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心のゆくえ  作者: ゆきのいつき
3章
91/124

ep85.わがままの理由?

「ん……んん……」


 厚めのカーテンで弱められた朝日が、それでもけなげに部屋の中を優しく照らし出す頃、ボクはめずらしく自然と目が覚めた。

 寝ぼけまなこをこすりながら、筋力が衰えて重いカラダに気合を入れ……なんとか起こす。

 そうして、まだ寝起きでぽやっとする目をパチパチしながら、眠っていたベッドの周りを見渡してみる。


「ボクの部屋だ……」


 眠い目、それにそもそも弱いボクの視力ではハッキリと見ることは出来ないその視界。それでも勝手知ったる自分の部屋。そんなことは何の障害にもならないんだもんね。


「えへへっ、ボク、お家に帰ってきてるんだ」


 ボクは自分の目でしっかり確認したその事実に思わず頬を緩めちゃう。やっぱ自分ん家っていいよね。すっごく安心できるもん。


 それに……なにより、お母さんや、春奈がいるんだもん。

 ……そんなことを考えると自然ボクの頬はいっそう緩み、1人笑顔でベッドに座ってる変な子になってた。


「それにしても……ボク、いつの間にベッドに入ったんだろ? お風呂でお母さんに叱られて……その後、リビングで飲み忘れてたお薬飲んで……」


 ボクが昨日のことを思い返し、いつベッドに入ったのか思い出そうとしてたら……、


『コンコン』


 部屋のドアがノックされた。きっと春奈だ!


「はーい! どうぞ~、入っていいよ」


 ボクが答えたのが先か、ドアが開くのが先か? 微妙なくらいのタイミングで、引き戸が開き……やっぱ春奈が入ってきた。


「あっ、お姉ちゃん、起きてるじゃん! 今日、地震とか起きたりなんかしないよねぇ?」


 春奈がベッドでカラダを起こしてるボクを見てちょっと驚いた声をあげ、いつもながら失礼な一言をボクに向って言う。


「もう、春奈! 朝一番で顔を合わせた早々の挨拶がソレなの? 失礼しちゃう! だいたいボクの返事も聞かないでドア開けないでよね。ちゃんと入っていいって言ったんだからね? ……どうせ確認もしないでドア開けちゃったんでしょ?」


 そんなボクの抗議の言葉も耳に入ってないみたいで、おかまい無しに近づいてきて、ギシっという音と共にベッドに腰かける春奈。


「まぁ、そんな固いこと言わないでさ。それよりお姉ちゃん、良く眠れた? 昨日の夜、大変だったんだからね? 感謝して欲しいよ~」


 腰かけて早々、ボクのアタマを撫でながらそう言うと、いたずらっぽい顔をしてボクの顔を見つめてくる。

 ボクは延ばしてきた春奈の手に、一瞬首をすくめながらもおとなしく撫でられておく。撫でられるのはキライじゃない。ちょっと春奈ってのがシャクだけど、でも、うれしいもん。


「ったく、ボクの話、全然聞かないんだからぁ。……でも、何が大変だったの? ボク、そのぉ……昨日の夜のこと……いまいち覚えてないんだけど……? なんか迷惑かけちゃった?」


 ボクのその言葉に春奈はニヤリと笑い……、


「ううん、そんな大したことないよ。リビングでお薬飲んで……それからお母さんが作ってくれたホットミルクをおいしそーに飲んでたんだよ? でも、それからすぐだったよ。お姉ちゃんがその場で眠り込んじゃったのは」


 そう言って、「むふふぅ」と笑いながらボクを見てくる春奈。そして、


「大変だったんだからね? 眠ったお姉ちゃんをオンブしてここまで運んできて……ベッドに寝かしつけるの。感謝してよねぇ? それにしても、オンブしたらさぁ、お姉ちゃん寝ぼけながらも抱き付いてきちゃって……ベッドに下ろすときもなかなか剥がれないから、ほんと大変だったよ、つくづく甘えんぼさんだよね、お姉ちゃんって」


 春奈のその言葉にボクは絶句した。

 ボクのお顔は恥ずかしさで、もうまっ赤になってるに違いない。だって……お顔が熱くて仕方ないんだもん。


「そ、そう、だったんだ。ごめんね、春奈。迷惑かけちゃって……」


 ボクはなんとかそう言葉を返し、恥ずかしさから俯いて春奈の目線から顔をそらした。


「いーえ、どういたしまして! さっ、とりあえず朝ごはん、出来てるからイコ!」


 きっとニヤリと笑ったに違いない春奈は、そう言うとボクの腕をとりベッドからゆっくり下ろしてくれて……ボクたちは食堂へと向うのだった。


 そういや、まだお顔も洗ってないのに……。


 ボクはそう思いつつも、久しぶりの春奈との朝のやりとりに暖かい気持ちにつつまれ、起きてからずっと緩んだ頬に思わず手をやり、……幸せな気持ちでいっぱいになった。



* * * * * *



「「こんにちわー!」」


 お昼ごはんを食べ、リビングでまどろんでいたらダイニング側にあるインターフォンから元気な声が聞こえてくる。

 あれ? この声って……。


「あっ、きた!」

 

 春奈がその声を聞くや、インターフォンで返事するのも億劫なようで、ドタバタと玄関に向けて走っていく。

 ボクは訝しげな表情を浮かべながらも、聞こえてきた声からだいたい見当が付いてしまった。ったく、春奈ったら。それならそうと先に教えてくれてたっていいのにさ。

 ボクがそんなこと考えてたら、玄関から春奈とお客さまの楽しそうな声がだんだん近づいてくる。


 ボクは髪の毛を撫でつけ、春奈に着せられたお洋服に変なとこないか、見下ろして確認する。それにしても……どおりで春奈のやつ、ボクに部屋着じゃだめなんて言ってお外行くときのお洋服を着せたがったわけだよ。

 ボクのカッコは、白いロンTに3段フリルの黒いスカパン、そこに赤地に白ドット柄カーデを羽織ってる。


「お姉ちゃ~ん! お客さんだよ~!」


 春奈がもうバレバレなんだけど、一応そう言ってボクに元気良く声をかけて来た。

 ボクがそっちを見やると、春奈の後ろ……肩越しからボクの方を覗き込んでくお客さまの1人。へへっ、ったく、しょうがないんだから……。


「優衣ちゃん! お久しぶりだね。今日はボクにお顔、見せにきてくれたの……かな?」


 ボクがそう声をかけると、ちょっと遠慮がちだったその行動から一転、


「いやーん、蒼空ちゃん。会いたかったよ~!」


 そう言ってボクの前まで駆け寄ってくるとボクの手をとり、もう今にも振りまわしそうな勢いで上下させた。もう優衣ちゃんったら、会うなりいきなり元気いっぱいなんだから。


「ったく、優衣ったら。今日ばかりはさすがに大人しくしてるなぁって、思いきやこれなんだもの……」


 そう言って続いて現れたのは亜由美ちゃん。現れてそうそう優衣ちゃんの姿をみて呆れちゃってる。……お目付け役、大変だね。


「亜由美ちゃんも来てくれたんだ。ありがとー!」


 そんな呆れる亜由美ちゃんにも声をかけるボク。


「当然です! 蒼空ちゃんがようやくお家に戻ってきたんですもの。お見舞いに行けなかった分、いち早く駆けつけたくなるのは当然のことだと思います!」


 優しい笑顔でボクにそう言ってくれる亜由美ちゃん。


「えへへっ、ありがとう! 亜由美ちゃん。それに優衣ちゃんも。でも、ボクまだ今はお試しの外泊だから、ほんとの退院はもうちょとかかるんだよ?」


 ボクは勘違いしてるといけないから、確認するようにそう言って2人を見る。


「お姉ちゃん、それはちゃんと伝えてるから大丈夫だよ。ねっ」


 春奈がボクにそう言ってから、2人に確認するように言う。春奈の言葉に頷く亜由美ちゃんと優衣ちゃん。


「もっちろん、そんなことは分かってるんだけどさ。蒼空ちゃんが病気と闘ってるときに、お見舞い行けなかったし……。それにさぁ、あの子が行ったのに、私が行けてないなんてどうよ!って思ってたわけだし……。だから今日の機会を逃してなるもんかって! ってなもんよね」


 妙な気合と共にそう感情込めて語る優衣ちゃん。それを見て亜由美ちゃんが突っ込む。


「優衣ったら、お見舞いは競争するもんじゃないの。気持ちが大切なんだからね! あの時は蒼空ちゃんも大変だったんだし、そう大勢で押しかけて行ったら、負担になるって……あなたも納得してたでしょうに。ほんと、発想が子供なんだから……」


「でも……優衣ちゃん。ボク、あの時みんなからもらった寄せ書き……すっごくうれしかったよ。ボクあれ見て、がんばろうって気持ちがすっごくわいて来たんだもん。ほんと感謝してるよっ」

「ううっ、蒼空ちゃん。うれしいこと言ってくれるよっ」


 優衣ちゃん、そういうとずっと握ってたボクの手を自分の頬に持っていき、頬摺りなんかしだすし。


「ほら、優衣。もういいでしょう? いいかげん落ち着きなって。……いつまでもお姉ちゃんの前で突っ立ってないでさぁ。亜由美も座ってね。私、お茶の用意するから……ゆっくりしててね」


 とうとう春奈がしびれをきらしてそう言い、ボクからなかなか離れない優衣ちゃんをソファーに座らせる。亜由美ちゃんもそれを見てようやく腰を落ち着かせることが出来たみたい。


「蒼空ちゃん、ちょっと気が早いかもしれないけど……病気、快方に向って良かったね。退院して、体が戻ったら……また一緒に遊びに行こうね!」

「そうそう、こうやってお家に帰ってこれたんだもん。きっと退院だって問題なく出来ちゃうよね! そしたら……まずは、またみんなでカラオケだからね? 野郎どもも蒼空ちゃんのことすっごく心配してるんだからさ。外に出れるようになったら顔見せてやってね?」


「うん、2人ともありがとー! ボク絶対早く良くなるからね。カラダだって早くお外に出られるようがんばるよ。それにさっ、ガッコだって……たぶん、まぁ12月半ば過ぎになるかもしんないけど……復学しちゃうんだからね~」


 ボクはうれしさから、まだまだこれからどうなるかもわかんない、ガッコの話しまでしちゃった。


「お姉ちゃん、その話はちょっと気が早過ぎなんじゃない?」


 そんなところに春奈が戻ってきて、きっちり突っ込み入れてきた。

 

「むぅ、だって……この間、そういう話になってるってこっそり教えてくれたじゃんかぁ」


 ボクが思わずふて腐れて言うと、


「そ、それはそうだけど……それはあくまで予定の話しでしょ? 学校にも色々準備が必要だから前もって伝えてるだけじゃん。突然行くわけにもいかないんだからさぁ。それにお姉ちゃん、体力だって、その時にどれくらい回復してるかわかんないじゃん?」

 

 春奈がボクを諭すように言ってくるけど……な、なにさぁ……そこまで言わなくたってさ!


「ぶぅ! 春奈のいじわるっ、ボク、絶対大丈夫なんだから。み、見てなよ? きっと予定通りガッコに行けるようになって見せちゃうんだからね? 今の言葉覚えときなよ?」


 ボクはまるでドラマの悪い人の捨てゼリフみたいな言葉を口にしつつ、ほっぺを膨らませ唇を尖らせながら、春奈に向って"いーっ"て、してやった。

 そんなボクをなんか可哀想な人を見るような目で見てくる春奈。そして言う。


「はいはい、わかりまちたよ~、だから大人しくしましょうねぇ、あんまり興奮すると体にさわりますからねぇ」


「はぅ! もう、春奈ったら~!」


 ボクが勢い、よたつきながらも立ち上がろうとしたところで、


「はい蒼空ちゃん、それくらいにしとこうね。ほら、春奈もいいかげんからかうのよしなさい。それより、それ早くテーブルに置いちゃいなさいよ。そのうちこぼしちゃうよ?」


 ボクの脇にいつの間にか亜由美ちゃんが寄ってきて、立ち上がろうとしたボクを抑えつけ、更には春奈にも注意する。そして亜由美ちゃんが言ったそれってやつに……ボクの目が行く。


「い、いちごショート♪」


 入院以来、ずっと食べられなかった……大好きなスイーツ。最後に食べたのは……あの合宿の時……。


「おおっ、蒼空ちゃん、ハンパなくキラキラした目でケーキ見ちゃってるよ!」

 そんなボクの様子を見て、茶化したように言う優衣ちゃん。

「ふふっ、ほんと。よっぽどうれしいんだね? 蒼空ちゃん」

 それに笑顔で同意する亜由美ちゃん。


「お姉ちゃん、これは亜由美と優衣のお見舞いの品だからね。心して食べてよね~?」


 そしてそのケーキの出所を告げる春奈。そ、そっか、2人のお見舞い品なんだ。


「ありがとう! 亜由美ちゃん、優衣ちゃん。ボク、いちごショート食べれるのってほんと久しぶりなのっ! 今まで火が通ったものしか食べちゃいけなかったから……すっごくうれしい」


 ボクはさっきまでの春奈との口ゲンカのことも忘れ、もう、いちごショートに心を奪われてた。そんなボクをみんながうれしそうに見て、そして一緒になっておいしねっていいながら……ケーキをほおばった。春奈が入れてくれた紅茶も、いい香りがしてとってもおいしいし。


 ボクはいちごショートに舌鼓を打ちながらも、きっと無事退院して見せる。そう思う気持ちがいっそう強くなっていった――。


# # #


「ちょっとおトイレ行って来るね」


 亜由美たちが来て、お茶を楽しみながら、みんながお互いの近況報告をしている最中、そう言って席を立とうとするお姉ちゃん。


「大丈夫? 一緒についてこうか?」


 とりあえずそう聞いてみる。


「ううん、大丈夫。お家の中くらい1人でなんとかなるもん。春奈はお話続けてて」


 やっぱりね。


「わかった。けど、無理しないでね? つらかったらいつでも呼んでよね?」

「うん、わかった。 それじゃ」


 お姉ちゃん、そう言って手摺りにつかまり、一歩一歩確かめるように……トイレに向って歩いてく。

 ったく、……変なとこで意地っ張りなんだから。ほんと、どんだけ無理するなって言っても聞かないし……これってウチの家系の持つ性質かな? 私にしたって負けず嫌いだし……お母さんもああ見えて、言い出したら絶対ゆずらないしさ、ふふっ。


「春奈ってば、何にやけてんの? 気持ち悪っ!」


 いけない、つい顔に出てしまってたか。それにしても優衣ったら……。


「ちょっと、気持悪いってなによぉ、失礼ねぇ。ちょっと思い出し笑いしちゃっただけじゃん」

「ふーん、思い出し笑いねぇ……。ところで春奈? 蒼空ちゃん、もうほんとに大丈夫なの?」

 ふざけ顔から一転、まじめな調子になる優衣。


「久しぶりに蒼空ちゃんと会ったけど……見るの可哀想なくらい痩せちゃって……それに……顔色だってまだ青白いし……」


 優衣が心配そうな顔をして私に聞いてくる。


「ちょっと優衣、何言い出すの。そんなこと今ここで聞かなくたって……」


 亜由美がそう言って優衣をたしなめるけど……きっと亜由美も気になってるんだろうな?


「ふふっ、優衣。心配してくれてありがと! 確かに今のお姉ちゃん、手術は成功して血液の病気も快方に向ってるらしいんだけど……そう簡単に完治ってわけにはならないみたいなんだ。

 でも、それは時間かけてゆっくり経過みてかないといけないみたいでさ。とりあえず近いうちに退院出来るってのはほんとだよ。今は長い治療のせいで痩せちゃってるけど、それはこれからいっぱい食べてもらって挽回させちゃうよ! 顔色だって、あれでも随分ましになったんだよ? 髪やお肌だってすっごく荒れちゃってたけど……ここ最近でほんとかなり回復してきたんだからね」


 私はそう言うとニヤリと笑い、優衣と亜由美を見る。そしてもう一言。


「だから、大丈夫! だから2人とも、これからもお姉ちゃんのこと、よろしくね」


 曇っていた優衣の表情が再び明るいものに変わり、


「おーけー! 任しといてよっ! これからいっぱい、無くした時間以上に、楽しいこと蒼空ちゃんに体験してもらわなくっちゃね」

「そうね、いっぱいいっぱい、楽しいことしましょう!」


 優衣の乗りに亜由美も合わせ、そう言ってくれる。

 ほんと、いいやつらだよ……。


「とりあえず、さし当たってのイベントっていえばさぁ……」


 優衣が何かいいかけたところで、


「何なに? イベント? なんかあるのぉ?」


 お、お姉ちゃん……間が悪いんだから……。


「あ、ううん。こっちの話、こっちの。……蒼空ちゃん、ちゃんとトイレ行けた? まさか転んだり、お漏らしなんかしてないよね?」


 優衣がとっさにごまかし、ちょっとイジワルな切り返しをする。


「も、もう、優衣ちゃんまでひどい~! ボク、お漏らしなんかしないもん。それに、ボク、そんなに頼りないぃ?」


 そう言ってふて腐れ、思いっきりほっぺを膨らませ、そっぽを向くお姉ちゃん。

 優衣……誤魔化そうとしたとはいえ、ちょっと言い過ぎだよ。

 さすがに今日2度目ともなると、なかなかその機嫌は治まらず、スイーツという機嫌直しのエサももう無くなった私たちは、機嫌取りするのにやたら体力を消耗し、そりゃもうげんなりしてしまった。


 ――もう勘弁して欲しいよ。お姉ちゃん、いったいいつになったらその子供っぽさ……抜けるのよぉ?



 その後……結局、ふて腐れたままお姉ちゃんは疲れて眠ってしまい、私たちは3人は苦笑いするしかなかった。



「ごめんね2人とも。あんなお子チャマ、相手してもらってさ。疲れちゃったでしょ?」


 帰り際、私が2人にそう言って謝ると、


「春奈、気にしなくっていいよ。ああいうのも含めて、蒼空ちゃんはかわいらしいし。それにそうなっちゃう気持ちも……少しは分かる気もするし。

 ――3ヶ月以上、ほとんど1人ぽっちで病気と戦いながら病室で過ごすなんて……私でもどうなっちゃうかわからないもの。よくがんばったよ、蒼空ちゃん。

 それ以前のことだって、まだまだあるだろうし……蒼空ちゃんの中では、きっと家族に甘えたい気持ちや、見て欲しいって気持ちがすっごく強く……あるんだと思うな」


 そう言って笑顔を見せ、優衣と一緒に帰って行った亜由美。

 優衣にしたって同じように気持のいい笑顔を見せ、元気に手を振ってくれてた。


 まじいいやつらだよ。


 でも亜由美の言葉は考えさせられる。


 お姉ちゃんの気持ち……かぁ。



 ちぇ、そんなの私に分かるわけないじゃん……。

 私は私なりにやるしかないもん。



 リビングに戻った私は、ソファーで眠る……さっきまでのふて腐れようがウソのよな、天使のような寝顔を見せるお姉ちゃんを見て軽くタメ息を付き……、


 ちょっと仕返しとばかりに、そのかわいいおでこに軽くデコピンくらわせてやった。

 途端、かるく眉根を寄せるお姉ちゃん。


 でも目を覚ますほどでもなく……。



 ふふっ、思い知ったか。


 多少溜飲を下げた私だった。


ほんとわがままいっぱいの蒼空です。


どうしましょうね、ほんと。

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