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【連載版】婚約者が死んだ――――社会的に。  作者: 笛路 @書籍・コミカライズ進行中


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23/23

23:なるほど

 



 私たちが商談をしなければ、レンブラント様の妹様が馬車に跳ねられることはなかった。

 

「なるほど」


 レンブラント様がそれだけ言うと、また優しくキスを落としてきた。


「んっ……なんで…………」

「いや、リリアーナ――妹のことは未だに辛いが、クリステルのせいにする気はない。それよりも、それだけで私の愛が揺らぐと思われているのが不服だ。なので、キスを繰り返そうかと」

「ワカラセ、ってやつですか?」

「…………クリステルは、いったいどこでそんな言葉を仕入れているのかな?」


 ――――あら?


 なんだかレンブラント様の様子が可怪しいというか、目が笑ってないのに笑顔というか……。

 ここで副団長が言っていた、なんて漏らしてしまうと、後々大変なことになりそうな予感。


「よっ……と」


 レンブラント様が急に私を抱えて膝の上に乗せた。

 お互いに座った状態だったのに、どうやって私の身体を持ち上げたのか。持ち上げられた本人なのに、一瞬の出来事過ぎて、何が起きたのか分からなかった。


 レンブラント様が私をそっと抱きしめ、首筋に頭を預けるようにしてきた。それはまるで幼い子どもが甘えるような仕草。

 サラサラの髪が首筋に当たって、少しだけ擽ったかった。


「事故の当日、伯爵が我が家に来た。今のクリステルと同じように、自分のせいだと謝罪しに。今も昔も、私はそれで伯爵を責めるのは間違っていると思っている」

「でも――――」

「クリステル、そんな理由で私から離れようとしないでくれ。私から愛しい人を奪わないでくれ」


 囁くように言われ、心臓がギュッと締め付けられた。

 

「ごめんなさい」


 自然と漏れ出た声があまりにも小さく、聞こえなかっただろうかと不安になっていたら、レンブラント様の腕に力がグッと入ったことで、ちゃんと伝わったのだとホッとした。

 

 それにしても、父がレンブラント様の家に謝罪しに行っていたのは知らなかった。

 全部思い出したわけではなく、所々を忘れている可能性があるのかもしれない。


「クリステルが忘れているようだというのは、伯爵から聞いていたんだよ」

「え……」

「昨日、妹の肖像画を見て『可愛い』と言ってくれたろう?」

「っ……はい」

「それが引き金になって恐怖を思い出したり、さっきみたいに自分のせいにしたり。クリステルの笑顔が曇るのが怖かった」


 何度目かのキス。

 ゆっくりと唇を離しながら、「まぁ、基本は真顔なんだがな」と言われて、ついつい目付きが鋭くなったのは許してほしい。


「んはは。うん、クリステルはそういう辛辣な顔のほうが可愛い」

「褒めてます?」


 レンブラント様の膝上で身体を少し動かし、距離を取りつつジッと瞳を見つめると、蕩けるように微笑まれた。


「そうも尻を動かされると、諸々が暴走するが?」

「っ!? 顔と言葉が合ってませんがっ!? そもそも、ここに座らせたのはレンブラント様じゃないですか!」

「うん。怒るクリステルも可愛いな」


 なんだか、真面目に話しているのが馬鹿らしくなってきた。


「もうっ。レンブラント様は、いつもちょっと格好悪いですけど、そんなとこも好きですよ」

「ん。これだけ両思いなんだから、私から離れる必要はないだろう?」

「はい――――」


 この日、両手では数えられないほどのキスをしたが、レンブラント様はまだ足りないと言い、より深いキスを続けて私を気絶させた。




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