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アルケミスト~闇の世界で闇に生きる~  作者: 我流技褄
第2章 学院
16/19

遭遇

余り進んでない・・・

||

||


 エネルギーが抜けていくといっても直ぐに無くなる程早い訳ではない。極微量のエネルギーが、体から周囲へと拡散していくようなイメージだ。しかし抜けていっているのも事実なのだから、原因と解決策を直ぐに探さなくてはならない。幾ら微量でも生命(いのち)を削っているのと変わらないのだから。取り敢えず森へと入り、現状を確認することとした。


・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・


 どれくらい歩いただろう。辺りは見渡す限り木。川を探そうにも川は見つからない。木の実やキノコといった物さえ見つからない。そして何より・・・

(やはり駄目か。)

実は、木に傷をつける事で目印を作ろうとしたが、傷が付くと同時に直ぐに修復されてしまうのだ。他にも枝を折ろうにも何故か直ぐに元通りになるし、地面に置いた物も暫く時間がたつと霧散してしまうのだった。おまけに森の中にはエネルギーが充満しており、いびつな波を作っている為、索敵などもままならない。ここまで来れば答えは一つだ。あの列石はゲートであり、ここは神格の住処なのだ。

「おい、気付いているんだろ?いつまでこうしている。」

虚空に向かってそう言うやいなや、10歩程前の空間が一瞬揺れ、一人の老人が姿を現した。

「ふむ、流石は諸神に付け狙われるだけはあるな、ヘルメスよ。」

実はヘルメスは気付いていた訳では無い。索敵さえままならないのに、どうやって気付けと言うのだ。しかし、誰かの監視下にあること、そしてここが神格の住処であることを鑑みて、その存在が近くで見ていると予想しただけだ。

「御託は取り敢えず良い。こっちが聞きたいのは貴殿の名と考え方だ。」

ヘルメスが不遜な態度で接すると、老人は目を細めて言った。

「言葉には気を付けるがいい。我々は何時でも其方を消す事が出来る事を忘れるな。」

威圧的な老人に対してヘルメスはある考えに基づき、脅しをかける。

「へえ?これでも?」

そういってヘルメスは手を上げた。創り出すのは生命の螺旋。材料は周囲に沢山ある。完成したのは疫病。それも植物のみに対してのみ有効な疫病だ。自分の住処には普通自分に合う物しかない。相手がどのような存在であれ、彼が植物、あるいは森が好きである事は明白なのだ。それを崩す存在を彼が黙認できようか。老人の目が揺れている事が、これが有効である事を如実に示している。


「・・・はあ、分かった。我が名はマルドゥク。かつてサルトゥヌス、シペ・トテック、ヤム・カアシュと呼ばれた事もある。我が魔力は植物との相性が良い為、お主のいる国の森などを正常に保ったりしている。これでいいか?」

調べた資料に彼の名は載っていた。しかし、彼は余り大きな行動をしないせいでその資料と精度が余りにも悪かった。

「やっていることは分かった。まあ、本当のことかどうかは知らないが。しかし、まだいまいち考えが読めないな。まあ、本人から聞いただけじゃあどちらとも言えないか。で、お出迎えは有り難いけど、これからどうするの?」

「・・・帰れ。我は疲れた。何が悲しくてこのような輩とずっと話していなくてはならん。」

心底嫌そうな顔でマルドゥクが言う。

「おいおい、折角ここまで来たのに土産も無いの?こちらから踏み込んできたとはいえ、ただ追い払ってはいおしまいじゃあ、こちらの立つ瀬が無いんだけど?」

「厚かましい。勝手に入ってきおって立つ瀬もなにもないであろうに。そもそも其方にやれる物など無い。其方は全てを持っているだろう?」

「いや、全てでは無いが・・・形が無ければどうしようもないし。まあ、それならしょうがない。人間如きじゃあ元の場所に戻るのも大変なんだから、変わりに送ってってよ。」

相手の弱点と思しき部分が見つかれば、それこそ恐れる必要性が無い。

「・・・よかろう。そして二度と来るでない。」

マルドゥクは全て諦めたように溜息を吐くと、そう言った。


そうしてヘルメスはマルドゥクにより元の列石まで送られていった。余りにも短い・・・余りにも意味の無い会合の行われた一日の話・・・後にこの会合が重要な意味を持つこととなるとも知らず・・・

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