1:桃尻が見えている
婚約者が死んだ――――。
社会的に。
こんなことになるとは思ってもいなかった。
婚約者であるファルハーレン公爵レンブラント様と、庭園の花々を愛でながらのんびりデートをしていた。
なるべく休みを合わせるようにはしているものの、騎士団長である彼の休みはよく潰れてしまう。
本当に久しぶりのデートだった。
まさかそんな貴重な日に、公衆面前ですっ転んで、桃尻丸出しになるなんて。
これは間違いなく、明日の朝刊に載るだろう。
『令嬢たちの憧れレンブラント騎士団長、王国立庭園で公然とわいせつ行為!? 臀部を丸出しに――!』
うん、大見出しはコレね。
上半身というか、顔面から地面にめり込み、膝を立てお尻を高く突き出した格好。
ジャケットの裾はめくれて頭に被さり、ズボンの縫い目がパックリと開き、下着もパックリと開ききっている。
「…………なるほど?」
ボレロを脱ぎ、レンブラント様のズボンの裂け目からぷりりんと覗く桃尻にそっと掛ける。
レンブラント様がボレロごとお尻を押さえながらゆっくりと立ち上がると、ジッとこちらを見つめてきた。
「…………怪我はないか?」
「こちらのセリフですが。まぁ、ありませんよ」
レンブラント様が、何もないところで一人で勝手に転けただけだ。
私はただ、アクロバティックなほど豪快にすっ転ぶレンブラント様と、その衝撃でパッカリと割れたズボンとそこから生まれ出た桃尻を眺めていただけだ。
通報されていないかだけが心配である。
「そうか、君が無事でよかったよ」
私をチラリと見て慌ててボレロを腰に巻いたかと思うと、ジャケットを脱いで私の肩に掛けてくれた。
その紳士さはいらない。
ジャケットで尻を隠せ。
私のボレロを腰に巻くな。
私の婚約者であるレンブラント様は、一般の認識では、クール紳士である。
二十八歳という若さで騎士団長という重要職に就いている。
しかも、この国の建国に関わっている一族で、公爵位を持っている。
何事にも動じることのないメンタルと、人を思いやれる優しさを兼ね備えた人。
見た目も言動も、全てがクールで完璧な紳士。
誰もが彼を憧れの存在として見ている。
女性ファンは星ほど。男性ファンもかなりいるだろう。
私からすれば、レンブラント様は確実にクールドジだ。
クールなのに、尽くドジをする。
それは小さなものから、今回のように隠しようのないどデカいドジまで。
凄いなと思うところは、昔からドジをしまくっているせいか、ドジをしてもフゥと一息吐いて、普通のクール紳士に戻るところだ。
どんなメンタルをしているのかと思うときがある。
連載にしちゃった☆
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