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はじめに


異能者


そう呼ばれる者達は皆、異常なまでの執念で何かを欲してその力を手に入れたという。

有馬独人(ありまひとり)有馬独人もそうだった。

独人の両親は二人とも天才外科医と呼ばれる程の名医だった。しかし、彼らにも救えない命はあった。どんな人間でもミスはある。しかし、世間はそれを許さない。ひとつの失敗で精神的にも大きなダメージを受けてきたそうだ。そして、不幸にもそのストレスは、一人息子である幼い独人に押し付けられた。単刀直入に言えば、虐待だ。自分たちのストレスをぶつけ、自分たちでは成し得ない理想を押し付けた。独人は何時も両親の表情を伺っていた。両親の機嫌が悪い時はいつも逃げていた。

しかし、限界はすぐに来た。表情から読み取れる情報などたかがしてれた。

独人は相手の思考や感情を読み取るようになりたいと望んだ。

全身が痣だらけになり、ベッドで声を殺して泣いた日、独人の体にとある変化が起こった。

次の日、いつもと同じように、表情を伺いながら行動していると、突然、自分の思考とは全く別のものが頭に浮かんだ。

それから幾度と同じことが続き、それが自分以外の相手の思考だと気づいたのは一週間後だった。それから、親のみならず、目の前の相手例えそれが誰であろうと自然と感情や思考が理解出来た。

独人は7歳にして異能力『思考把握』を取得したのだ。


また、9歳の頃、独人は両親から手術の手順などを習っていた。練習と言っても臓器などを模したものをいじるだけだ。この時、既に独人は、大学生レベルの知識を身につけていた。

しかし、手術は勉強と違い努力した分だけ日進月歩する訳でもない。

そして、前例同様に出来なけれひどい仕打ちが待っているのは目に見えていた。

怖かった。ただ純粋に怖かった。親のようになりたい。親の技術が欲しい。そう望んだ。精神的にも肉体的にも限界だった。

また、『思考把握』の時と同じようなことが起こった。

ある日の手術の練習中、何故か体が勝手に動いた。その動きは親のものと似ていた。いや、一致していた。手を動かす速度、方向、そして手順までもが同じだった。独人は、親の手術の際の動きを観察、『模倣』したのだと知った。

これが彼の2つ目の異能、『模倣』だった。

若くして彼は異能者となった。


それも複数の能力を持ち、世界に数人しか存在しない異能者の中でも飛び抜けて強力な異能者。『多重異能力所持者』であった。


しかし、この時、まだ彼は知るよしもなかった。数年後、自分が、そして、周りの人間が大きな災厄に巻き込まれることを。


そして、大量の死者を出したその災厄は、彼によって幕を閉じることも。

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