第三十一話 集え!クラス対抗戦〜対抗リレー③
休みで出掛けようと予定をたてて、雨予報だから違う日にしようと変わるとテンション下がる。
今日は1日だらだら過ごしました。。。
……_(┐「ε:)_これはこれで良い。
ブックマーク、誤字報告、評価、読んでくれた皆様。
ありがとうございます(*'ω'*)
第五走者のツールにバトンが繋がる。
「後は頼んだ!ジュエルに繋いで!」
「うん!」
ツールが走り出す。
『アンカーまで繋ぐバトンが全て繋がりました!』
『かなり追い上げたが、また少し差が開きそうだね』
『頑張るのじゃ!ジュエルまで繋ぐのだー!』
『完全に観戦者だよねバーン』
差が広がりそうで広がらない。スノウより速かったが、もしかしてツールは速い方なのか?
「いいぞツール!頑張れ!」
「走れー!」
遠くからエルとライドの応援の声がする。
「俺もいつまでも座ってられんな……」
「無理はいけませんよ。掴まって下さい」
「すまない。ツール頑張れ!」
「頑張って下さい!」
ファクターがスノウの肩を借り立ち上がる。そして二人も声援を送る。
『先頭集団は順位変わらず!それを追いかける五組!って躓いた!?転……』
転びそうになったが、手をつき再び走り出す。
『よくぞ持ち堪えた!男じゃ!』
『ひやっとしましたね』
『差が縮まらないが、離されてもいない!いや、一組が速い!三組を抜きました!』
熾烈な争いをする。ワシの前では次の走者達がレーンに入ろうとしておる。
「ジュエルさん。悪いがこの戦いは俺達が頂く」
「あら?三組はもう勝った気でいるのかしら?」
「無論一組にも負けない」
「それはこちらの台詞ですわ」
「ふふ。勝負じゃ!ワシは魔力を使わなくとも速いからのう」
「「負けない!」」
三組と一組がレーンに入る。
「完全に忘れられてるね」
「悲しい事言わないの。油断しているなら良いじゃない」
「そうかなー?」
「後ろから抜くのがカッコいいものよ」
「それはそうだけど」
「二組は負けを認めるの?」
「そんな訳ないじゃないか。後ろから全員抜くさ」
そんな四組と二組が遅れてレーンに入る。
「全員見ておれ!必ず追いつくのじゃ!」
それぞれが闘志を燃やし、走者からのバトンを待つ。
『コーナーを抜けて現在一位は三組!その後すぐに一組が迫っている!』
『どちらも接戦だね』
『皆、頑張るのじゃ!』
『その後ろには横一線の二組と四組!まだまだ巻き返せる距離にいます!そして今コーナーを抜けました!』
良い走りをするのう。どこかで転んでくれたり、バトンを落としても良いんじゃが……
『アンカーへとバトンが……繋がりました!一位は三組!』
そんな事は無いようじゃ。別に期待はしてなかったがのう……
三組と一組がバトンを繋ぎ、一足先に走り抜ける。
『そして少し遅れて二組と四組がバトンを繋ぐ!』
『ラストは400メートルだね。悔いを残さないように頑張って欲しいですね』
『ジュエルー!!』
分かっておるのじゃ。泣いても笑ってもこれが最後じゃと言う事が……ワシは全員走り去ったレーンに入る。
「ジュエルちゃん!」
ツールの声が聞こえる。ここまでよー走った。
「頼むジュエル」
「頑張って下さいジュエル」
「任せよ!」
ファクターとスノウから激励も貰った事だし、気合いを入れねばな。
『最後の走者へ五組がバトンを繋ぎます!』
―パシ!
「わわ!?」
バトンを渡し、脚がもつれたツールが転ぶ。
―ダッ!
後ろを振り返る事なく、ワシは前を向き走る。
「いけージュエルちゃん!」
『バトンが渡った!後方尾の4組までその距離約100メートル!』
前を走る者達がコーナーを走る姿が見える。この距離であれば……
『さぁ!順位は変わらず!各走者の必死さがここまで伝わって……』
『なんだあの走り……速すぎない?』
『ジュエル!行くのじゃー!』
『速い!ジュエル選手怒涛の追い上げだ!』
二組と四組の走者がチラッとワシの事を見て来た。
「後ろを確認する余裕があるのかのう?」
「「なっ!」」
コーナーを抜けるところで、二組と四組のすぐ後ろまで追いついた。
『最終コーナーを抜けて、五組が二組と四組に追いついたぁ!!』
『あの差をもう詰めてきたと言うのか!?』
『さすがはジュエルじゃ!』
抜くタイミングは……
「ジュエル頑張れ!」
「頼むぞジジ!」
ライドとエルの声を受け、ワシは前の2人を抜く。
『抜いたぁぁ!五組が三番手!残るは先頭の三組と一組だ!』
『しかし前の組はもう最後のコーナーに入っているぞ』
『ジュエルー!!』
ぬぅ!前の二人速いのじゃ!速い者が選抜されておるはずじゃし……
―タタタ……
「ジュエルちゃーーん!」
「!」
危なかったのじゃ。少し諦めそうじゃった。ツールの声で我に帰った。その後も何度もツールの声が聞こえてくる。
「ふんぬ!」
『ここに来てまた速度を上げたジュエル選手!どんどん前の走者との距離を詰める!』
『あの小さな体でどうしてあんな速く走れるのだ?』
『体の大きさなんぞ関係ない!ジュエルは日々鍛錬を怠らず、走り続けておるのじゃ!』
『と言っても七歳だろう?』
『ジュエルは四歳の頃には、屋敷の一周を走っておったぞ』
『四歳って……そんなに走れたか?』
『驚くべき身体能力!ジュエル選手の速さの秘密は日々の鍛錬だった!』
何か色々暴露されておるが、今はどうでもいい事じゃろう。
「ジュエルちゃーーん!」
「分かっておるのじゃ!」
「くそ!もう追い付いてくるのか!」
「後ろを気にするなんて余裕……ね!」
『一組が三組を抜きました!』
「あ、っく!」
前も熾烈な争いをしておる。しかしコーナーで横並びじゃと、抜けんのう……勝負は最後の直線か。
『一組と三組がコーナーを抜けました!ラスト50メートルの直線だけです!』
『ジュエルさんは……ぴったり後ろに付いてますね』
「そこじゃー!行くのじゃジュエル!」
「分かっておるのじゃ!」
「うおぉぉ!!」
「まだまだぁ!!」
前の二人がほぼ横並びで走る。その背から飛び出し、ゴールテープを真っ直ぐ見つめる。
「負けんのじゃぁー!」
「だぁぁ!!」
「ん!!」
―パン!
『ゴォォォォル!ほぼ同着!!判定は如何に!?』
「さすがに速いのう……」
「はぁはぁ……ジュエルさんに言われるなんて、光栄ですよ」
「はぁ……あーもう無理。お腹痛い」
後続の二人が今ゴールした。
「はぁ……まさか抜かれるなんて」
「速すぎるでしょう……100メートル差とか聞こえてたのに」
「お主らも速かったぞ」
「抜かれたけど」
「ふへ〜頑張ったけど追い付けなかった」
走り切った走者達が各々に息を切らし、結果が出るのを待っておる。
『結果が出ました!一位は……三組!!』
「え?嘘?」
「「「うわぁ!!やったー!!!」」」
ぬぅ……負けたのじゃ。
『二位は五組!三位は一組です!』
「だぁー!負けた!」
「…………」
二位か……皆に合わせる顔が無いのう。
「ジュエルちゃん」
「!」
後ろからツールに声がする。しかし頑張った皆の為に勝利を掴む事が出来んかったワシは、振り向く事が出来ずにいた。
「頑張ったよ。だって僕達は五位だったんだよ」
「……しかし、ワシは任せろと言ったのじゃ」
「それでも!僕らは頑張ったよ!だからジュエルちゃんも……泣かないで」
「っう!?」
気がつけばワシの目からは涙が流れておった。止めようと思い目を擦るが、どんどん溢れてくる。
「ワシは……」
「よしよし。悔しかったもんね。でも次……勝ちにいこう!」
「ツールぅ……うわぁぁん」
ワシは初めて泣いた。
ツールの胸を借り、ワシはしばらく涙が止まらなかった。
ファクター「ジュエルが泣くなんて……」
スノウ「ジュエル……ふえぇ……」
ファクター「スノウ……」
ライド「私がもっと速ければ……もう少し差を詰めていられたら」
エルダーン「ライドは頑張ったさ。ちゃんと俺が見ていたから間違いない」
ライド「っく……悔しい」
エルダーン「よしよし。よく頑張ったライド」
バーン『うおぉぉ!!ジュエルゥゥゥーー!!!』
学園長『おっさん。泣くならマイク切れよ』
バーン「うおぉぉ!!」
学園長「横で泣かれたら一緒か……」




