アプローチ
立花愛果‥‥いじめをきっかけに死にたいと願っている主人公の高校三年生。優等生。
永田北哉‥‥自称教師失格の少しクズな担任。でもそのクズな行動にも一つ一つ理由があって…。生徒にも人気な先生。消えたいと思っている。
塙玄弥‥‥愛果と北哉と宏哉とは小さい頃からの知り合い。
朝日先生‥‥北哉の命の恩人。
松下宏哉‥‥転校生。玄弥の双子の弟。
真希‥‥愛果の友達。
「待って。先生、待って。どうして!」
「だって君がこんなところに置くから!」
「でもそれは私の!」
私の…
シャープペンシル。
「先生、人のものを盗むのは良くないですよ。小学生ですか!前も自分の物のように持ってましたよね!?」
「ちょっとまって重要な資料があるから書かせて!」
「自分ので書いてください!」
「やだ面倒くさい!」
今私たちは家でシャープペンシルの取り合いをしている。
「ただいまー。」真希が帰ってきた。
真希は、シャープペンシルを取り合いして散らかったリビング、シャープペンシルを取り合いして転んだ際に床ドンのようになってしまった姿(ちなみに先生が床ドンをしている状態です)を見て「え、何事?ハレンチ?!…お邪魔しました…」と家から出ようとしていた。
「まてまて、これを見てどうしたらそう思う!?…私の大切なシャープペンシルを先生に取られて今取り返すために頑張ってるの。」
「なるほど…。じゃあ私も手伝う。」
この戦いは一時間にもわたって行われた。
勝者は私たち。
「というか先生、こんなことしてる暇があるなら重要な資料とやらを違うシャープペンシルで書いた方が早かったのでは?」
「まあ確かに?…すみませんでした。」
先生は土下座をした。すると真希は先生と目の前にしゃがんだ。
「先生、最初から謝ればこんな散らからなかったし、土下座もしなくて済んだし、重要な資料もすぐに書き終わってたのでは?」
「うん…本当ごめん!!」
「もうこういうことしないと誓うなら許しますよ。」
「はい。もうしません絶対しません誓います!」
「はい。」
次の日。
今日は三連休の初日。真希はサッカー部の練習試合、私は帰宅部なので普通に休み、先生も休み。
で、家に先生と二人きりというわけだ。
なんどか先生と二人きりになったことはあるが…いざとなると心臓が破裂しそうだ。
先生とテレビショッピングをソファに座って眺める。
特に面白いわけではなかったが、先生と同じソファで…となるとドキドキが止まらない…。
「そうだ立花愛果、」
「はい!?」緊張しすぎて変な声が…。
「なにその声。笑」
「ちょ、ちょっと裏返って…」
すると先生が近づいてきて、ソファに私を押し倒し、「それって、緊張してるから?」と聞いてきた。
「し、ししししてません!」と私は先生のお腹をパンチした。
「うっ…!」
先生はお腹を抱えながら床に倒れた。
「はっ!すみません!!悪気はないんです!」
「わ、わかっ…て…る…。」
先生の好きなもの…好きなもの…。
あ!
「パ、パンケーキ食べに行きましょう!!お詫びに!」
「行こう。そうとなったら準備しないとな。」
先生はむくっと起き上がった。
そして上の階から服を持ってきて、目の前で着替え始めた。
「ちょ、目の前で!?」
「まあいいだろ。」
「良くないです!」私は二階に上がって部屋に入って着替えをし、髪をいつも通りセットした。
「で、では行きましょう。」
「おう。」
先生と初めて一緒に行ったお店。
「先生、今日も遠慮なく。」
「まあ、今日はいいよ。」
「すみませーん!」
「はい!」
店員さんはこの間の店員さんと一緒で愛想が良かった。
「俺はこのトロピカルアラモード甘々パンケーキ一つ。」
「私もそれを。あと、トロピカルジュースとチョコレートバナナパフェにソフトクリームスモールサイズでお願いします。」
「かしこまりました!」
店員さんが去った後、「いやー、相変わらず愛想いいね。」と店員をニヤニヤ見ていたので私は「やめた方がいいと思いますそういうの。吐き気がします。」と嫌な目で見た。
「違う違う。俺は君一択だから。」先生は私の頭をポンポンとした。
「先生という人は…」先生という人はなんでいつもそうなんですか…。顔が熱い…。
顔が赤くなるのを感じ、私は両手で顔を隠した。
すると、店員さんが持ってきたお水をわたしの手に当ててきた。
「冷やせ。ドキドキして、顔熱いんだろ?」と次は頬に当ててきた。
「あ、ありがとうございます。…でも、こんなのでも冷えないくらい、今ドキドキしてるんです。」
「へぇー、なんで?」
「言わせないでください。」
「どうして。」
「だって私、先生が…」先生が好きだから。と言いそうになった時。
「あ!まっちゃんにほく兄!」と店に一人で入ってきたげんくんが手を振ってきた。
「ひろくん!え、一人?」
「うん。俺、こういうところ一人でくるの好きなんだよね。」
「JKかよ。まあここ座れ。」
「はーい。」げんくんは私の隣に座り、店員さんを呼んだ。
「すみませーん。」
「はい!ご注文は!」
「えっと、このストロベリーチョコ&ホイップパンケーキ一つと、いちごミルク生クリームのせ一つください!」
「かしこまりました!少々お待ちください!」
げんくんはスマホを用意して、手元にあるメニューをじっと見ていた。
すると、私の頼んだ大量のスイーツたちと先生の頼んだパンケーキが来た。
テーブルは私の頼んだ物で埋め尽くされた。
「え、まっちゃんこれ一人で全部?」
「うん!」
「あははっ、変わってないね、笑」
「ちなみにこれ全部五分で食べ終わるんだぞ?やばいよな。」
「え!笑」
先生が余計なことを言ったせいで、げんくんはスマホで五分測り始めた。
結果、五分で全て食べ終えた。
「すごー!!!」
「早食い、大食い。太るぞー。」
「うるさい先生。先生は遅すぎるんですよ食べるのが。」
「味わって食べてるって言ってほしいね。」
「私だって早いですけど味わってますよ!」
「前回は君のほうが遅かったくせに。」
口論していると、げんくんの頼んだパンケーキといちごミルクが届いた。
げんくんは百枚ほど、色んな角度から写真を撮り「いただきます!」と言ってやっと食べ始めた。
「だからJKかよ。」
「ほく兄は食べて美味しかったー!で終わるかもだけど俺はこの可愛い姿を写真に収めておきたいのー。」
「ふーん、俺にはわからないや。」
「先生、早く食べてください遅いです。」
「はいはい、わかってますー。」
げんくんは私の飲みかけのトロピカルジュースを少し飲んだ。
「美味しいね。これも。」
え、間接キス…。この店に来たら絶対誰かと間接キスをしてしまう。これはなにか誰か仕掛けてるのでしょうか。
それとも本当に自分から?
「あ、う、うん。美味しいよね。」
先生はげんくんを睨み、フォークでパンケーキを力強く刺していた。
「なんかこわーい視線感じるんだけど。ほく兄。」
「あ、ゔゔん(咳払い)勘違いだな。」
誤魔化すのが下手すぎる。
「あ、そうだ。よかったらこれから一緒に遊ばない?」
「え、いいの!」
「うん。暇だし。」
「うん!」
「じゃあ…」
え。
「私の家?」
遊ぼうとは言ったものの…。私の家で?
「まあいいけどさ…」
「じゃあお邪魔します。」
「ちょ、ちょっと待ってて少し片付ける。」
私は家に入り、ドアを強く閉めた。
「やばいやばい!ぐちゃぐちゃじゃん…!散らかりすぎ…。先生の脱ぎっぱなしの靴下とか…あ、これも…。」
私は玄関のドアまで行き、開けて先生を呼ぼうとしたがげんくんに先生が泊まり込んでいることを言っていなかった私はとりあえず先生の部屋に全て入れようと思い、急いで先生の部屋にぶち込んだ。
「お、お待たせ!」私は勢いよく玄関のドアを開け、招き入れた。
「お邪魔します。」
げんくんは丁寧に靴を揃え、リビングに入った。
「あ、好きなところ座ってて。今飲み物用意する。先生も好きなところに座っててください。」
「じゃあソファに。」げんくんはそっとソファに座った。
「すごいそっと座るね。」
「人の家のソファだからなんか躊躇しちゃって…。」
「勝手に私の家で遊ぶって言ったのに?」
「ごめん、でもまっちゃんと遊びたくてさ。でもインドア派だから。」
「そう。あ、麦茶しかない…」
「うん、ありがとう!全然麦茶でも大丈夫!」麦茶を二人分用意し、ソファの前のテーブルに置くと先生は全く躊躇などなくソファにダイブした。
「ほく兄、埃が舞うからやめて。俺アレルギー。」
「あ、ごめん。」
先生は普通に座り、テレビの電源をつけた。
特にすることもなくみんな無言のままソファに座りテレビを眺めていた。
気づけば先生は寝ていて、どんだけ起こそうとしても起きなかった。
「先生、寝ちゃったね。」
「ほく兄も疲れてるんだよ。こう見えても先生だからね。」
「そうだよね、先生なんだよね。」
そう、先生は小さい頃からの知り合いであり先生。いくら知り合いでも先生なのには変わりない。だからこの恋は叶わない、許されない。先生を慰める時「許されないって、誰が決めたんですか?好きならいいじゃないですか。」なんて偉そうな事言ったのに。
「ねえ、げんくん。」
「ん?」
「今ね、先生ここに住んでるんだ。」
「まあなんとなくそんな気はしてた。」
「え?」
「先生の靴下、片方落ちてる。」
「あ…。」げんくんは私の手を握った。そして私の頭を優しく撫でた。
「本当変わらないね。少し鈍臭いところも。」
「うるさい。笑」
「笑。でも、一つ変わっちゃったね。」げんくんは俯き少し悲しそうな顔でそう言った。
「何?」と聞くとげんくんは私を抱きしめた。
「ど、どうしたの?」
「…まっちゃんは小さい頃は俺に好き好き言ってくれたのに、今はほく兄なんでしょ。…俺、勘だけは鋭いから。」
「…。」
「隠しても無駄だよ。」
「そう、だよ。」
「はぁ。俺、まっちゃんのこと大好きなのに。」
私はげんくんの腕を振り解いた。
「ごめんね。」私は泣きそうなげんくんの手を握った。
「本当ごめん、でもげんくんの事は好きだよ。今こうなっても、好き。だからこれからも仲良くした…」これからも仲良くしたいし。これからも…。これからも…。
…げんくんは私にキスをした。その時、先生が伸びをして起きた。
私はげんくんから離れて「違うんです、これは…これは!」
先生はぼーっと私を見つめた後に、二階に上がった。
そしてげんくんは「ごめん、ごめんね。」と言い家から出て行った。「お邪魔しました。」
ドアが閉まる音が響く。
私は一人、広いリビングの床に体育座りをした。
「はぁ…。」
私は体育座りをした足に顔を埋めた。
すると「愛果。」と言い、先生がバッグハグをしてきた。
「い、今愛果って…」
「恥ずかしいからそれ以上言うなよ。」
私は顔を上げた。
「先生、私はげんくんまで失わなきゃいけないのでしょうか。恋というちっぽけな物で。」
「宏哉はな、本当に好きなんだよ。君のことが。」
「わかってます。…でも他に好きな人がいるんです。その人は私にとって大切で、本当に好きな人で。期待には応えられないんです。でもそれで…」
「それくらいで散るような友情なら捨てれば?」
「でもげんくんは小さい頃からの仲で、友達としてですが大好きで…」
「仲直り、したいの?」
「はい…。」
「その気持ちがあるなら大丈夫だ。」
「…はい。…私ちょっと行ってきます。今ならまだ近くにいるはず。」
「そうだな。頑張れよ!」
私はスマホを持って走って家を出た。最近、あまり運動をしていなかったので息切れが半端なかった。
「はぁ…。はぁ…。」走っている途中に足を挫いたのか、走っている途中に足に痛みを感じた。
「痛…」再び走ろうと立ちあがり走り出したが、転んでしまった。膝から血が出てしまった。
「なんでこういう時ばっかり…。でも…」私は膝を抱えながら立ちあがり、もう一度走り出した。
走っていると、げんくんの背中が見えた。
「げんくん…」私は立ち止まり、全力で「げんくん!!!」と叫んだ。
するとげんくんは振り返り、驚いた顔をして「まっちゃん…」と呟いた。
でもげんくんは前を向き、また歩き出してしまった。
私は「ちょっとまって!」と言い走り出したが、足が痛くて走れなかった。私はしゃがみ、血が流れている膝を必死に押さえていた。
「痛たたた…。」立とうとしたけれど、結構な怪我で、立ち上がれなかった。俯いて泣きそうになっていると、「まっちゃん!」と言いながらげんくんが走ってきた。
「うわ、すごい怪我…。ちょっと待ってね、俺、なんかあった時のために救急箱持ち歩いてるんだ。今処置するね。」
「ありが…なぜ。」
「俺自身怪我をすることが多くて。」
「あー。なるほど。ありがとう。」
げんくんは私の膝に消毒液をかけ、大きい絆創膏を貼った後、包帯でぐるぐる巻きにした。
「ありがとう、あのさ…」
「じゃあもう行くね。」げんくんは救急箱をリュックの中に入れ、立ちあがり、私に背を向け歩き始めた。
「ちょ、ちょっとまって!」
私は、足を挫いているのを忘れていて、思わず走り出してしまった。
足首を見ると、結構腫れていて走れなかった。足を引き摺りながらもげんくんのところまで歩いた。そして腕を掴んだ。
「まって、話を聞いて。」
「だって俺はまっちゃんに最低な事しちゃったし…。」
「キスのこと?…確かに最初はびっくりした。私には好きな人がいる。キスをされて嬉しいとも思わない。…でもそれ以上にこれからも友達のままでいたい。だって、大切で大好きな友達だから!」私はげんくんの腕をギュッと握った。
するとげんくんは私を抱きしめて「ごめん。まっちゃんが好きな人がいるって知ってたのに。…その好きな人が目の前にいるって知ってたのに。…嫌な奴でごめん。」
「謝らないで。」
「でも…」
「いいの。言ったでしょ?大切で大好きな友達だって。私は、これからも友達のままでいたいって。」
「わかった…。俺、まっちゃんの恋応援する。…許されない恋だとしても、応援する。」
「ありがとう!」
私はバイバイと言い、家に帰った。
「先生ただいま!」
「おかえり。」おかえりと言っている先生は眼鏡をかけていて、少し目が腫れているように見えた。
でも見間違いかと思い、スルーした。
「仲直りできた!」私は先生に飛びつきハグをした。
「おぉ。よかったな!」私は正気を取り戻したかのように先生から離れた。
「すみません…つい…。」
「いや、嬉しかったんだな。俺まで嬉しいよ。」
「はい!とりあえず、もう五時半なので真希も帰ってくると思うし、ご飯作りますね!今日は、ハンバーグにしようと思います!」
「よっしゃ!」
私はキッチンに立ち、昨日買っておいた挽肉などを出した。
「俺も手伝う。」
「お願いします。」
ハンバーグを作っていると、真希が帰ってきた。
「ただいまー。」
「おかえり!」
「おかえり。」
真希は二階に行って、部活のバッグを置き、リビングのソファに座った。
「疲れたー。」
「お疲れ様!今日ハンバーグだからもうちょっとかかる。先お風呂入ってて!」
「わかったー。」
真希がお風呂に入っている間、私は聞いてはいけないだろうと思っていた質問をした。
「せ、先生。…私がキスされているのを見てどう思いましたか?」
「…」
「なんてこんな質問最低ですよね、ずるいですよね!」
「…ずるくない。正直嫉妬した。」
「嫉妬?」
「うん。…好きって言った方が早いかな。」
「好…き…?」せ、先生は、今なんて?
好き?それはどういう?LOVE?like?どっち?
「うん。好き。君のこと。だからああいうの見ると嫉妬する。」
嫉妬…。嫉妬という事は、先生。LOVEって事でいいんですよね。
先生はハンバーグをハートの形に捏ねて、私の目の前に置いた。
「これは、君に。LOVEだよ。」
「LOVE…。」その時、開けていた窓から風が入ってきた。風は、私たちの髪を靡かせた。今日は寒いはず。なのに暖かかった。
「そ、LOVE。」私は先生のハートをフライパンに投げた。
「そんな扱い方しないでよー!」
「だ、だってハンバーグは焼くものです!」
「あ、半分に割れちゃったじゃん!」
「く、くっつければいいです!」
「くっつけたいんだ。ハートにしたいんだ。」先生はそうニヤついた。
「ち、違います…。縁起が悪いから…。」この人はなぜいつもそう、ドキドキさせるのですか?
ちなみにハンバーグのハートは形が崩れ、先生が食べることになった。
「なんで俺が君に送った自分のハートを食わなきゃいけないんだよ。」
「美味しいですか。」
「美味いよ。美味すぎるよ。悲しい味がするよ。」
《アプローチ》(先生編)
実はあの時起きてたんだよ、立花愛果。
あの時。玄弥からキスされた時。
正直嫉妬した。
俺は教師失格だから、「もう一生仲直りしなくても」と思ってしまった。本当最低だな。
でも、それほど嫉妬してたんだ。
君のことが大好きだから。
「…はい。…私ちょっと行ってきます。今ならまだ近くにいるはず。」って笑顔で出て行った君を「そうだな。頑張れよ!」って言って送ったけど、元気に出て行った君の背中を見てずっと嫉妬してた。
でも、手を出すわけにはいかないから。
俺はソファに崩れ落ちるように座った。
そして両手で顔を覆いながら俯いて笑った。
「ははっ、バカかよ。なんで、なんでこんなに…こんなに最低なことを…。」
顔から両手を取ると手が濡れていることに気がついた。
俺は袖を手まで伸ばし、目を拭いた。
洗面所まで行き、目が腫れていないか鏡で確認した。
「少し腫れちゃったかな…。」
俺は眼鏡をかけて誤魔化した。
そして、立花愛果の帰りを待った。
「先生ただいま!」立花愛果は笑顔で帰ってきた。
「おかえり。」
「仲直りできた!」立花愛果は俺に飛びつききつくハグをした。本当にバカだな俺は。こんなに嬉しそうに、笑っているんだ。嫉妬なんか、嫉妬なんかしないで、素直に言えばいいじゃないか。あんなに笑わなかったのに笑ってるんだ。素直によかったねって言えばいい。
俺は唇を一度グッと噛み締めて「おぉ。よかったな!」と笑って言った。立花愛果は顔を赤くして俺から離れた。
「すみません…つい…。」
「いや、嬉しかったんだな。俺まで嬉しいよ。」
立花愛果が笑ってるんだ。嬉しい。多分。
「はい!とりあえず、もう五時半なので真希も帰ってくると思うし、ご飯作りますね!今日は、ハンバーグにしようと思います!」
「よっしゃ!」
立花愛果はキッチンに立ち、昨日買っておいた挽肉などを出した。
「俺も手伝う。」俺は立花愛果の立っている横に立ち、腕捲りをした。
「お願いします。」
一緒にハンバーグを作っていると、真希が帰ってきた。
「ただいまー。」
「おかえり!」
「おかえり。」
真希は二階に行って、部活のバッグを置き、リビングのソファに座った。
「疲れたー。」
「お疲れ様!今日ハンバーグだからもうちょっとかかる。先お風呂入ってて!」
「わかったー。」
真希はお風呂に向かう途中、俺の横に来て耳元で「ファイト先生!」とニコニコで言ってきた。
俺は「あ、ありがとな。」と囁いた。
真希がお風呂に入りに行って、俺はあの質問をされるのではないかと不安を抱いていた。
「せ、先生。…私がキスされているのを見てどう思いましたか?」
「…」やっぱり。立花愛果に限ってないかとは思ったが、やっぱり質問された。こうなったら正直に言うしか。
「なんてこんな質問最低ですよね、ずるいですよね!」
「…ずるくない。正直嫉妬した。」
「嫉妬?」
「うん。…好きって言った方が早いかな。」
キモいです先生とか言われるかな。
ていうか言ってよかったのかな。
俺は平気な顔をして心の中でそう後悔していた。
「好…き…?」
「うん。好き。君のこと。だからああいうの見ると嫉妬する。」
俺はハンバーグをハートの形に捏ねて、立花愛果の目の前に置いた。
「これは、君に。LOVEだよ。」
「LOVE…。」
「そ、LOVE。」立花愛果は先生のハートをフライパンに投げた。
「そんな扱い方しないでよー!」
「だ、だってハンバーグは焼くものです!」
「あ、半分に割れちゃったじゃん!」
「く、くっつければいいです!」
「くっつけたいんだ。ハートにしたいんだ。」俺がそうニヤつくと「ち、違います…。縁起が悪いから…。」と顔を赤くして顔を背けた。
ちなみにハンバーグのハートは形が崩れ、俺が食べることになった。
「なんで俺が君に送った自分のハートを食わなきゃいけないんだよ。」
「美味しいですか。」
「美味いよ。美味すぎるよ。悲しい味がするよ。」
立花愛果に送ったハートだったのにー!!!
真希はその間、ずっとニヤニヤして俺のことを見ていた。
次回
生きるって?




