幽霊なんて科学的にありえないよ
最初は蛇足です…。温かい目で見てもらえると幸いです。
時は晴れ晴れとした日曜日の朝。俺、日比野健多の人生を揺るがす大事件は起こった。
「もう無理なんだよっ!!ここにいるのは!!」
休日であるが、その日はなにやらどたどたと家が騒々しかったので布団から起き上がって様子を見てみると、居間となる部屋で、半年前から同棲を初めた紗佳が涙をしたたらせながら叫んでいた。
俺は状況が把握できず冷や汗をぼたぼたとかいていた。多少感情的ではあると思うが、ここまでの大声は稀…、いや初かもしれない…。
「一体どうしたんだよ?!俺、今起きたんだけど…」
「どうしたって!?散々相談してたじゃない!」
彼女の足元には大きなスーツケースが開かれていて、服やら目覚まし時計やら、柄からして俺が彼女から記念日などに貰ったものを収納している小箱が入っているのが確認できた。
「…まさか、今出ていく感じなの…?」
「当たり前よっ!こんなとこには居られないから!!!」
彼女はスーツケースを閉じ、今までつながっていたらしいスマホの通話を切った。
「ねぇちょっと!ホントになんでなの!?俺わけわかんないんだけど!」
俺の悲痛な叫びも虚しく、彼女は家から出ていってしまった。
高校からの…というか俺の初交際の相手で、大学を出たらプロポーズする妄想までもしたほど、絶対的な、永久的な関係だと思ってたのに…こんなにもあっさり…。
……いや、まだだ。俺は自分の呆けていた頭に喝を入れるように両頬を叩いた。彼女はこの家に居られない、散々相談したと言い残している…、問題が解決出来れば、彼女はここに戻って来ることが出来るはずだ!!俺はありとあらゆる紗佳との生活の日々を捻り出す。思えば、最近口数が少なくなっていたな、相談されていたものを…まったく俺は不甲斐ない……!するとハッと思い出した。そうだ、確か先月末だ…、
『ねえ…けんくん。幽霊って、信じる?』
突拍子もなく質問された内容で、俺は内心ドキッとしたんだ…。
『え?あぁ、科学的根拠がないし、僕はいないと思っているよ。』
『あのね、ずっと前から言おうと思ってたんだけど…この家、出るわ。』
彼女の表情が強張る。俺は彼女を片目で映す。
『…いやだなぁ紗佳ちゃん。ここは一応事故物件とかではないよ。大体、そういう現象は説明がつくことが多いからね。電球が点滅したとか、部屋が急に寒くなるとか…。』
彼女は図星を突かれたかのように目を開いた。当たりであろう。電球が切れそうなのは俺が確認してたし、この頃はよく冷えるから、不安になってしまったのだろう。
『…でもっ…!他にも、人影が出来たり、カーテンが揺らいだり…!』
『多分紗佳ちゃんの影と、カーテンが揺らぐのは窓に隙間が空いちゃってるんだね…、たぶんその窓から寒くなってるから、来週くらいには大樹と一緒に窓つけ直すよ。』
彼女は口籠り、そこからあまり話さなかった記憶だ。ちゃんとそのあと、俺の大学の同級生である大樹とともに、窓を簡易リフォームしたから寒気は驚くほど減ったし俺の見立ては正しく、紗佳の悩みは解決したものだと……。
……いや、そういえばまだ電球を変えていないし、窓もまだ改善できるのかもしれない。思い立った俺はすぐにでもと工具屋さんを検索しようとしたところで手を留めた。今日は日曜日、大樹は今日デートだと言ってたし、その他の友は……あまり親密とは言えないし日曜日に呼び出すなんてことはできない。けれども一人だと心もとない、また甘くリフォームすることになってしまうかも…。スマホを持つ手の力が強まる。どこを検索すればいいんだ!?パニクってる俺はきょろきょろと周りを見回す。
すると糸口が見えた。漫画だ。その漫画はなんでも屋がなんでも解決する痛快コメディーであった。そうだ、そうだよ!なんでも屋さんであればきっと業務範囲であろう!すぐさまマップを開き、なんでも屋、と打ち込む。
近くにあるなんでも屋は一軒だけ…チャリで行くにはなかなか遠いがまあ行けなくはない。レビューも☆4.5と安泰…!ここを逃したら復縁は難しいんだ、すぐさま行くしかない!!俺は秒速で身支度を済まし、颯爽と家を飛び出した。
その時から、俺の人生はぐるっと真逆に変わってしまったのだと思う……。
誤字脱字、報告がありましたら修整させたいただきます。




