表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/73

3-11【ツグモリという男】

 シロウの兄だと名乗る男、ツグモリ。


 確かにその姿はシロウによく似ていた。港で働いているのか、体躯は一回りほどデカイが、白狐族としての特徴はシロウと同じものだ。



 飯屋兼酒場になっているその店で、俺達は適当に飲み食いしつつ話をしていた。


「なるほど……海の上で忽然と消えたねぇ」


 あご髭を擦りながらツグモリは話を聞いている。


「海に落ちたなんてことはないと思うが……済まないな」


「ん、あぁ、気にすんな。あいつもガキじゃねーんだ、自分で何とかしてるだろ。さっき見たんだろう?」


 

 確証はないが、恐らくあれはシロウだろう。


「つーか、レヴィアタンをけしかけられて良く無事だったなお前ら」


「これでも戦力はある方だからな」


「むしろ謝るのはこっちの方か。うちの弟が迷惑かけたようだしな」


 

 そう言って頭を下げてくるツグモリ。いまだ真意は分からずじまいだが、シロウはレヴィアタンを倒させてどうするつもりだったんだろうか。


「この国にとってレヴィアタンは特別だと聞いたが、そのあたりはどうなんだ?」


「ああ、魔物ってもこの国で被害に合うことは無いからな。まぁ、この時期にヨソから人が来ないってんで、むしろありがたい話だわな」


 レヴィアタンの影響で物流は止まる訳だが、それでもなお、感謝されるのか……。


「余所者が来ると必ずと言って良いほど揉めるからな。この国がどういう国かは知ってるんだろう?」


「ああ、一応はな。だが詳しくは知らないんだよ。ついでだから聞いて良いか?」


「あん? なにが知りたいんだ?」


 さて、何から聞こうか。やはりここはアリシア達の事からか。亜人族の事については同じ答えが返ってくる可能性が高いからな。


「アリシアという女、あるいはマリアベル、それかルーデウスという男……こいつらの名前に聞き覚えは無いか?」


「ふむ……」


 ツグモリはあご髭を擦りながら思い出そうとしているのか、暫し考え込んでいるようだった。どうでも良いがあご髭を擦るのは癖なんだろうか。


「アリシアとマリアベルと言やぁ、勇者様だろう? この国に居るのなら噂話くらい聞きそうなもんだが……すまん、そんな話は聞かねぇな。ルーデウスとか言う男については完全に初耳だな」


「そうか……」


「ん、ちょっと待て、という事はアレウスってお前、お前も勇者じゃねぇか!」


 どうやら一連の名前から連想されてしまったらしい。まぁ、別に隠してるわけでもないんだが、どうにも自分が勇者だと言われるのには抵抗がある。


「まぁ、そうなんだが俺は勇者なんてガラじゃないさ。ただのアレウスで十分だ」


「何か訳ありなようだな。まぁ、それならそれで良いさ。お前は弟の知り合いのアレウス、そういう事だな」


「すまん、そうしてくれると助かるよ。ところで……」


 さて、こっちの情報は何か得られると良いんだが。


「この国の住人は特に争いごとに敏感な様だが……」


「ああ、そりゃそうだ。なんせ亜人族ってのは知っての通り、嫌われモンだからな。そういう事には敏感なのさ」


「それにしたって、喧嘩の一つもしないなんて、流石に敏感過ぎやしないか? いや、気を悪くしたら申し訳ないんだが」


「気にすんな。だが良いじゃないか、それだけこの国が平和だって事だ。争いごとに良いことなんてありゃしねーよ」


 やはりツグモリも他の住人達と同じく、争いを拒絶するような意見を述べる。


「まぁ、そのあたりはこの国の歴史も関わってるからな。詳しい事が知りたかったら、賢人達に聞くのが手っ取り早いと思うぜ?」


 賢人……この国を運営する四人だったか。確かにアリシア達を探すにしても、この国の事にしても、そっちに聞く方が早いか。


「そうだな、そうしてみるか。賢人達にはすぐ会えるものなのか?」


「いやぁ、流石にいきなりは無理だろう。とはいえ住人の声もしっかり聞いてくれるからな。まずは城に行ってみればどうだ?」


 最悪、勇者だと言って融通してもらえるだろうか。こればっかりは行ってみてだな。


「わかった。色々聞いてすまないな。助かったよ」


「なぁに、良いってことよ。もしシロウを見かけたら捕まえとくわ。そっちも見つけたらよろしく頼む」


「ああ、そうするよ」



 ツグモリに別れを告げ、店を後にしようと席を立つ。さて、とりあえずの目的は出来た。後は――。


 そのままあえて触れなかった隣の席に目をやる。面倒な話はお前達でしろと、店に入るなり魔王達四人は、好き勝手飲み食いを始めていた。


「はぁ……好きにしろと言ったがこれは」


 そこには、またしても酒に酔い潰れた魔王と、淡々と酒を飲み続けるウォルナック、そしてやたらと話に花を咲かせている女二人。


 なんだか、真面目に話していた俺達が馬鹿みたいな気がして、頭が痛くなってきた……。



「あー、保護者ってのはいつも辛いもんだ」


 会ったばかりなのに一番親身になってくれるツグモリの優しさを感じながら、俺は店を後にすることにした。


 勘定? 魔王の財布から抜き取れば良いんじゃないか。持ってるかは知らないが……。

 



ここまでお読みいただきありがとうございますm(_ _)m

よろしければ下の評価ボタンをポチっと押して頂けると、大変励みになります。


また、感想や指摘などありましたら感想欄よりお気軽にどうぞ! 先の展開以外については必ずお返事致します(๑•̀ㅁ•́๑)✧


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ