1-25:【アリシア】
前話のタイトルが25話になってました。申し訳ありませんm(_ _)m
コチラが25話になります。
※投稿内容ではなく、タイトルのみ間違いでした
無邪気な笑顔でコチラを見ている妹――アリシア。コイツもジルベルトと同じく、別れた当時と同じ姿のままだった。
隣に居るのはマリアベル……かつて俺を騙し、俺から封印魔法を奪っていった女だ。コチラも変わらない姿で、冷ややかな目でジルベルトを見下ろしている。
「ど〜したのお兄ちゃん? 久しぶりに妹に会ったのに冷たいんじゃない?」
まるで、自分は何も悪くないと、何もしていないと言わんばかりの軽さで接してくる。
「お前ら……どうして……」
「ん? 何についてのどうして? 見た目の事? 急に出てきた事? 勇者様の事? それとも――」
「――お兄ちゃんを捨てた事?」
アリシアの言葉に、我を忘れそうになった。腹の奥にあるナニカが、吹き出しそうになる。コイツは何だ。何か、得体の知れない者の様に感じる。
「お主ら、あの時の勇者共じゃな。……何をした?」
魔王の言葉に、飛び出しそうになった身体が思わず止まった。
「何を? う〜ん……。何でもしたよ。やりたい事は全部ね」
ケラケラと笑いながらアリシアが答える。
「勇者様が欲しかったからモノにしたし〜、権力も欲しかったから王妃にもなったよ? 後はね〜、ヤッパリ若さは欲しいから若返ってもみたよ?」
ハッキリと、若返りと口にするアリシア。……そんなものは不可能だ。思わず叫びそうになるが、目の前に事実、若返った奴等がいる。
「あ〜あ、折角お膳立てしたのに、どうしてそんな目で見るの、お兄ちゃん」
「お膳立て……だと?」
「うん! 悔しかったんでしょ、勇者になれなかったの。妬ましかったんでしょ、勇者様の事が。復讐したかったんでしょ、勇者様や王族に」
まるで自分達は関係ないと。ジルベルトと王族が悪いのだと言わんばかりに、ニヤニヤとした顔で喋り続ける。
「だからね、邪魔な人達には居なくなってもらったし、勇者様もあの時まで戻したんだよ? まぁ、ちょっと失敗しちゃったけど、全部お兄ちゃんの為なんだよ?」
城に人が居ないのも、ジルベルトが若返っていたのも、全て自分がやったと、それは善意だったと言ってくる。
「ふざけるな! お前……何を考えてる!」
「え〜……折角お兄ちゃんの為に頑張ったのに〜。どうして怒るの? アリシア、悲しい」
クスンクスンと、涙を流すアリシア。だめだ、コイツとは話が噛み合わない。決定的に何かがズレている。
「も~知らない! お兄ちゃんの馬鹿! 折角の再会なのに……。ね、お兄ちゃん。そんな女捨てて、私達と一緒に行こう? 何ならお兄ちゃんも若返らせてあげるよ?」
「悪いが……お断りだ。若さにも興味は無いし、誰かを捨てる気なんて無い。それに……俺の復讐対象はお前らもなんだよ」
口ではそう言うが、ここに至ってはもう、俺個人の復讐とかそう言う話じゃない。こいつらは野放しにしては駄目だ。
「……そっか、残念。じゃあ仕方無いね。行こう、マリアベル」
あっさりと引き下がるアリシア。まるで答えなど、どっちでも良いように。
出て来て以来、一言も言葉を発さないマリアベルか、空間を歪めていく。
「待てっ!」
「じゃあお兄ちゃん、気が変わったら声かけてね〜。私達、今度西の大陸に遊びに行くんだよ。良かったらお兄ちゃんも来てね!バイバ〜イ」
そう言い残して二人は再び捻じれの中に消えていく。
後には、訳が分からず困惑する俺と、神妙な顔をした魔王、そして倒れたきりピクリとも動かないジルベルトだけが、王座の間に残されていた。
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