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一度世界を救った少年は、再び世界を救う!?  作者: 長月楠


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少年、新たな仲間を勧誘す④

「ば、ヴァンパイアにも寿命ってあるのか?」

 その言葉にラルカも首をひねった。

「分かんない。さっき言ったように始祖様から遠くなるにつれ力は落ちるから、第二階層以降のヴァンパイアは高齢で死ぬことがあるって聞いたことある。第六以降はほぼ人間と変わらないし、人間との間に生まれたダンピールは人間よりちょっとだけ寿命が長いだけだけど。でも、第一階層のヴァンパイアが寿命で死んだことはないはずだよ」

 ラルカは視線をジュリアンへと向ける。

「左様。我もヴァンパイアとなってすでに千年を超えているが、今のところ心身ともに衰えはない。魔女殿よりは年下だがな」

 一体あの人は何歳なんだ、とライラは思ったが、口には出さなかった。遥か昔ヨミに年齢を聞いたこの国の貴族が一瞬でミンチになった事件は有名だ。

「始祖カーミラ様は我らのような紛い物ではなく、この世で唯一の真なるヴァンパイアだ。本来寿命と呼ばれるものはない。だが、カーミラ様曰く、冥府の神官との契約に問題が発生したと言っていた」

「あ」

 ラルカが思わず声を出した。心当たりがあるのだろう。

「真なるヴァンパイア?契約?」

「本来、ヴァンパイアって言うのは、冥府の神官と不死の契約を結んだ人を指すんだ。ヴァンパイアからヴァンパイアにされたジュリアン君のような人とはまた違うの。でも、契約に成功したのは歴史上カーミラ様だけだけど」

 ラルカの説明にジュリアンが頷く。

「そのとおり。おそらく666日の冬が関係しているのであろう。日に日におやつれになっておられる」

 ジュリアンの表情が苦痛に歪む。

「因みに、太母様が契約した神官って誰?」

「ヘル様と言う方らしい」

 ラルカ達が冥府で倒した神官の一人だった。冥王直属の五神官の一人であり、冥府の神官の頂点の一人である。すでに復活はしているはずだが、まだ力が戻らないのかもしれない。

「もしかしたら、少し待てば神官との契約が元に戻るかもしれないよ」

「我らもそれを進言したのだ。だが、太母様はもういいと仰せになっている。すでに長い時を生きた、もう後悔はない、神官との契約を終え、生を終えたいと」

 ラルカ、ライラが黙った。若い二人にはその気持ちが理解できないのも当然である。だが、思いつめたジュリアンの様子を見て、彼がすでに何度も説得しているであろうことは理解できた。

「でも、それがなんで時魔法が関係するの?」

 神官との契約であれば、時魔法は関係がない。と言うよりラルカはおろか本人以外では介入できないはずだ。

「・・・申し訳ない、それはここでは話せぬ。貴公を信頼していないわけではないが」

 ジュリアンが再び視線を下げ、手で口を隠す。数瞬後、視線を上げると、

「ラルカ殿、我らが始祖様の元へ来ていただけないだろうか」





 ジュリアンと話したその日の夜、ラルカとライラは寮を抜け出し、王都郊外でジュリアンを待っていた。すでに夜時の後(23時)を回っている。街はすっかり眠りについていた。

「本当に行くのか。罠かもしれないんだぞ」

 ラルカは静かに首を振った。ライラはラルカの元気がない様子が気になっていた。

「ラルカ、どうかしたのか?お腹でも痛いのか」

 ライラがしゃがみ、ラルカの頬を両手で包む。ラルカが小さい声でつぶやいた。

「ね、ライラ。ライラは僕が、お父さんの大斧を時の贈り物(クロノギフト)で元に戻さなかったこと、怒ってない?」

「・・・は?」

 ラルカは下を向いて、ライラに視線を合わせないようにしている。ライラはそのようすを見て、

「なんだ、そんなこと気にしてたのか。怒るわけないだろう。それどころか、お前にも、ガドンさんにも感謝しているさ」

「・・・ほんと?」

「ああ、本当だとも。何かわけがあったんだろ?」

時の贈り物(クロノギフト)は物質の時間を巻き戻すことができるの。初めはそれを使って元に戻そうと思ったんだ。だけど、あの大斧を見たとき、僕にも見えた気がしたんだ。魂が」

「・・・・」

「だから、時の贈り物(クロノギフト)で時を戻しちゃったら、魂も無くなっちゃう気がしたんだ。だから・・・」

 そう言ってまた下を向いてしまった。ライラはラルカの頭を自身の胸に抱きしめた。

「ライラ?」

「ありがとう、ラルカ。そこまで、わたしのことを考えてくれてたんだな」

「・・・」

「ありがとう。本当に。感謝している。わたしも、とうさんも、かあさんも。それに、あの大斧も」

 ライラがさらに強くラルカを抱きしめた。ラルカもライラを抱きしめ返した。二人の間に、少しだけ甘い空気が漂った。

「そろそろよろしいか?ご両人」

 突然のジュリアンの声に、ライラはラルカを遠くへ放り投げた。顔が真っ赤になっている。

「おおお、遅かったな。待っていたぞ」

「いや、先ほどからいた。邪魔をしないように声をかけなかっただけだ」

「~~~~!!」

 ライラが声にならない悲鳴を上げたころ、放り投げられたラルカが戻ってきた。

「ごめん、ジュリアン君。じゃあ行こうか」

「ああ、では我についてきてくれ」

 ジュリアンの体が闇に包まれる。姿かたちがどんどん変わっていく。やがて、大きな蝙蝠へと姿を変えた。

「・・・」

 ヴァンパイアが使用する闇の上級魔法、“恐れよ、我をスケアリーエクスペリエンス”である。自身の肉体の一部もしくはすべてを、蝙蝠や犬へと変えるこの魔法は、使用できるかできないかはヴァンパイアの格にとって非常に重要な指標となる。唖然として動けないライラを、ラルカは自身の二次元の隠し部屋(マイ・リトル・ルーム)へ入室させ、飛行魔法・自由への階段(スカイハイ)を発動した。

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