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一度世界を救った少年は、再び世界を救う!?  作者: 長月楠


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7/7

少年、ギルドに到着する①

「へえ、ここが王都かあ、すごいおっきいんだね」

 ラルカとライラの二人は、翌日学校のある王都メデュネイへ到着した。人口は世界で唯一百万を超え、面積でも世界最大を誇る。頬に赤い手形が付いたままのラルカは、その街並みを見渡した。街は外壁に覆われ、東西と南に門があり、北には王が住む城がある。南門を抜けると、どの家もレンガや石造りで、下は石畳で覆われている。大通りには二頭立ての馬車が闊歩し、平民も贅沢とは言えないがきれいな服に身を包んでおり、この都市が経済、治安ともに安定していることを示していた。

「ねえ、ライラ。ここには学校だけじゃなく、ギルドもあるんだよね」

「・・・ああ」

 ライラはぶっきらぼうに答えた。まだ不機嫌そうだ。もちろん勝手に女だと勘違いしたのはライラだ。しかも命の恩人に手まで上げてしまった。とはいえ、簡単に割り切れるものではない。

「本当に魔物の死体なんて、買ってくれるの?」

「ギルドに加入していなくても、買取だけはしてくれるから問題ない」

 二人は大通り沿いに歩く。ライラを見て周りの男たちが口笛を吹く。しかし声をかける者はいない。ダークエルフは戦闘力に長けた種族だ。またエルフほどではないが長命で、見た目から年齢がわかりにくい。声をかけて自分よりはるかに年上だったら気まずい。皆目の保養だけですませるのがほとんどだった。

 二人が大通りをまっすぐ歩くと、左手に一段と大きな建物が見えた。白い石造りの立派な建物だ。正面に“ギルド連盟 メデュネイ支部”と書かれている。ライラは無言で門を開け、ラルカも続いた。

「わあ」

 途端に中から喧騒が聞こえた。笑い声や怒鳴り声、年齢も種族も性別も多種多様。大きな武器を持ったいかにも戦士タイプの者や、ローブをまとった魔法使いと思われる女性、はたまた一般人にしか見えない者も多い。

「スゴイスゴイ、ここがギルドなんだ。いっぱいいろんな人がいるね」

「初めて来たのか」

「うん、一度来てみたかったんだあ」

「わたしはあっちで討伐依頼の完了報告をしてくる。素材売却はそのあとだ。おとなしく待ってろ」

 ライラの声を聞いていたのかいないのか、ラルカはおもちゃ屋に来た子供のようにはしゃいでいる、いや実際子供なのだが。目を輝かせてあっちに行ったりこっちに行ったり。周りからはほほえましい目で見られている。このギルドは比較的荒い者が少ないようだ。

「何してるんだ。素材の買取はこっちだぞ」

 完了報告を済ませたライラの声に慌ててラルカがトコトコと走ってきた。ギルド連盟は義勇・海運・学問・鍛冶・芸術・料理・土木・商業の八つのギルドが存在し、支部内はそれぞれのギルドが区画ごとに分かれている。そのうち最大のギルドは義勇ギルドで、そこに所属するものは義勇士と呼ばれる。義勇士はギルドの依頼を受注し、魔物の討伐や村の防衛、素材の収集や雑務などを受け持つ。ライラは義勇ギルド所属だが、素材の買取は商業ギルドの担当である。

「これを売りたい」

 商業ギルドの受付について、ライラが荷物から取り出したのは、石状の黒い塊だった。それはクロウモンキーとは異なる魔物のコアだ。コアは魔物のみに存在する器官で、魔法を使用するのに必要な臓器である。骨と石の中間のような物質で、強度はないものが多いが、魔道具に使用されるため、魔物の素材の中では最も高価で取引されることが多い。クロウモンキーにもコアがあるが、魔法は使わないため小さく素材としての価値はない。またクロウモンキーの手首は義勇ギルドで受けた討伐依頼の達成の証明部位なので、ここでは売却できず、義勇ギルドに提出する必要があった。

「はい、確認いたします」

 商業ギルドの受付の女性が調べる。

「こちらはレッドライノのコアですね。状態もいいので、1ユリウスと5アウグス(だいたい16~7万円ぐらいの価値、8アウグスで1ユリウス)で買い取らせていただきます」

 おお、と周りで声が上がった。レッドライノは鼻から炎を吐くサイの魔物だ。物理攻撃も強力で、熟練者でも油断ができない。周囲の驚きも無理はなかった。

「お前の番だぞ」

「うんっ!」

 金貨一枚と銀貨五枚を受け取ったライラの声に、元気よく返事をした。その様子を受付の女性が優しい顔をした。

「どうしたのお嬢ちゃん、なにか買取かな?」

 恐らくライラの親族かなにかで、社会見学に連れてきただけと思ったのだろう。

「ぼ、僕は男の子だよ!」

 ラルカがぷんすかする。

「えっそうなの?ごめんごめん、ボク、何か御用かな?」

「これを買取してください」

 ラルカが童子の宝物庫(トイ・ボックス)から、魔物の頭部を取り出し、受付の机に乗せた。そのとたん、衝撃で机が大きくゆがんだ。

「・・・・・。」

 受付嬢も、周りの人々も、一瞬時が止まった。ライラのみが、やっぱりそうなるよな、と言う顔をしている。

「ええええええええええ~~~~!!」

 数瞬の後、受付嬢たちの絶叫が聞こえた。

お読みいただきまして、ありがとうございます。


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