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2-7【災厄の降臨】

 夜の闇が辺りを包み込み、街に人気が無くなった頃、俺達は夜に紛れ城へ向かっていた。幸いな事に今日は雲が月を隠している。こっそり動くにはおあつらえ向きだった。



 城は城門を閉ざし、外部からの侵入を拒んでいる。昼間のうちに侵入しやすそうな場所を探した結果、無難に裏から入るのが良さそうだった。


 城の外壁の上には見張りの兵が巡回しているが、この暗闇だ。真下は壁の影となり見つかる事は無いだろう。

 そこからクロに身体の一部を細く長く伸ばしてもらう。極細まで細めたクロの身体は、夜の闇と相まって目視する事は困難だ。


 そのままクロの身体を見張りへ近づけ、意識を失ってもらう。クロの体内にはあらゆる因子があると言っていた。その中から睡眠因子を見張りに植え付ける。これで今日一晩はぐっすりだろう。最悪バレても仕事をサボって寝ている程度に思われるはずだ。


 そのままロープ状になったクロを伝い城壁へ登り、そのまま内側へ降りる。すぐさま物陰に身を隠す。


「さて……後はどこに魔王がいるかだが……」


「クロちゃん、わかりますか?」


 しかしクロは横に揺れる。流石に居場所まではわからないか。しかし鍛冶をしているからには低い階層……おそらく一階部分か地下に居るだろう。上階だと素材を運ぶのも水や廃棄物など、いろいろ困難になる。


「問題は全く鍛冶と関係ない部分で集められてる場合だが……流石に無いか」


 ふむ……見た感じ見張りの兵はさほど多くない。なら多少大胆に動くか。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆



 あれから、俺は城内を散策しながら歩いている。と言っても流石に大手を振って歩く訳にはいかないので、認識阻害の魔法で身を隠しながらだ。


 認識阻害で俺達を発見し難くしている事で、今の所バレてはいないようだ。

 城内にはだらけて酒を飲んでいる兵士達もいて、色々話を盗み聴くことが出来た。


 どうやら、あの剣やこの国の動きについては否定的な者も多いらしい。

 曰く、鍛錬を無意味にされただの、顔の造りが良い奴がいきなり出世するだの、そういった話だ。


 なんとまぁ分かりやすい。どうせアリシアの事だ、自分の近くに置く兵をそいつ等で固めてるんだろう。


 どうもその兵士の話では、鍛冶師は地下に作られた牢に押し込まれ、日中はずっと剣を打たされているらしい。今日来た幼女も鍛冶が出来るのかと、少し話題になっていた。


「よし……じゃあ地下に行く道を探すとするか」


「待ってて下さいね、リリィちゃん」



 途中、地下へ降りる階段を律儀に守っている兵士が居た。恐らくそこが有力だろう。


 未だアリシア達からの反応がない事が少し不安だが、ここまで来たら後戻りは出来ない。そうして俺達は地下への階段まで戻ってきた。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆



 階段を守っていた兵士にもさくっと眠ってもらい、そのまま地下へ降りていく。想像より長い階段を降りた先には、ボロボロになった男たちが横たわっていた。


「死んで……は居ないようだな」


 極度の疲労だろうか、皆泥のように眠っているようだ。だが、肝心の魔王は何処にも居なかった。

 牢の鍵を開け、にいる男の中から、比較的体力がありそうな奴を起こしてみる。


「大丈夫か? おっと小声で話せ。兵士達にバレる」


「あ、あんたは……? 助けに来てくれたんじゃないのか?」


「すぐには無理だが助けるつもりだ。今は聞きたいことがある」


 男は状況を理解したのか、黙ってこちらの話を聞こうとしている。


「今日、新しく子供が連れて来られなかったか?」


「ああ……来たな……。あんたあの子の親か?」


 ここに魔王が居たら親はワシじゃとからかってくるんだろうな……。


「まぁ、そんなもんだ。あいつはどこにいる?」


「おかしいな、寝る前までは居たんだがな……」


 となるとあいつは自力で抜け出してるのか。一体何処に行ったやら……。


「この城で、二人組の女を見なかったか? 最近この街に来た奴でもいい。多分王族に近づいて居ると思うんだが……」


「あんたの言う奴かどうかはわからんが、城の兵士が話してるのは聞いた事があるな……。王が急に妾を増やしたとかなんとか……ただ、二人組じゃなくて一人だって話だ」


 それだ。相変わらず同じ手で国を好き勝手してるんだろう。とはいえ一人っていうのが気がかりだな。マリアベルが居ないのか?


「そうか、わかった。ありがとう。後で助けるから待っててくれ」


「頼むぜ……このままじゃ死んじまう」


 男から離れ牢を出る。約束したからには助けだすが、今は魔王が先だ。一体何処で何をしているやら……。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆



 再び地下から戻った俺達を待っていたのは、慌ただしく動く兵士達だった。潜入がバレたかと身構えたが、どうもそうでは無いらしい。


 何があったか確認するため、物陰に身を潜め動向を伺う。


「早くしろ! すでに近づいて来ているぞ!」

「爆剣隊、準備整いました!」

「いちいち報告は要らん! 準備が出来たものから迎撃に出ろ!」


 爆剣隊とは例の剣を使う部隊か? しかしこの慌てよう……何が近づいているんだ?

 どうやら外からの外敵らしい。他国が攻めてきたにしては急すぎる。ならばまた翼竜か?



 混乱に紛れ魔王を探すチャンスかと動き出そうとした時、轟音と共に城が激しく揺れる。

 一瞬魔王が暴れているのかとも思ったが、いくら何でもこんな力技は使わないだろう。



 確認する為、外へ出た俺達の前に姿を表したモノ。それは、翼竜などとは違う、真性の竜種。

 魔王と並びこの世界で災厄と呼ばれる存在。



 そう、あまねく空の支配者――ドラゴンだった。


ここまでお読みいただきありがとうございますm(_ _)m

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