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「第二話 忌み子、呪いは輪廻する」-5

先日アップロードした「『第二話 忌み子、呪いは輪廻する』-4」にて一部事象の矛盾が生じていたところを発見したため修正いたしました。

アップロード前に確認はしていますが今後はより一層気を付けて投稿いたします。

また大きく表現を変えるようなことがない限りはこちらで何もお知らせせずに修正をすることがございます、あらかじめご了承ください。(すでにいくつかのエピソードは改訂をしています)

逆に大きく本文を修正するようなことがあれば今回のようにどこかでお知らせをします。


カレン 十五歳

黒髪ロングの清楚な美人系少女。身長は178cm。

[最近あったこと]:白髪交じりだった髪の毛が黒髪だけになった。

オイキャス 十五歳

黒髪、黒目の主人公。

[最近あったこと]:婚約していた彼女から急にノーを突き付けられた。

シオノ

カレンの推し。

[最近あったこと]:カレンちゃんの様子がおかしい……笑。

 この光景をカレンは覚えていた。

 ウミウシは、頭、胸、胴、尻、の四つにきれいに切られていた。まるでもともとそうであったかのように。しかし地面に流れる血だけが生きていたという事を訴える。


 このきれいな切口(きりくち)……絶対そうだ。

 こんな芸当できるヤツは一人しかいない。


 カレンは確信して周囲に該当する人物がいるかどうか見渡すが周りには焦げた木々しかなく、人の姿はおろか、仮面すらなかった。

「なんだ、これは……」

 クゥチャラは目の前に落ちている残骸(ざんがい)を見下ろし、ようやく言葉を発する。

 カレンに対するウミウシの突進をクゥチャラが必死に逃し、代わりに重傷を負うと思っていたが、その前にきれいにウミウシは切られた。

 この場にいる誰もが一度何が起きたのか理解するのに時間を使った。

 空は徐々に雨が止み、曇り空までに回復した。

「このきれいな断面……」

 オイキャスとシオノは顔を見合わせる。二人も見たことのあるものだった。

「グリズリーの時と同じ……」

「だよな……」

「なにか覚えがあるのか!?」

 クゥチャラは三人に問う。

「オレ達にも何が起きたかさっぱり分からない……。けど前にもこういうことがあったんだ……」

 オイキャスはきれいに切られたウミウシの死骸(しがい)を見下ろし、今度は自分の持っている剣を見て悔しそうに以前にも同じことが起きたことをクゥチャラに伝える。

「前にもこんなことがあったのか……?」

 カレンは分からないなりにも、前のグリズリーの一件をクゥチャラに話した。ただ重要な部分を除いて。


「確かに、それを聞くと状況は似てるな……」

「そうでしょ……」

 しかし前回とは明らかに異なるのは、非力とはいえオイキャスの剣を容易にはじく硬度(こうど)(うろこ)を簡単に無視して切っていた。

「硬度を無視した見えない斬撃……。おっかないな。もしそんなのを俺らに向けてやってきたら……」

「それは考えたくはないわね、けれど私達は二度同一人物であろうモノに助けられたのは事実としてある」

「情けない話だよな……」

「そうだね」


 シオノ君はなんでこんな無謀な事を引き受けたの……?

 それにシオノ君のあの覚悟に似たような顔はなんだったの?推しには申し訳ないけど何も成果を上げてくれなかった。別にそれは大した問題ではないけど……。

 素人の私でも今回は無理なことだって肌感で分かっていたのになんで強引に話を進めんだ?

 確かに筋は通ってた気がする。けどそれを私達が受ける必要はなかった。いいえ言い方がひどかったわね、受ける実力はなかった。

 なのに、何のために?

 分からない。

 グリズリーの一件が気になってヤツをわざとおびき出した?

 その線は捨てきれない、けどこんな無謀な時にやらなくてもいい。

 ヤツの実力を試したかったとか……?

 何のために?

 んー、考えても分からない。


 カレンはシオノの異常ともいえる行動の真意を何度も何度も頭の中で回答を出そうとするが一向に出てこない。

 何か特別すぐに知りたいというわけでは無いが、まがいなりにも十五年過ごしてきたであろう友人をわざわざ死地とも思えるような場所に手ずから送り込む心理が分からなかった。カレンの中ではシオノはそういう考えを持つ子ではなかった。


 今ある事実は全員が無事な事と、誰に切られどのように切られたか分からないウミウシの死骸があるだけだ。

 カレン達は事実上の勝利ではあったが、試合に勝ち勝負に負けたという今の状況を冒険者として重く受け止める。気軽に喜べる気分ではなかった。

 誰が言うでもなくそれぞれ短刀で、オレンジの角と、青い鱗も何枚かを()がす。黙って作業した。

 村に帰ろうとするがなかなかに足取りが重く、皆意気消沈していた。バウアーに向かって(ほこ)らしく勝ったと報告できないのもその要因の一つだ。

 カレンは最後尾を歩く。


 今回のシオノ君の行動はちょっとだけ理解できなかったけど、やっぱり私は推しを守りたい……。

 シオノ君を守るためにはこれぐらいを簡単に倒せるぐらいに強くならないといけない……。

 所詮このパーティー、原作ではオイキャスの『スキル』頼りだった。私原作にいないけど。

 私にはなにか転生者特典とかないの?

 もっと楽に勝てるような力とか……。

 シオノ君と……、守りたいよ……!

 そんなの望んでも手に入るわけがない……。


 私はもっと努力するしかない……!


 歩きながら今後の事を考えていると空から一枚の紙が振ってきた。

 カレンはしゃがみそれを拾う。

 なんの変哲(へんてつ)のない紙だった。

 前を歩く三人は気付いていない。カレンは黙って紙を開くと、()()()でメッセージが書かれてあった。

 内容はこうだ、

『明日、日の出の刻に冒険者ギルドの前で待っている』

 カレンはどこか見たことのある筆跡(ひっせき)だった、しかし誰の字か思い出せなかった。

 カレンは久しぶりの日本語を見たことでテンションを上げるよりも、懐かしむよりも、


 この世界は私の夢なんかじゃない


 という確信めいたものが自分の中で現れた。


 この手紙の主はおそらく、いやこれも自信を持って言える


『仮面の男』だ。

読了ありがとうございます!

次回のお話も楽しみ待っていただけると嬉しいです

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