棍棒Rushと説教Rush
メダルがガンガン増える感じじゃないです。
もちろん玉も増えませんよ。
家の周りに集まっていた聖域の動物達が一斉に唸りだした。ちなみに雑草や虫や微生物まで戦闘態勢をとっている。
さっき使役してるどうこう言ってたから俺に何かあったらこうなるって分かってるだろうに、それでも何もしないって選択出来なかったんだろうな。
首から下を起こして転がってる首を拾いながら。
「暴れたらダメだよ。この人達は、俺のお客さんなんだからね。」
そう言うとガンモも含めた全ての動物達が大人しくなる。
拾い上げた頭を元の位置に戻すと、うねうねしながらくっ付いて行く。
「少しは、気が晴れましたか?」
アオさんに向かってそう言うと、クロさんとアカさんが必死にアオさんを止めている。それを制しながら。
「話が進まなさそうなんで透けますね。」
そう言って全身透過しておく。
クロさんとアカさんに離しても大丈夫ですよと言うと、その後にアオさんが2人を振り切って何回も何回も手に持った棍棒を振り抜くもスカッスカッって空振る。
ちなみにクロさんの持っている棍棒より少し細目だが、30cmくらいの丸太を叫びながらブンブン振り回して殴りかかって来る姿は、まさに鬼だったね。
まあ話さないと先に進まなさそうなんで。
「祈ったって言いますけど、誰に祈ったんです?一応この世界の生き物から祈られたら全部分かるようになってるんですよ?」
そうなんだ、この世界の生き物から祈りを捧げられたら、何となく祈られてるって感覚があるんだ。
あとタブレットに祈られた回数が日別で集計されて表示されたりもする。
しかも丁寧に1時間単位のユニーク祈りまで。ちなみに毎日2桁くらいだったり、祈ってくれるのが家の近くの動物達だけだったりする。
「何度も何度も我々の神に祈った!お前のような怪しい自称神なんかじゃない!あの空に浮かぶ我々の神、人の神である夜空に浮かぶニカラ氏族の英雄チャにだ!」
そんな事をアオさんが叫んでる。
そうだろうな、俺に祈られたら分かるもん。
悲痛な祈りほど色濃く分かるように設定したから、ここまで怒る程の祈りなら確実に誰から祈られてるまで分かるんだよ。
ちなみにアオさんは、無駄な事と分かっているのに何度も何度も棍棒を振り抜いている。残りの2人は唖然としながら見てるだけのようだ。
「ちなみに生きてる人に祈っても意味なんか無いですよ。しかもあちらには、届いて無いですし。あとこの星の神って私1人なんですよね。」
そうなんだよ、調べたらニカラチャって青い星になった人の英雄って生きてるんだ。
どうやら外界で禁呪と呼ばれる魔法(ギフトの1つ)を使って体を檻に作り替えて生命力を担保して閉じ込めてるんだ。
悪神と言われてるけど、姿形が異形なだけで実を言うとパンツァー様のお友達な神様2人を。
それをパンチョモっていう人が、これまた禁呪(これもギフトの1つ)って奴で体を作り替えてニカラチャの生命力を補っている。
ちなみに生命力が残ってるから生きてる判定なんだよな。
まあこの話は後でいいかな。
「あなた方が今まで祈っていた行為を否定しませんよ。でも言っときますけどねアオさん、あなたが少し離れた所に居るクロさんに向かって話しかけてるつもりでも、ずっと近くにいるアカさんの方を向いて話し掛けてたらクロさんが話し掛けられてるって気付くと思います?無理でしょ?それと同じなんですよね、明後日の方を見てるって言うんですかね。」
そう言うと少しだけアオさんの棍棒Rushが緩くなった。ここは、一気に畳みかける所だな。
「それにあなた方だけの神じゃないんですよ私は。この星のすべからくの神なんです。あなた達が聖域に入ってきて森の中を歩きましたよね?その時に踏み潰した小さな虫達にとっても、私は神なんですよ。
幸いにも死んだ者はいなかったのでガンモが癒してくれましたけど、もし死んでる者が居たら、あなた方全て聖域に害を成すものとして消し飛ばしてましたよ?ここまで言っても分かりません?八つ当たりだって。」
神の説教Rushにアオさんタジタジ!やっと棍棒Rushが終わってくれた。
「ちゃんと認識してください。この星を司る神は、私の上役も含めて2柱だけ。そのうち1柱の上役の神は、この星だけじゃなく様々な星々を管理しているので基本的に神と言うのは、私1柱だけなんですよ。」
そう言うと、アオさん完全に意気消沈して座り込んでしまった。
下を向きながら泣いているようだ。
「どうすれば良かったんだ……
俺の姉は、子供を守る為に火術の盾になって焼け死んだ。その夫は、俺に息子を託して矢に貫かれて死んで行った。
小さい頃から俺みたいなやさぐれ者でも変わらずに目を掛けてくれていた村長は、若衆を逃がすために動きもしない足を引きずって敵に突撃して槍に刺されて死んじまった……
嫌われ者の俺が1番最初に死ぬべきじゃ無いのか!なんで無力な者ほど先に死んで行くんだ!
なんで姿形が違うだけの相手に、あんなに残酷な事ができるんだ!教えてくれ、どうすれば良かったんだ……」
アオさんの消え入るような声を聞いて後ろにいる2人も涙を流している。
「どうすれば良かったんだと聞きますけどね。あなた方の御先祖がこの状況を作ったんですよ?神の支配から自由になりたい、自分たちの手で歴史を紡ぎたい。そう言って神を捨てたのは、外界に住む貴方達の方なんです。」
そうなんだよな、パンツァー様がうざい扱いしてたのってそう言う事なんだ。
「神が居なくなれば、この星の全域が命を繋げない世界になってしまうんですよ。それじゃ可哀想だからって聖域ってのを作って、自らを否定する生き物達にも生きる土地を与え続けた私の上役の慈悲すら貴方達は忘れてしまって、神でもなんでも無いただの人間に祈っていたんです。
理解出来ましたか?理解出来たら今後の話をしましょう。どうやら飯も炊けたようなので。」
ずっと心配そうにこっちを伺っていた女衆が半分見ていなかった羽釜の中の米も、コウロギの触覚でちゃんと認識してた俺って偉いっしょ!
そんな感じのドヤ顔をしたら、いみしかトンビがアホーって鳴きやがった!解せぬ!
少しずつ進んでいく物語、牛歩ですけどね。
ここまで読んで貰えて感謝です。




