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3-16【柔らかなナニカと不機嫌なナニカ】

何だか上手く書けないまま日が開いてしまってすみませんm(_ _)m

もしかしたら書き直すかも。

「――――――じゃろう」

「――――ですか?」



 どこか遠い所から声が聞こえてくる。それは聞いたことのある声の様な気もするが、ハッキリとは思い出せなかった。



「しかし――――とはのう」

「きっと――――――ですよ」



 ぼんやりとした意識はまるで、霧がかかった様にハッキリとしない。



「というか――――じゃ?」

「運べ――――か?」



 何かを運ぶのか?



「いい気味――――」

「そんな――――」



 どうも一人がもう片方にお願いしている様だが……。



「コレでも――――」

「え! だ、大胆――――それを乗せて――――」



 不意に顔の上に何か柔らかいモノが乗る感触。おぼろげな意識の中で、そっとそれに触れてみる。


 それは餅の様に柔らかく、人肌の様な温度のナニかだった。

 全体的には柔らかいが、少しだけ硬い突起のようなモノもある……。



「やはりオトコはこれが――――」

「気持ち良い――――揉んで――――」



 いつまでも触っていたいソレは、不意に動き、一部が口の中に入ってくる。


 感触の良かったソレは、舌に触れた瞬間、猛烈な刺激となって俺に襲いかかってきた。瞬く間に意識が覚醒する。


「グッ!? ゲホッ! ゴホッ! ガハッ!?」


 飛び跳ねるように上体を起こした俺の目に映るのは、呆れ顔をした魔王と驚いた表情のティナ。


「な、何を!?」


「おや、やっと起きたか。全く、いつまでも帰ってこんと思ったらお主は……」


「だ、大丈夫ですか?」


 帰ってこない? キョロキョロと周りを見渡し思い返す。確か湯船に浸かってそれから……。


「のぼせて浮かんでいたお主を引っ張り上げるのは、一苦労じゃったぞ」


「のぼせ……ああ、寝てしまったのか……」


 そういえば意識が遠のいて行った気もする。どうやら脱衣場のようだが、魔王達はここに居て良いのか……?



「それで、目を覚まされないので……その……」


 ティナが話を続ける。


「顔の上にクロを置いた、と……」


 柔らかなモノの正体はクロだったらしい。ご丁寧にスライム状態で乗せてくれたと……。


「バッチリ目が覚めたじゃろう?」


「ああ……おかげさまでな」


「何と勘違いしたのか、随分熱心に揉みしだいておったのぅ」


 魔王がニヤニヤしながら見てくる。おっさんかお前は……。


「そうだな……お前には一生得られないだろう柔らかさだったよ」


 その一言に、魔王がピクリと反応する。


「ほほぅ……」


「リ、リリィちゃん?」


「礼も言わずにその態度、どうやらお主には色々教え込まんといかんようじゃの」


 じわりじわりと近づいてくる魔王。おい、やめろ。クロを持つのはよせ。


「そんなにコレが気に入ったのなら、もう一度味わうがよいわ!」


 魔王の手から放たれるクロ。ソレは姿勢の乱れた俺の顔に見事ヒットし、視界がクロ一色に染まる。


「クロよ! 後悔させてやれい!」


 魔王の叫びに呼応する様に、クロがカラダの因子を変化させる。そのまま再び俺の口の中に入ってきて――


「んな!? グハっ!!?」


 あらゆる苦味と辛味、酸味や渋味なんかを合わせたような、表現出来ない不快な味が、身体中を駆け巡る。


「あ……不味……」


 あまりの衝撃に耐え切れず、俺はそのまま意識を手放していった――。




 ◇◆◇◆◇◆◇◆



「酷い目にあった……」


 アレから数時間後、目を覚ましたら魔王もティナも居なかった。というか脱衣場に放置されて、すっかり身体が冷えてしまっている。

 もう一度風呂に入りたい気分だが、さっきの件もあるし、一度部屋に戻ることにした。



「あ、おかえりなさいアレウスさん」


 部屋でのんびりとくつろいでいるティナに、ただいまと声をかけ椅子に腰掛ける。魔王はまだ怒っているのか、露骨にこちらを見ようとしない。


「というか、置いて行くのは酷くないか……」


「あはは……流石にアレはアレウスさんが悪いです」


 そう、ティナが応えてくる。ティナですら俺を放置した位だからな、そんなに酷い事だったか……。


「いや、すまん。魔王がそんなに気にしてるとは思って無かった」


 普段から身なりに無頓着な奴だからな。まさかこんなにも拗ねるとは思ってもみなかった。


「ふん……ワシはそんな事気にしとらんわ」


 そう言いながらも、不満気な様子がありありと出ている。


「怒ってるじゃないか……」


「しつこい。わしをそんなに器の小さい存在にしたいのかの」


 器だけじゃなくて身体も小さいと、喉まで出かかったがグッと堪える。流石にそこまで口に出すと、次は不味いじゃ済まないだろう。


「わかったわかった、今回は俺が悪かった。この通りだ、許してくれ」


 そう言って素直に魔王に頭を下げる。


「……なんぞ、旨いものでも買って来るのじゃ。それで手打ちにしてやろう」


「ああ……色々買ってくるよ」


 魔王の機嫌を直せるようなもの……何かあったかと頭を悩ませる。

 根に持つからな、何かとびきりの物でもあれば良いんだが……。


 そんな風に思いながら、俺は宿を後にした。



 しかし――なんであんなに不機嫌になったのか、そこは結局わからないままだった。





ここまでお読みいただきありがとうございますm(_ _)m

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