで運んでくれた。
そして子供達を守るように囲んでいた鬼さん達に向かって。
「えーと、この集団の代表の方ってどなたでしょうか?少しお話を聞かせて頂きたいのですが?」
と言うと、クロと呼ばれていた鬼と瀕死だった鬼、背中に弓矢を背負った鬼の3人が出てきて、その中のクロと呼ばれていた鬼が。
「族長は、既に死んでしまって今の代表と言えば私か、こちらのアカと言う者のどちらかになるのだが。」
と、背中に弓矢を背負った鬼を指して言う。
「しかし此方のアオも話を聞きたいと言うので3人でも良いだろうか?」
そう聞かれたので。さっき切った丸太を持ってきて貰って座ってもらう。自前の椅子に座って1mくらい浮けば目線の高さが同じくらいになったので話しやすくなった。
「先に、ここがどう言った場所で俺が誰なのかを軽く説明しておきますね。」
そう言うと3人の鬼さん達が頷いてくれた。
「まずここは、中央大陸と呼ばれる場所ですね。外界から言うと聖なる大地でしたっけ、そこの南西部の草原ですね。」
そう言うと、鬼さん達が目を見開いて居る。
「そして私は、この星の全てを司る神です。」
そう言ったら、背の低いアオと呼ばれた鬼が飛び掛ってきた、凄く睨んで来てたから何かしらしてくると予想していたけど、とりあえず痛くも痒くも無いのでされるままにしておく。
デカい左手で首を掴まれて、右手で胴体を薙ぎ払うように殴られた。
「何が神だ!我々は祈ったぞ!毎日毎日祈りを捧げたぞ!なのに何故に助けてくれない!何故に神なら助けない!大勢死んだ!貴様が神というなら死んだ奴らに手向けてやる!死ね!」
そう言って首を引っこ抜かれた。
千切れた胴体と首が地面に落ちる時にアオと呼ばれた鬼は泣きながらこっちを見ていた。
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