1-12:【嘘】
さて、ティナには色々聞かなきゃならん。まずは――
「そう言えばティナはどうしてあんな所に居たんだ? あの男は?」
出会った時にいた男とはどういう関係だったんだろうか。
「あ……その……」
「カカカ。他の男が気になるとは、お主も中々嫉妬深いようじゃのう」
魔王が色々含んだような顔で見てくる。そんなんじゃねーよ……。
「あー…いや、話したくないなら無理に話さなくても良いぞ」
「いえ……お話しします」
そしてティナは静かに己の事を話し出す。
「私は見ての通り亜人族――その中でも猫豹族と言う……比較的数の多い種族です」
猫豹族――猫のような耳と尻尾を備えた亜人。見た目は人間に近い為、耳と尻尾さえ隠せば見分けが付きにくい種族だ。多少人間より素早く、耳が良い程度の筈だが……。
「確か家族は亜人狩りに……」
「はい。私達は家族単位で行動するのがほとんどなので、それまでは静かに暮らしていたんですが……」
わざわざティナの家族を狙う理由があったのだろうか?
「何でも、今の国王が自分の周りに人間以外も集めだしたとの事で……。反対した両親は……」
あの下種が……。どうせ女の姿をしていたら何でも良いとかそう言う話だろう。
「じゃあ、あの男は国王の使いだった訳か?」
別にあの男なんざどうでも良いんだが、国王の使いとなれば少し厄介だな。
「いえ……。両親が咄嗟に逃してくれた後、しばらくは隠れていたんですが、森に入った時につけられていたようで……」
亜人族なら何をやっても良い。そんな考えだろう。ヤッて正解だったな。……いや、俺が言える立場じゃないか。
「なるほど……。わかった、ありがとう。ところで、他の亜人族について知ってる事はないか?」
さて、本題はこっちだが……果たして何か得られるか……。
「他の亜人族……ですか? いえ……先程も言ったとおり私達は家族単位で暮らすので……」
まずいな……いきなり手がかりが途絶えてしまった。せめて他の種族の居場所くらい、と思ったが……。
「そうか……。さて、どうしたもんかな」
「あの……他の種族の事を知ってどうするおつもりなのですか?」
流石に気になるか。まぁ、亜人族という種族全体がそういう事には敏感なんだろうな。
「ティナ、お前は亜人族の境遇をどう思う? 人間と少し違う。それだけで迫害されて良いと思うのか? そんな訳無いだろう」
「お主がそれを言うかえ……」
ボソッと魔王がツッコミを入れてくる。うるさい黙れ。
「俺は亜人族の境遇を改善したい。まずは今の境遇に不満のある種族と話がしたいんだ。そして国に亜人族という種族を、権利を認めさせるんだ。
そのためには今のように個々の集まりじゃダメだ。大きな集団にし、国が無視できない規模にまで膨らめばきっと国も話し合いに乗ってくれる筈だ」
俺は思ってもいない事をつらつらと語る。全てを知っている魔王はヤレヤレといった表情で菓子を貪っている。
どうでも良いけどコイツ食べてばっかりだな……。
ティナは俺の話を聞いて考え込んでいる。流石に突拍子もない話だったか?
「あの……少し考えさせてください……。アレウスさんは良い人だと思うんですが、その……」
「ああ、ゆっくり考えてみてくれ」
ティナはどういう答えを出すか……。どうか道が途切れないでくれると助かるんだが。
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