「第二話 忌み子、呪いは輪廻する」-7
すみません今回も少し長めです
カレン 十五歳
黒髪ロングの清楚な美人系少女。身長は178cm。
[最近あったこと]:白髪交じりだった髪の毛が黒髪だけになった。
オイキャス 十五歳
黒髪、黒目の主人公。
[最近あったこと]:婚約していた彼女から急にノーを突き付けられた。
シオノ
カレンの推し。
[最近あったこと]:カレンちゃんの様子がおかしい……笑。
「三人目の妻としてだがな。いや、妻じゃなくてもいい、私の軍隊に入るでもいい、何なら新しい役職を作ってやってもいい。とにかく私のところに来い……」
いや、え?
急になんなの?
いや、いやいや何言ってんだこの人?
私をそこまでしてなんで取り入れたいの?
それだけじゃない。
この人に聞きたいこと多すぎるって……。
「ちょっと話が見えてこないん、だ、ですけど……」
「敬語は良い、貴様と対話したかったからこの場に呼んだ」
「そ、そう……。何から聞けばいいのか……」
「ゆっくりでいい。聞きたいことがあるなら答えられる範囲で答えてやろう」
落ち着いた様子でケーニッヒはカレンと会話のキャッチボールをする。
「じゃあ、まず、なんで私を犯人扱いしたんですか?」
そんな小さいことから聞くのかと、つまらなそうな表情で答えるケーニッヒ。
「別に大した理由はない、ただの遊びだ……。しかしウミウシを倒すことのできる者は限られている」
やはりケーニッヒは、
「私なら倒せると?」
カレンはあのウミウシを倒すことが可能だというように話す。
「さぁな、現場にいたのは君だろ?」
「じゃあ、バウアーに言っていたようにあなたにもウミウシを倒せると?」
「造作もない」
はっきりと断言する。しかしカレンにはこの男が強いかどうかは分からなかった。
「私達がウミウシを倒したと思ってる?」
「さぁな興味ない。貴様が前にいるからな」
「……なんで私をそこまで高く評価してるの?なんで私をあなたの元へと連れて行こうとするの……?」
「理由は私の元へ来たら教えてやろう」
「……卑怯」
「どうとでも言え」
「理由も言わないのに私があなたの元へ行くと?」
「別にプレゼンをするつもりもない。貴様が来るか来ないか決めるだけだ」
「その割には、あなたは私のポストを用意するのね」
「場所があることは伝えておいただけだ。ただ聞かれればそれなりにプラスになるような事は言うだろう」
「そう……」
聞きたかったことを話してくれなかったか……。
今私を取り巻く環境はおかしい。
いや、今に始まったことじゃない。ギルドに登録してからずっとおかしかった、裏で何かが動いてる。その何かは全くわからないけど、ただの能力が高い人間を扱うものではない。
その何かをこの人から引き出せるか……。
「……私がもしあなたの元へ行ったら二人はどうなる?」
「自由にさせられる保証はないが、ここから逃がしてやることは容易だ」
「そう……。この村は?」
「私がウジムシを倒そうが他人が倒そうがこの村の対応を変えるつもりはなかった」
「それは本当?」
「あぁ」
私達の決死の挑戦は無意味だったってことね。
言い方的にはウミウシを倒して道楽的な快楽を得るよりも、ウミウシ自体を倒すことが目的だったってことか……。
「じゃあこの村はどうなるの?」
「なんのことを指している?貴様はウジムシを倒した影響を自分で考えることができないのか?」
「そういうことじゃなくて……。バウアーはあなたがこの村から多くのものを搾取してるって言っていた。それを変えるのか、どう変わるのか。それが聞きたいの……」
ウミウシ討伐を誰がやったかによって対応が変化するのかを聞きたいわけではなく、討伐をしたことによりどのように変化するかをカレンは知りたかった。
「具体的な話は貴様が私の元へ来たら教えてやろう。ただ」
「ただ?」
「私も一つ質問だ。なぜそこまでこの村に入れ込む?」
「……別にそこまでは」
「いいや、入れ込んでいる。普通なら、少なくとも私なら、見ず知らずの村の事をわざわざ心配をしたりしない」
「それは考え方の違いでしょ?」
「私はその考え方の違いがなぜあるのかと聞いている。一般的に考えて、村人に何かされたわけでは無いにしろ、この場所で虐げられていた事実があるのは変わらない」
「なぜそれを……。いいや、ギルドからか」
「そのシステムを知っているのも不思議なことだが、何も言わないでおこう。ザクルという人間に不当な扱いを受けたのにも関わらず、なぜこの村のことを案ずる?」
「それは領主として、していい発言なの?」
「それとこれとは話が違う。あくまで私が貴様の立場だったら、一般的に貴様の立場を考えたらの話だ。今は貴様の考えに至る根底の信念を聞きたいだけだ」
「別に隠していることではないけど、あなただけには話したくなかったわね……」
「悲しいことを言ってくれるな」
思ってもないことをぺらぺらと……。
「……私は多くの人に豊かになってほしいの、ただそれだけ」
ケーニッヒは驚いた顔をして、
「……本当にそれだけか?」
「それだけよ、確かに最愛の人の事となるとなりふり構っていられなくなるけど、それでも困ってたら助けてあげたくなっちゃう、それだけ」
「立派な考え方ではあるんだろうが、甘いな……」
「あなたにとってはそうかもしれないわね」
二人の考え方は完全に相対していた。
私の師はそういう考えの人間だった……。
「しかし私の元に来れば貴様のその考えのもと、何かを実行できるかもしれないぞ?」
「笑わせないで?あなたとは考え方が全く違う」
「そうか?人をあごで使う感覚を貴様も味わえばやめられなくなるかもしれないぞ。どうだ?ザクルとかを使ってみたいと思わないか?」
「私にその交渉材料は通用しないことを今までの会話で分からなかったの?」
「さぁな」
「ならあなた領主向いてないわよ?」
「強気な発言だな……」
「当たり前の感想をぶつけただけ……。それでどうなの」
「何の話だ?」
「この村の行くへよ」
「あぁ、その事か……。単純に考えてみてくれ、ウジムシがいなくなったことだけを考えたらこの村はどうなる?」
「……それなら、村人の心のよりどころがなくなるとか、このあたりで雨が降らなくなるとか?」
「心のよりどころがなくなったらどうする?」
「新たな安らぎを探す」
「それが私だ」
「下衆ね……」
「今のはあくまで希望、戯言だ」
「それを狙って行動していることが下衆って言っているのよ」
「では雨が降ったら何ができなくなる?」
「……農業は、打撃を受けるでしょうね」
「じゃあ、この村の人々はどうなる?」
「多くの人が職を失う……」
「その人々はどうすると思う?」
「……他の職を探すしかない」
「その仕事の受け皿はどうする?」
「それは、……知らないわよ」
「別角度で話そう。雨が降らないのならあの湖はどうなる?」
「長い時間をかけて干上がるでしょうね」
「そこに、何かがあったら……?」
「粘土ぐらいしかないんじゃないの……?」
「この話は終了だ。安心しろ非人道的なことはやらない」
その何かが重要なんだけど、答えてくれなかったか。
それに私のことについても何かのとっかかりはなさそうね。
私がそのあたりのことを聞けてないのが原因か…。
そもそも今日だけで何か掴もうなんてのは厳しいか、ゆっくりでいい、ゆっくりで。
「てことは、やっぱりウミウシを倒すこと自体が目的だったってことね……」
「どうだろうな……」
「……信用できないわね」
「これから勝ち取ればいいさ」
「私は一言もあなたの元へ行くとは言っていないわよ……」
「それでも前向きには検討しているだろ?」
「……いつまでに回答すればいいの?」
「一番遅くて明日の昼だ、それまでに返事をしろ」
「そう、せっかちね」
「これもあくまで交渉の一部だ」
「そう、けどとりあえずあなたの妻になることは無いわ」
「そうか……形は何でもいい。私の元にさえ来てくれればな……」
「もう一つ最後に聞かせて」
「いいだろう」
「この要求を断ったら私達はどうなるの……?」
「今まで通りだ」
今まで通りザクルに使われるだけ。
それはそうか……。
「そう」
「私はここにいる。いつでもこい」
「……」
カレンは民家を後にする。
その後ケーニッヒも民家から出てきて、側近の二人にそれぞれ指示し、一人はこの場に留まりもう一人は軍隊を連れて、来た道を帰った。
軍隊に所属していた若い男が一人だけケーニッヒの元に行った。
その後カレンは採掘ギルドと冒険者ギルドの面々が集まっている場所に向かう。
ザクルが全体に今日の作業は終了であると告げ、三人の元に近寄り「お前らは明日も来なくていい。明後日からだ」と言われた。
「カレン」
「なに?」
冒険者ギルドの部屋で休むため三人で歩いているとオイキャスが、
「あいつとなに話してたんだ?なにもされなかったか?」
カレンが帰って来た時から気になっていたことを質問する。
カレンは一瞬悩むがすぐに切り替えて笑顔で、
「なぁんにも?なんか私が女の子だから圧力をかければ話してくれると思ったんだって」
「そ、そうだったのか……。ありのまま話したのか?」
「話したけど、一切信用してなかったわね、けどまぁ一応は納得してくれたみたい」
「そっか。あれは目の前で見ないと信じられないもんな……」
「そうだねー」
カレンは何の悪びれもなく嘘をついた。
まだ何も決まっていないのだから……。
「あぁ、そうだ、オイキャスこれ」
カレンは懐にしまっておいたネックレスをオイキャスに手渡す。
「ありがとう……」
オイキャスは大事そうに受け取りしまった。
リングとネックレスは壊されてしまったのは数時間前だがその事実をしっかり受け入れている様子だった。
今日は昼まで作業をし、そこから怒涛のイベントの連続だった。火事が起き、オイキャスはリングを壊され、カレンはザクルと決闘をして、ウミウシと戦い、領主と対話をした。盛りだくさんの一日で、すでに日は落ち始めていた。
冒険者ギルドに帰ると茶髪のお姉さんから「カレンさん」と呼ばれたため受付に行く。
すると今度は手渡す形で差出人不明の手紙を渡された。カレンは読めないだろうと思ったが一応受け取っておいた。
なんの手紙だろ?
ん……日本語じゃないわね……、読めない。
はぁ、次から次へと……。
これからどうしよう……。まずいよなぁ実は……。私の選択次第で三人の今後が決まると言っても過言ではないから。
一日で決められることじゃないよ……。
あの人の元へ行くとなるとシオノ君とはもう別れるってことよね……。
どうやって二人を守ればいいの……。
けど、そっちの方が原作には近い形なんだよね……。
はぁ、本当にどうしよう……。
考え事をしながら部屋への階段を三人で登っていると、
「おい!」
声を掛けられ振り返ると、見たことのない男が三人の事を呼んでいた。
粘土採取のクエストをやっている冒険者だろう。
「なんだ?」
「『なんだ?』じゃないだろ?宴だよ、宴。やらないのか?」
三人は顔を見合わせる。
今日はすでに作業を終えた、カレン達は体を休めたい気持ちもあったが、明日休みのため体を休めるのは明日でもいい。
久しぶりの温かい食事にありつけるし、楽しい気分にもなれる。
沈んだ気持ちが続いていたからこそカレン達にとってこの提案は嬉しいものだった。
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