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おっさん家!  作者: サン助 箱スキー
1章 始まりの1年
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しげる色

松崎○げる色に染まぁる。

 話は数分前に遡る。


何が起きてるのか全くわからない俺より先に。申し訳なさそうに付いているちょんまげ頭を上げて、此方に視線を向けてきているおっさんの方が行動出来た。


「わたくし、そこの畦道に祀られている道祖神ですが。唯一のわたくしの信奉者が亡くなったと道道の虫けらの噂を耳に挟みましてね。それでですね、此方に手を合わせに来ていたのですよ。普段やることも無いので初七日が終わるまで毎日来ようと思っていまして。それで、目の前に美味しそうなお供え物が置いてあるじゃ無いですか。果物なんて、ここ数年食べておらんのです。でもホトケ様のお供え物を勝手に食べる訳にもいかず、どうせ剥いて棄てる部分だからと、皮を舐めさせて頂いていたのです。けっしてお供え物を盗もうとしていた訳では無いのです。」


そこまで言い切った後に、また頭を下げて土下座スタイルに戻ってしまった。


「そこの畑の畦にある石像の道祖神でしょうか?えーと……私は、つい先日神人になったばかりで右も左も分からない状態でして。先達の方を驚かせてしまって申し訳ないです。色々とお話を聞かせて頂きたいので、顔を上げて頂けませんか?」


そう言うと、青ざめていた顔があっという間に元のしげる色に戻り上半身を起こして此方を見ている……


「なりたてですか?え?そんな神格なのに?え?エリート所じゃ無いじゃないですか!超が何個付くんすか?つい先日亡くなったはずですよね?なのにそんな神格???」


「いえ、そう言われても。自分の神格なんて分からないですよ。それに私の上役とも顔を合わせること無く放置されてますし。」


「あれ?タブレット持ってますよね、ちゃんと見ました?」


「ん?とりあえずホーム画面にヘルプしかなくて、タブレット弄るより先に寝床確保しないとと思いまして、あんまり触ってないのですか?」


「あーあれですね、地球出身だからって説明をはぶかれた口ですか?全くもう、とりあえずタブレットの画面の外枠から真ん中に……」


そう言われて、タブレットを取り出して見る。

左手の手のひらからヌルっと出てくるのが気持ち悪い。

ホーム画面の上部をスワイプしてみると……


「えー!めっちゃアプリ入ってますね……」


スワイプしたらアプリ一覧と表示されて小さいアイコンが沢山出てきた。


「普通は、そこの説明もされるんですけどねぇ。その時にインストールされているアプリの説明もされるはずなんですがね。日本人経験者じゃ仕方ないですねえ。とりあえず待ちますから、タブレットの中身を先に確認した方がいいのでは?」


「え?はい。そうですね、そうします。」


そう言ってタブレットに視線を移そうとしたら、凄い気持ち悪い恍惚とした表情でバナナを眺めている、道祖神がチラッと見えた。


あまりにも気持ち悪いから。


「食べていいですよ。俺に供えて居るものですし、お裾分けです。」


と言えば、小汚いおっさんがバナナをひと房もぎ取った後に、少し大きめの茶色い兎に姿を変えて嬉しそうに頬ずりしている。


障子が少しだけ開いていて、ガンモがこっちを見ていた。





茶色ですからね。

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