1-10:【魔王は全てバラした!】
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偶然森で出会った亜人族の女、ティナ。彼女を連れて隠れ家まで来たのは良かった。良かったんだが……。
魔王がまだ居た場合、どう説明したもんか……。いや、居るだけならまだしもアイツの格好……全裸じゃないか!
知らないおっさんの家には全裸の幼女(魔王)が居ました……。うん、間違い無く引かれる。
「どうかしたんですか?」
入り口を開けようとしない俺を、ティナが不思議そうな顔で見ている。
「いや……そのな……」
ええい!何も言い訳が思いつかん!もう良い、魔王のせいにしてしまえ。
扉を開け、ティナを隠れ家へ招き入れる。肝心の魔王は――
「おや、お帰りじゃ」
「あ、ああ。ただいま……」
俺の悩みなど杞憂だと言わんばかりに、魔王は隠れ家にまだ居た。それも服まで着ている。
「お前……居たんだな。というかその服はどうしたんだ?」
「なんじゃ?居て欲しいのはお主の癖に。人が来るのは分かってたからの。流石に全裸は不味かろう」
魔王はそう言うが、着ている服は俺のシャツ1枚だ。サイズが合わなすぎてダボダボである。
「初めまして、ティナと言います。可愛いお子さんですね!」
魔王を見たティナが何か勘違いしている。しかしコレは好都合か。このまま娘と言う事に……。
「かかか!何を言っておる。ワシがこんな若造の子な訳なかろう。ワシは魔王……魔王リリアルデ・フローエじゃ!」
コイツいきなりぶっちゃけやがったわ!お前、もっと順序があるだろ!
「魔王……リリアルデ……」
「うむ!なんなら親しみを込めてリリィちゃんと呼ぶが良いぞ!」
腰に手を当て小さい身体で偉そうにふんぞり返る魔王。何だよ魔王に親しみを込めるって。
「ふふ……駄目ですよリリィちゃん。魔王だなんて言ってたら、怖い人がお仕置きに来ちゃいますよ」
どうやら信じていない様子のティナ。そりゃそうだ。誰がこのチンチクリンを魔王だと信じるよ。
「むぅ……信じておらんようじゃのう。ココはワシの力を見せて――」
「やめろ馬鹿」
思わず魔王を叩いてしまう。急に叩かれた魔王が頭を押さえ涙目で睨んでいる。
「つ〜〜……何するんじゃ!痛いじゃろうが!」
「お前が変な事しようとするからだろ」
「ワシが魔王じゃと証明せねばならんじゃろう!お主が復讐の為に封印を解いた、正真正銘の魔王じゃと!」
このポンコツ魔王は事もあろうに全部バラしやがった。ああ……クソったれ。
恐る恐るティナを見ると、何とも言えない顔をしていた。表情から何を考えているか読めん……。
「えーと、復讐……封印……魔王……あっ、お夕飯、どうしましょうか!」
どうも考える事を放棄したらしい。まぁ良いか。深く突っ込まれると厄介だ。
「じゃあ何かある物で作るか。今日は何にしよう――」
「やめるのじゃ!お主のは飯では無い!毒じゃ!」
魔王が失礼な事を叫んでいる。俺だって真面目に作れば……。
「良いから何か買ってくるのじゃ!それかティナとやら!お主が作るのじゃ!」
「あはは……。わかりました、じゃあ私に任せて下さい。これでもお料理は得意な方なんですよ」
そう言ってティナは夕飯を作りに行ってしまった。
飯屋とか以外で、他人の作る飯は久しぶりだな……。そこには少し楽しみにしている俺がいた。
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