1-11:【ティナの手料理】
ティナが料理を作っている間、俺は魔王と今後について話し合っていた。
「――と言う訳だ。俺は亜人族に協力してもらい勇者共を討つ」
「ふむぅ……杜撰過ぎてどう返したら良いものかの……」
我ながら杜撰だとは思うが、そこは百も承知。古文書には相手を操る呪文もある。最悪はそれに手を出す事になるだろう。
「そもそもお主、亜人達が何処に居るか知っておるのか?彼奴らは魔族と違い、国を作っておるわけでは無いぞ」
「そこはティナに聞くしかないな。亜人同士なら何か知ってる事もあるだろう」
「奴を見る限り無いと思うんじゃがのぅ……。まぁ、お主の人生じゃ、好きにするとええ」
そう言って、魔王はまたベッドに横になってしまった。
……言われなくともそうするさ。それだけが俺の人生だ。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「出来ましたよー!」
どうやら夕飯が出来たらしい。俺が作ったぶち込みスープとは違い、見た目も匂いも食欲をそそられる出来だ。
「待ちわびたぞ!早う、早うよそっておくれ!」
寝ていた筈の魔王が飛び起きて催促する。いや、お前自分で用意くらいしろよ……。
「はい、リリィちゃん。熱いから気を付けてくださいね」
そんな魔王に嫌な顔一つせず、ティナが器に入れて手渡す。次いで俺にも渡してくれた。
「はい、アレウスさんも冷めないうちにどうぞ」
「では早速いただくのじゃ!」
食前の挨拶もそこそこに、がっつく魔王。コイツ本当に魔王なのか?仮にも王と付くものがこの言動……。
「不味っ!!なんじゃこれ!!見た目と匂いに騙されたがこれも不味っ!!」
と思ったら盛大に噴き出す魔王。いや、汚ぇよ……。
「えっ……」
魔王の思わぬ行動と発言に、場の空気が凍る。沈黙を破ったのも、また魔王であった。
「あ、味だけ壊滅させるとは器用な事を……。毒を仕込むのには持ってこいじゃな……」
魔王が涙目でぷるぷる震えながら文句を言う。
「お前、作ってもらっておいてなんて失礼な事を……」
俺の飯も散々こき下ろしたからな。魔王が味覚音痴なんじゃないか? そう思い俺も口にするが――
「あ、うん……その……不味い……な」
うまくフォローが出来ない味だった……。何だろう、口の中で味が暴動を起こしている……。
「す、すみません!!そ、そんなに美味しくないですか……?」
ティナが涙目でこっちを見てくる。その表情にクるものがあるが、スマン。不味いものは不味い。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「うーむ……困ったのぅ。まさか大の大人が二人もいて飯に困るとは思わんかった」
「いや、二人じゃなくて三人だろうが。文句言うならお前が作れよ」
さり気なく自分を数えない魔王。年齢的にはお前が一番歳上じゃないのか?
「ワシは見ての通り、いたいけな幼女じゃぞ? こんな小さな子を働かせようとは、お主極悪人じゃのぅ」
こんな時だけ自分を子供扱いか。
「すみません……」
「いや、ティナは頑張ってくれたんだし……向き不向きって事で……」
ちなみに飯は頑張って俺とティナで食った。というかほとんど俺が食った。まぁ俺は食えれば何でもいい派だしな。
魔王曰く、「アレウスより不味い飯を作れるのはもはや才能じゃの」との事。
そんな魔王は菓子で腹を繋いでいる。
「まぁ、飯の話は置いておこう。そんな事よりティナに聞きたいことがある」
俺は真面目な顔をしてティナに話かける。
大事なのは飯より復讐だ。亜人族についてティナには色々聞かなきゃならん。
さて、何から聞いたものか――
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