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心のゆくえ  作者: ゆきのいつき
1章
16/124

ep15.蒼空ちゃん

※話数を修正しました。

 沙希ちゃんとは、あの後1時間近くお話してたら香織さんが再度登場し、あまり長話はだめよって注意されてしまったため、その日はお開きになっちゃった。


 沙希ちゃんは、中学2年の13才(春奈と同じで早生まれみたい)で、学校は違うけど春奈と同じ学年ってことだから、ボクよりは1っこ下になる。 でもボクは1年遅れで高校に入る(予定)だから、もしかすると同じ高校で同級生ってことになったりして? ふふっ、さすがにそれはないよね。


 ボクにも妹がいて、沙希ちゃんと同じ学年だよっていったら沙希ちゃんすごく驚いてた。

 うっかり忘れちゃうんだけど、ボクって外見は11才くらいの女の子にしか見えない(実際そうみたいなんだけど)から沙希ちゃん、ボクのこと年下って思ってたみたい……、まぁそりゃそうか。


 あの抱きつき……、そのせいもあったのかな?


 とりあえず、また春奈のことも紹介するよってお話した。(春奈とも友達になって欲しいもん)


 それにしても沙希ちゃんって、かなりの "天然" が入ってる気がするよ。


 沙希ちゃんは、残念ながらあと5日ほどで退院しちゃうみたい――、せっかくお友達になったのに残念だけど、退院するのはいいことなんだからこんなこといっちゃダメなんだよね……。

 でも週に何度かはリハビリのために通院するから、そのとき遊びに来てくれるっていってたから楽しみにしてよっと。


 でも、とりあえずは明日も来てくれるから楽しみだ♪



 やっぱ友達が出来るっていいなぁ……。



* * * * * *



「どお? 沙希ちゃん、蒼空ちゃんとは仲良くなれたぁ?」

 夕方の検温をしにきた吉田さんが、今日の成果を聞いてきた。


「うん! 吉田さん、今日は連れてってくれてありがとう! バッチリお友達になれたよ~♪」

「もうかわいすぎて、つい抱きついちゃったぁ!」


 あらあらぁ、とちょっとあきれた顔をする吉田さん。


「それにねぇ、驚いちゃった! 蒼空ちゃん私よりも年上なんだって。 妹さんがいて、その子が私と同じで中学2年なんだってぇ」


「てっきり年下の子かと思って、かわいい、かわいいって言っちゃってたから失礼だったかなぁ?」


 吉田さんは、ちょっと考えてから話し出した。

「沙希ちゃん、蒼空ちゃんがどうして入院してるかぁ……ってお話し、今日したぁ?」


「ううん、してないよ。 なんかそんなこと、まだ聞きにくいし――、学校の話とか、妹さんの話とか……そんなだよ」


「そうかぁ、とりあえず失礼……とかそんなことは、蒼空ちゃん気にしないと思うけどぉ。 あのねぇ蒼空ちゃんの見た目とかはね、病気が原因なのぉ」

 吉田さんが真面目な顔で話し出した。


「沙希ちゃんには、簡単にお話ししておくねぇ……、いろいろ戸惑うといけないからぁ。 あ、このことは蒼空ちゃん担当の看護師さんや、モチロン蒼空ちゃんにも話していいって了承得てるからねぇ」


 私は、思わずごくりとツバを飲み込んだ――、な、なんなの? このマジな雰囲気……、緊張しちゃうじゃない。


「蒼空ちゃんは、生まれつきの遺伝子の病気でねぇ、体の色素が欠損して……白く見える状態でぇ生まれたの。 それに体の成長も普通の人より遅れぎみなこともあってぇ、それで白い髪の毛だったり、沙希ちゃんから見て年下の子に見えちゃったりしたのねぇ」


「それにぃ、事故にあって最近までずっと寝たきりだったのね。 だから体の筋力が相当衰えちゃっててぇ、今は一生懸命リハビリして普通の生活が出来るように頑張ってるのぉ」



 ――この話しは、今後も色々な場面で必要になってくるであろうことを見越して、日向や石渡医師、それに看護師の西森……、関係者みんなで考えた、"対外的に蒼空の病状、見た目を説明するため作った話" で、もちろんホントの話を交えつつではあるが、一部話すことの出来ない事実を隠した……、身の上話なのだった――



 私は、呆然として話を聞いてた。


 私は、蒼空ちゃんの見た目に大はしゃぎし、ただただかわいい、かわいいって自分の気持ちばっか蒼空ちゃん(年上だから "ちゃん" はダメなのかなぁ)に押し付けてた。


 私、蒼空ちゃんにひどいことしちゃったのかな?


 不安そうな表情を浮かべ、しょげ返ってる私を見て吉田さんが、言ってくれた。

「沙希ちゃん? そんな顔しないでぇ? 大丈夫、蒼空ちゃんはそんなこと気にする子じゃないよぉ」


 私は、顔を上げて吉田さんを見る――、吉田さんは、うなずきつつ続ける。


「それにねぇ」

 なにやら、いたずらっぽい顔をして言った。

「蒼空ちゃんを"かわいい"ってかわいがりまくるの――、沙希ちゃんだけじゃなく、みぃ~んなそうだから! っていうかぁ、沙希ちゃんなんてまだまだカワイイもんなんだからぁ?」

 そんな気の抜けた話しをかましてくれる吉田さん。


 思わずガックリくる私。


 そしてまた真面目になって言う。

「こんな話しを沙希ちゃんに聞いてもらったのはぁ、友達になりたいって言ってくれた沙希ちゃんに、ホントの意味で蒼空ちゃんのお友達にぃ、なって欲しかったから……。 見た目からだけじゃない、ホントのお友達ね?」


 おせっかいしてゴメンねぇ、と言いながら私の頭をなでてくる吉田さん。


「要はねぇ、今日と同じように沙希ちゃんは沙希ちゃんらしくぅ、蒼空ちゃんと接してくれればいいのぉ。 だめよねぇ? 大人はずぐ難しいこと言っちゃうからぁ」

 "てへっ"っと舌を出し、今までの会話を台無しにする吉田さん。


 よ、吉田さん……、短いつきあいながら前から思ってたけど、マジ緊張感ないよねぇ? しゃべりかたもおっとりさん……だし、――語尾をのばすなぁ! ドジっ娘の私にそう思われるなんて相当だよ。


 もう、蒼空ちゃんに会うとき緊張しちゃうじゃないさぁ、明日も行くって約束してるのにぃ。

 

 でも、いいもん! 大人の考えなんて私にはわからないし、関係ないもん。


 そう考えつつ、蒼空ちゃんの顔を思いうかべる……。




 やっぱり、かわいい…♪

 やっぱり、天使ちゃんは天使ちゃんだよ!



 うん。




 ――でも、抱きつきは自粛だな? ワタシ。



* * * * * *



「そぉ~らぁちゃん! また来たよぉ~!?」




 その日は――、

 蒼空と沙希、これからもずっと仲の良い友達でいけそう……


 そんな気分にさせてくれる……、秋晴れのどこまでも続く青い空が広がっていた。



 

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