2-1【旅の始まり】
お待たせしました。二章突入です(/・ω・)/
剣の勇者騒動から二ヶ月あまりが経った頃、オルデン国王から呼び出しがかかった。どうやらアリシアとマリアベルについて、それらしき情報が入ってきたらしい。
近いうちに城へ来いとの事だったが、いても立ってもいられない俺は、そのまま伝令に着いて行く形で城へ向かった。
「おお、アレウス殿。お久しゅうございますな」
城では大臣が出迎えてくれた。この人はいつも忙しそうに働いている気がするんだが、休みとかあるんだろうか。
「ああ、久しぶり。相変わらず忙しそうだな」
「ええ……なにせ問題が山積みでして……」
例の二人とジルベルト……勇者達が好き勝手したせいで、本来意図しない法令なんかが山程作られた。
今はその法令を一つずつ手直ししたり破棄したりしているらしいが、そのせいで大臣達はてんてこ舞いらしい。とんだ置き土産を残していったもんだ。
「おっと、引き止めて悪かった。国王にはお会い出来るか?」
「いえ、大丈夫ですよ。国王がお待ちですのでどうぞこちらへ」
大臣に案内され応接室に向かう。国王といえど、四六時中玉座に座っている訳ではないらしい。まぁ、当たり前か。
応接室ではすでにオルデンが待っていた。最終的に国王決裁が必要なのだろう、山積みの書類に、次々と判子を押していた。
「あー、お待たせして申し訳ない」
「おお、アレウス殿。いやいや、こちらこそ待たせてスマンな」
オルデンは手を止め、座るよう促してくる。さすが城の応接室だけあって、椅子の座り心地はとても良い。家の椅子とは大違いだな……。
着席と同時に給仕が茶を置いて静かに去っていく。いつの間に来たのか悟らせないその仕事っぷりに感動しつつ、話を進める。
「それで、アイツラの動きが掴めたとか」
「うむ……確証が取れた訳ではないが、エドラスに動きがあった」
エドラス――この国から西に向かい、山脈をいくつか越えた先にある大国だ。かつての魔族領に隣接しており、被害も一番大きかった国である。とはいえこの十五年で、随分復興したと聞くが……。
「どうやら最近、あの国が良からぬことを企んでいるようでの」
「良からぬこと?」
「うむ……これはまだ内密じゃが、どうも近隣国に脅しをかけておるらしい。従わないなら攻めこむのも辞さないと」
もともとこの世界は他種族を排斥する傾向にある。魔族がいた頃は魔族を、そして今でも亜人族を認めていない。この国では随分マシになったが。
それが遂に、同じ人間にも向いたという事だろうか。
「エドラスが言うには、魔族との戦争時、他国は援助してくれなかったと。矢面に立ったエドラスには謝礼を差し出せとの事じゃ」
「無茶苦茶だ……。当時どの国も被害にはあってるだろう」
エドラスだけが被害を受けた訳じゃない。あの国以外にも魔族領に隣接している国はあったし、各国に元々いた魔族は、その国内で抵抗していた。
「いきなり無茶な要求を突きつける……そして国内でそれが通ってしまう……それは」
「うむ。この国で起こった事と酷似しておる。エドラスの国王とて、愚王では無い。あり得んことじゃ」
おそらくはまたアイツラが国内で何かしているんだろう。あれでも肩書は勇者。他国に潜り込むのは造作もない筈だ。
「今はエドラスの隣接国のみだが、いずれはコチラにも来るじゃろう。エドラスの態度を考えると、うかつに兵を送ることも出来ん」
「下手に兵を連れて行くと、何を言われるかわからないな……」
最悪、侵略だと言われかねない。火薬庫に火種を投げ込む様なもんだ。
「それでもお主は行くんじゃろう?」
「ああ、あいつらの企みは俺がきっちり片付けるさ」
それはかつて身内だった俺の役目だろう。個人的にも言いたいことは山程あるしな。
「せめて道中の旅費や足は出そう。すまぬがよろしく頼む」
オルデンが頭を下げてくる。よしてくれ、何が無くてもどうせ俺は行くんだ。援助があるだけありがたい。
「それだけでも十分だ。今は頼れる奴らもいるしな」
魔王とティナが居る。クロ……も一応入れておくか。どうもアイツは俺を下に見てるフシがあるが……。
「すぐにでも出発するさ。追加で何かあったら教えてくれ」
「うむ。じゃが……万が一お主の手に負えないようであれば一度戻って来るのじゃ。無茶はするんじゃないぞ」
「魔王を封印しろって言われるより、無茶な事なんてないさ。その魔王も今はこちら側だしな」
当時は各国が協力的だったとはいえ、たった四人で魔王封印の旅だったからな。
「それもそうじゃの。では準備が出来たら遣いを出そう。お主も準備を頼む」
「ああ。こちらこそよろしく頼む」
こうして、俺はエドラスへ旅立つ事になった。俺自身のしこり……この十五年間に精算をつける旅が始まろうとしていた。
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