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心のゆくえ  作者: ゆきのいつき
2章
44/124

ep42.進路とかWの親子とか

※話数を修正しました。

「あ、ママ。 お帰りなさ~い」


「はいはい、ただいま! お友達の到着にちょっと間に合わなかったみたいね」

 沙希ちゃんのお母さんは、そう言ってテーブルにつくボクたちのほうを見る。

  

「こんにちは~! はじめまして。 オジャマしてま~す」

 春奈がすかさず挨拶した。

 ボクも出遅れたけど挨拶しなきゃ。

「ふ、二人してオジャマしてすみません。 沙希ちゃんにはいつも遊んでもらってます……」


「はい、いらっしゃい! お二人のことはいつも沙希から、それはもうよ~く聞かされてるわ。 うふふっ」

 そう言うと沙希ちゃんのお母さんはいたずらっぽく笑った。


 沙希ちゃんのお母さんは、卵型の顔に沙希ちゃん同様ちょっとタレ目のかわいらしい顔をしてて(大人の人にかわいらしいって失礼なのかな?)、ショートヘアを細かくウェーブさせた髪型とあいまって活動的な感じで若々しく見える。 ちょっと見、沙希ちゃんとは歳の離れた姉妹みたいに見えなくもないかな?


「ま、ママっ! よ、余計なことは言わなくていいから! それより二人、ちゃんと紹介するね」

 沙希ちゃんがちょっと焦りながら話しだす。 ボクたちも紹介してくれるみたい。


「えっと、こちらが柚月 蒼空ちゃん。 以前骨折で入院した時知り合ったのが最初っ」

 ボクは沙希ちゃんの紹介の言葉と共に、お母さんにぺこりとお辞儀した。

「そしてぇ、こちらが春奈ちゃん。 春奈ちゃんは蒼空ちゃんのぉ……、そのぉ妹さんだよ」

 沙希ちゃん、ちょっと春奈の紹介とまどった……やっぱ初対面の人に妹っていうの違和感あるもんねぇ……、はぁ。

 春奈も、ちょっと苦笑いして会釈する。


「蒼空ちゃんに春奈ちゃん! ようこそっ。 二人とも沙希と仲良くしてくれてありがとね。 たいしたおかまいも出来ないけどゆっくりしていってくださいな?」

「「はい、ありがとうございま~す」」

「うふふ、やっぱり女の子はかわいくていいわねぇ。 しかも姉妹で……、うらやましいわ」

 沙希ちゃんのお母さんは特にボクのことを変な目で見ることも無く話しをする。 沙希ちゃんに前もって色々聞いてはいるんだろうけど。

 ……でも春奈はかわいくなんかないもん、いじわるだもんね。 ふーんだ。


 ――まださっきのことを根に持つ蒼空だった。


「ほらぁ、ママもういいでしょ? 私たち今からお話あるんだからあっちいっててよぉ」

 沙希ちゃん、まだお話ししたそうなお母さんを追い出しにかかる。

「あらぁ、もっとお話ししたいのに……。 まぁオジャマ虫はおやつの準備でもしてましょうか? うふふっ、楽しみにしててね」

「わぁ、ママほんと? ウレシイ~! 楽しみにしてる。 それじゃそういうことで、ねっ!」


 沙希ちゃん、おやつ発言に喜びつつも無慈悲にお母さんを押し出していく。


「二人ともまた後でお話ししましょうね~」


 そう言ってようやくキッチンの方へ向かって行くお母さん。

 沙希ちゃんのお母さん……楽しい人だね。 でもちょっと面倒くさそう……。


「はぁ、二人ともゴメン。 ほんと面倒なんだからぁ……。 でもおやつは楽しみだネ!」

 沙希ちゃんの性格って、絶対お母さん譲りだよね? 間違いないよ。



「さてと、じゃあ本日の議題についてぇ~蒼空ちゃんよろしくぅ♪」

 沙希ちゃんが素早く気分を切り換えてボクに振ってきた。

「う、うん。 じゃあそのぉ、中卒認定試験なんだけど……、メールで連絡はしたけどあらためて。 おかげさまで無事合格出来たよ。 沙希ちゃんにも色々心配してもらって……、ありがとう」


「あ~ん、よかったねっ、蒼空ちゃん! 改めて、合格おめでと~♪」

 沙希ちゃん、まるで自分のことのように喜んでくれてる。 ウレシイな。

「でね、中学の推薦も前々からの約束通りしてもらえたの。 それで高校なんだけど……言ってた通り清徳大付属にしたよ」

 ボクはそこまで報告すると、沙希ちゃんの方を見て恐る恐る聞いてみる。

「それで、ね、沙希ちゃん。 沙希ちゃんは結局高校どこにしたの?」


 沙希ちゃんはボクの話しを聞くとニヤッと笑い、そして言った。

「そりゃ、もっちろん! 蒼空ちゃんとおんなじ清徳大付属に決まってるじゃん! 私なんて蒼空ちゃん試験受かるって信じてたから、もうとっくにガッコの先生には清徳に行きますって言っちゃってたもんねぇ!」


 さ、沙希ちゃん。 君って人は……どうやったらボクのことそんなに信じられるのかなぁ? ボクはちょっとあきれちゃった。 まぁ結果オーライだけど……。


「沙希ちゃん、あんたすごいねぇ? 私関心しちゃうよ」

 春奈もちょっとあきれぎみに言う。


「うふふぅ、いやぁ、それほどでも~」


 沙希ちゃん……なんか照れてるけど、ボクも春奈も別にほめてないから。 あきれてるんだからね?

 でも沙希ちゃんは、ほんといい子。

 ボクが女の子になってからの初めての友達……、一緒の高校行ってくれるって言ってくれた時は、ほんとにうれしかった。

 

 これからも、ずっといい友達でいてくれたらいいなぁ……。


「それで、そう言う春奈ちゃんはちゃんと清徳に出願出したの?」


 おっとまた考えこんじゃった。 沙希ちゃんが春奈に反撃してる。

「そんなの聞かれるまでもないもんねぇ、私もとっくに清徳で行きますって先生に言ってるも~ん!」

 春奈がこともなげに言ってのけた。

 

 春奈……、普段はボクにいじわるなことばっかしてくる、にくたらしい妹。

 そのくせボクを誰よりも心配してくれるやさしい妹。(もちろんお母さんは別だ)

 でもそんなに自分のことよりボクばっか優先してたら、自分のやりたいことも出来ないんじゃないか? とお姉ちゃんはすごく心配です。 ……でもありがとね、春奈っ。


「むむぅ、やるなぁ春奈っち。 敵ながらアッパレ!」

「ちょっと沙希ちゃん? 私いつからあんたの敵になっちゃたのよぉ? もう」

「えへっ、ごめ~ん! 冗談じゃん、許してぇ~」


 春奈と沙希ちゃん、とうとうじゃれあい出しちゃった。

 本日の議題、これでうやむやのうちに終了かな?

 ふふっ、うやむやじゃない……よね。 みんなすでに結論出してて、結局ボクが一番最後だったんだもんね。


「はいはい、みんな楽しそうね? だけどちょっといいかしら? ほ〜ら、お待ちかねのおやつの時間ですよ~!」


「ママっ、ナイスタイミングだねぇ! ちょうどお話しもキリいいとこだったのっ」

「ふふ~ん、ママの超能力すごいでしょ? だからママもお仲間に入れてもらってもいいかしら?」

「うぅ! それは、私の一存じゃあ……」


 沙希ちゃんタジタジだ。 やっぱどこのお家でもお母さんが一番強いんだよね。


「ボクはいいよ! おばさん」


「はぅ! そ、蒼空ちゃん? おばさんじゃなくて、七海ななみさん、もしくはお母さんとか? それとも、お姉さんっ♪……でもいいんだけどなぁ? ……呼び方、どうかしら?」

 沙希ちゃんのお母さん、おばさんって言われるのがいやみたいだ。 でもそれじゃなんて呼んだら……。

 ボクが思わず悩んでると、沙希ちゃんが言う。

「もう、ママったら友達に変なこと吹き込まないでよぉ。 蒼空ちゃん、気にしなくていいから、"おばさん"って言ってやってよ、"おばさん"って。 にひひぃ」


 沙希ちゃんの顔が小悪魔に見えてきた……。


「じゃあ私、七海さんって呼ばせてもらっていいですか?」

 春奈が意外なトコからおばさんの援護にまわった!


「うんうん! 大歓迎よ、春奈ちゃん。 良かったら家の娘になるっ?」

「ちょ、ママ! いい加減にしてよぉ、ふざけすぎ」

「ふふっ、そうねちょっとおふざけが過ぎちゃったかしら? ごめんなさいね、蒼空ちゃん。 あっ、でも春奈ちゃんはぜひさっきのでお願いね?」

 

 はぁ、すごいや沙希ちゃんのお母さん。 ウチの伯母さんといい勝負になるかも? ボクにはとても相手は務まらないのはどっちも同じだ。


「さあ、それじゃ食べましょうね? はいどうぞっ」


 沙希ちゃんのお母さん……この際ボクも七海さんて呼ぼうかな? ……がテーブルの上におやつ(なんと苺ショートだっ)と紅茶をそれぞれの前に置いてくれる。


 ボクが苺ショートを見て目を輝かせていると、それを見た七海さんが言う。

「蒼空ちゃん、ほんとに苺のショートケーキ大好きなのね? もうすっごくかわいい顔して目をキラキラさせて見てるわよ?」


 ――ほんと赤いおめめをキラキラさせて……苺みたいね? うふふっ。

 それにしてもなんてかわいらしい子なのかしらっ、真っ白い髪に透き通るような白い肌。 それにちっちゃくってまるでお人形さんみたい! まさに沙希ちゃんが言ってた通りの子よねぇ。 う~ん、抱きしめちゃいたいわ。

 でも聞けば色々体が弱いってことだし、大人がしっかり守ってやらなきゃね――


 七海は表面で見せる軽々しさとは裏腹に、七海なりに色々思うところはあるようである。


「うん! 大好き。 七海さんありがとう、いただきま~す」

 ボクは早速出されたケーキを紅茶と共に味わう。 あぁ、至福のひと時だよ。


「あらあら、蒼空ちゃん! 今、七海さんって呼んでくれたのねぇ? うれしいわ~」

 そう言ったのと同時に七海さんボクに抱きついてきちゃた! むむぅ、結局またやられちゃったよぉ。

「あっ、ちょっとママっ! なにやってるの? 私も最近は遠慮してやってなかったのに~!」

 

 沙希ちゃん、突っ込むところが違うよぉ!



 それからのボクはとっかえひっかえ渡辺親子に抱きつかれまくり、春奈はそれを、横でお腹を抱えて笑いながら見ていた。


 それからしばらく、みんなで(七海さんも交えながら)ボクの中卒試験の時の話しや高校受験の話などをして過ごした。

 なんと七海さんは清徳出身なんだって! 沙希ちゃんも初めて聞いた時にはビックリしたらしい。 そりゃあビックリするよね。

 でも親子で同じ高校に通うなんてステキだ……とボクは思った。


 そして時間はあっという間に過ぎ去り、名残惜しくも沙希ちゃん家を後にした。

 ちなみに帰りは駅まで七海さんの車で送ってもらっちゃった! えへへ~。




 それにしても渡辺親子オソルベシ……。



沙希ママ、七海さんおそるべし……

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