3-15【依頼と大浴場】
長く間が開いてスミマセンでしたm(_ _)m
賢人、カストールに会い事情を説明した後。紹介されたのは皆が知っている人物、ツグモリだった。
酒場に居るはずと聞き、やって来た俺達を迎えたのは死屍累々と客の倒れている光景。そしてその中でなお、飲み続けているツグモリとウォルナックだった。
ツグモリは上機嫌な様子で、俺に事情を話せと告げてくるが――。
「その前に確認しておきたい。カストールの言っていたツグモリ……お前で間違いないんだな?」
「んだぁ? 俺以外にツグモリが居るかよ……いや、何処かにはいるかも知れねぇな! あっはっは!」
完全に酔っ払いなんだが、今のこいつに話して大丈夫なのか、不安になってくる。
「随分と酔ってる見たいだが……日を改めたほうが良いんじゃ無いか?」
つい疑いの眼差しをツグモリに向けてしまう。まぁ、この状況だとそれも仕方ないだろう。そう自分に言い聞かせていた時、ツグモリがサッと腕をひと振りする。
その先には、床に串刺しになった小さな虫。さっきまで手に持っていた串が、見事に虫の胴体を貫いていた。
「まぁ、俺くらいになれば酔っていようがこんなもんだ。どうだ、これで信じて貰えたか?」
「ああ、すまなかったな。どうやら大丈夫そうだ」
肩をすくめながら軽く謝罪をする。酔っていても然程問題はないらしい。
「それで本題だが……頼みたいのは他の賢人達の動向だ。アリシア達と何か接触していないか、それを調べて欲しい」
「ふん。まぁ、この国で何か仕出かすなら、まずはそこからだわな」
「今までの事を考えると隠れてコソコソ動くタイプじゃ無いが、それはバレてもどうにでも出来るからだが……やれるか?」
バレたところで操れば問題ない。そんな考えの持ち主だ。難易度としてはかなり高い調査になると思うが、ツグモリはニヤリと笑ってこちらを見ている。
「相手に気付かれる時点で二流なんだよ。まぁ、任せろ。すぐにでも調べ尽くしてやるよ。その代わり……」
「報酬か? それなら十分用意してあるさ」
「はっ! 話が早くて助かるな。じゃあ早速取り掛かるとするか。二、三日中には分かるだろう。良い知らせを待ってな」
「頼んだ。こっちも出来ることはするが、得意な奴に頼んだ方が確実だろうからな」
それを聞いてヒラヒラと手を振り、ツグモリは席を立ち店から出て行く。
「ところでお主よ……」
先程までフィーナをイジメていた魔王が不思議そうな顔をしながらやってくる。
「ん? どうした」
「いやの……アヤツ、金も払わず出て行ったが、良いのかと思うての」
「あ……」
周りを見渡すが、泥酔して意識の無い面々と、モクモクと酒を飲み続けるウォルナック。さて、支払いはどうなるんだろうな……。
◇◆◇◆◇◆◇◆
酒場から帰ってきた俺達は、とりあえず宿で一休みしていた。
酒代? 俺が払う必要は無いだろう。きっと酔い潰れてる誰かがツグモリの分まで支払うだろうさ。
ツグモリから情報が返ってくるのも、早くて二日後。目立つ事をして邪魔するのも悪いと思い、とりあえず今日の所はゆっくりしている。
「ふむ……俺も風呂にでも入るか」
何でもこの宿には大浴場があるとの事で、魔王とティナはさっさと風呂に行ってしまっている。一人部屋にいても仕方ないと、俺も向かう事にした。
「ほぅ……これは中々……」
当然だが男湯と女湯に分かれている大浴場は、それでも十分な広さを誇る浴場だった。今は誰も入っていないようで、広い風呂を貸し切り状態で堪能出来る様だ。
海を一望出来る露天に、それとなく目隠し用に植えられた木々。一人で使うには贅沢な広さ風呂だ。
仕切り用に備え付けられた壁の向こうは女湯のようで、魔王とティナの声が湯の出る音の間からうっすらと聞こえてくる。どうやらあいつらも堪能しているようだ。
身体を洗い、風呂に身を沈めると普段自覚していなかった疲れがほぐされていく。
「贅沢な話だな……」
湯船にゆったりと横たわり、海をぼんやり眺める。これがアリシア達を追う旅ではなく、ただの旅であるなら、尚更至福だったんだろうが……。
「まぁ、今日のところは良いか……」
そうしてくつろいでいる内に、次第に意識が遠くなっていくのを感じる。寝てはいけないと思いつつも、抗いがたい心地よさに動く事が出来ず、いつしか俺の意識はなくなって行った――。
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