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3-12【酔っ払い】

 ツグモリから賢人たちに話を聞いてみる事を進められた俺達。俺的にはすぐにでも行きたかったが、好きにさせていた他のメンツが完全に酔っ払い集団だった為、一旦宿に引き返すことにした。


 流石に酒臭い息で城に向かうわけにもいかず、かといって置いて行くのも不安しかない。そう思いテクテクと通りを歩いている。


 魔王は例の如く意識が無いので、仕方なく背負っているが、こいつにはもう今後酒は飲ますまい、そう心に誓った。また二日酔いにならなければ良いが……。


 ティナとフィーナは酒を飲むと陽気になる様で、さっきからやたらとテンションが高い。そして二人の距離が近い。まるで恋人同士の様だ。


 今も、他愛のない事ではしゃぎ続けている。



「だからねっ! アレウスは優しさが足りないと思うのよ! 置いて行ったり冷たかったり! もう少し私への対応を考えるべきだわ!」


 フィーナが何か文句を言ってるが聞かなかった事にする。優しくして欲しかったらそれなりの態度があるだろうに……。


「ふふーん、私は優しくして貰ってますもんねー! ピンチの時に助けに来てくれたの、凄く嬉しかったんですよ! あ、フィーナちゃんも一度助けてもらったら、良さが分かりますよ!」


 恥ずかしい事を大声で話しているが、助けに行く状況なんて、起こらないに越したことは無いだろう……。


「えー……どうせなら若くてカッコイイ人が良いなぁ! それで二人は恋に落ちるのよ!」


「そりゃあアレウスさんは若くは無いですけどー、カッコイイですよー?」


 聞いててこっちが恥ずかしい。というか若くなくて悪かったな……。


「勿体無いなぁ。ティナはこんなに若くて可愛いのに、アレウスなんか選ぶの勿体無いよー。もっといい男にしなよー!」


「わ、私は別にアレウスさんとはっ……フィーナちゃんこそ、ウォルナックさんが居るじゃないですか!」


「駄目駄目、アイツ何考えてるのかわかんないもん。私はもっとシュッとした美形が良いのよぅ」


 俺もウォルナックも散々な言われようだな……。ちなみにウォルナックは二人のやり取りを完全に無視して黙って後ろを歩いている。多分フィーナの酒癖の悪さには慣れてるんじゃなかろうか。



 そうこうしている内に宿に帰ってきた。フィーナはまだ喋り足りないようで、ティナを連れて部屋に行ってしまった。ウォルナックはそのまま付いて行こうとしたが、男子禁制とフィーナに言われ、「そうか」と一言、下の食堂に行った。多分まだ飲むんだろう。


 背中の荷物――魔王をベッドに寝かせ、静かになった部屋で一人先のことを考える。


「いい加減、決着をつけないとな……」


「それは、ワシとティナのどちらを選ぶという事かの?」


 ボソリと呟いた独り言に、寝ていたと思っていた魔王から、そんな返事が返ってくる。


「なんだ、起きてたのか」


「たわけ、ワシが酒ごときで潰れるわけはないと何度言えばわかるのじゃ」


 いや、立派に潰れてただろう。なに言ってるんだお前……。


「そうじゃなくて、アリシア達の事だ。お前はともかく、ティナをあちこち連れ回しすぎたかと思ってな」


「好きで着いてきとるんじゃ、要らぬ世話だと思うがのぅ。というか、ワシはともかくとはどういう事じゃ」


「お前を野放しになんか出来るか」


 こいつを一人にするとか、何が起こるかわからん。それこそ何処かで問題を起こして、再度封印されるぞ。


 しかしその場合、やはり出向くのは俺になる訳で、目を離す理由がどこにもなかった。



「まぁ、幸いこの国は亜人族にとって楽園の様なものじゃろう。あの小娘達もおる。選択肢を与えてやるのも悪くは無いかもしれんの」


 現状の問題を除けば、この国は亜人族が堂々と歩ける国だ。住み着くのも悪くはないだろう。


「まぁ、当人の居ないところで考えても仕方ないか。アリシア達の動き次第な部分もあるしな」


 出来ればここで決着をつけて終わりにしたい。いい加減振り回されるのもウンザリだ。


「スマンが魔王、もう少し協力してくれないか」


 出会った頃の復讐心からではなく、かつての仲間として、そして俺自身の責任としてアリシア達を止める。その手伝いを素直に頼み込む。


「仕方ないのう。まぁ、お主にはワシが必要じゃろうしな」


 そう言って、ニヤリと笑う魔王。いい加減コイツの軽口にも慣れてきたので、黙って肩をすくめるに留めておいた。


ここまでお読みいただきありがとうございますm(_ _)m

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