第二十九話 集え!クラス対抗戦〜対抗リレー①
晴れた日が続きますが、夜はすっかり冷えますね(*´-`)
風邪ひかない様にそろそろ着込みましょう。d( ̄  ̄)
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ありがとうございます(*'ω
翌日、いつも通りの朝のランニングをしている。
「今日はいい天気じゃな」
「そうですね」
ワシの横ではジャムが涼しい顔で走っておる。
「ところでお嬢様」
「なんじゃ?」
「3名ほど付いて来ていませんが」
「ん?」
後ろを振り向くとライドとエルがおるが、ツール達がおらん。
「強化魔法も使わずゆっくり走ったつもりなんじゃが」
「はぁはぁ……ふぅ」
「はぁはぁ……これがゆっくりだと?」
「ジャムは涼しい顔をしておるじゃないか」
「はぁ……二人を基準にしてはダメだと思うの」
ライドが言うに二人でも付いて行くのでやっとらしい。走ることが苦手な者は当然置いていかれると言う事か。リレー前に軽くウォーミングアップと思ったんじゃがな。
「仕方がない。今日はリレーがあるからのう。戻って休憩としよう」
「そうだね。それがいい」
「ふぅ……腹減った」
走って来た道を今度はゆっくり走る。エルが走るのかと言って来たが、これでもゆっくりなんじゃがのう。
するとゆっくりではあるが走って来ているツールを見つけた。
「はぁ……はぁ……?」
「喜べ引き返して休憩だ」
「はぁ……?」
「何を言ってるか分からないぞツール」
「はぁ……はぁ……はぁ」
ツールはコクコク頷くだけで、喋る余裕はないようじゃ。そしてツールに合わせて更にゆっくり走る。
そしてもう一人をすぐ見つける。
「あら?ジュエルどうしたの?」
「スノウ……走ってるのか?」
「ええ。そうですが?」
走っていると言っていたスノウは息が切れる事もなく、淡々と喋る。まぁ良いかと最後の一人を見つけに再び走り出す。今度はスノウに合わせて……
「なんじゃこの違和感は?」
「どうかしまして?」
「フォームは綺麗なのんじゃが……遅くないかのう?」
「フォームは本を見て学びましたわ。速さに関しては頑張りますわ」
―タッタッタ……
―スタスタ……
ライドが少し速く歩いているのと同じじゃと?小走りと言うにはあまりにも遅い!
「謎じゃ……」
「まぁ本人は本気みたいだし。仕方がない」
「リレーは私達が頑張ればいいよ」
エルもライドもこれを放って置いていいのかい?これいつか困る日が来るんじゃないかのう……
「あ、ファクターがいたぞ」
エルの声に前を向くと、そこにファクターは倒れておった。
「走ってすらおらんな。生きておるかファクター?」
「ぜぇ……ぜぇ……み、水」
「仕方がないのう……《エアリードロップ》」
― ぷくぅ……パァン!ザバァ
「ゴフゥ!?」
「鬼か!?」
「へ?なんじゃ?」
「いやいや、へばった人間に水ぶっかけるとか」
「しかしファクターが水と言うからのう」
水と言うから出したのに……エルに怒られたのじゃ。走る人間が水と言えばこれじゃろうて。
「私が出します。コップを作って頂けますか?」
「うん分かった」
―ポコッ
「ツールが山を作った!?」
「むむ……出来た」
「ありがとうございます」
慣れた手つきでツールの作った山から、コップだけを取り出すスノウ。それに水を入れるとファクターを起こし、コップを優しく渡す。
「ごくごく……あ、ありがとうスノウ」
「どう致しましてですわ」
この光景だけ見るとスノウが聖女に見えるのう。
「これだよジジ。介抱ってこう言う事だぞ?」
「解放?何を解き放つのじゃ?」
「それ違うし!介抱な!世話する方の」
「おお、そっちか。なんじゃこれが正解だったのか」
「あはは。ダメだよエルダーン。ジュエルに女子力求めちゃ」
「失礼だのうライド。ワシだってそれくらい出来るぞ!」
「あーそれ試さなくて良いから」
やろうとした事を止められたのじゃ!ワシが何をするかばれたのか!?
「ワシはただ噴水の様な湧き出る水を、たらふく飲まそうとしただけなのに」
「それ死ぬからな」
「あはは。やっぱりジュエルはジュエルだね」
ヘロヘロなファクターをエルとツールが肩を貸して歩く。ぷるぷる震えながら支えるツールの方が心配じゃ……
朝のランニング後のワシらは、なんとか無事に食堂へと辿り着いた。
「おはようジュエルちゃん。今日もいつものかい?」
「よろしく頼むのじゃおばちゃん!」
「あいよ。おや?今日は友達も一緒なんだね」
「今日は対抗リレーがあるからのう!朝からランニングで最終調整じゃ」
「そうかい。ならおばちゃんも張り切っちゃおうかしら」
果物いっぱいのお皿を慎重に運び、テーブルの上に並べて行く。ヘルシーで甘い!それがワシの贅沢である。普段はジャムに甘い物を制限されておるが、この果実達に関しては、食べすぎたりしなければ許してくれる。
「朝からよくそんな食べられるな……」
「果物じゃぞ?少しくらいは食べねば走れんぞ」
「うぅ……走るのか」
「私が剥いて差し上げますわ。どうぞファクターさん」
「ありがとうスノウ」
これが女子力!勉強になるのじゃ。
―モシャモシャ
「皮を剥くの人と、そのまま丸かじりする人か……」
「豪快で良いと思うけどなぁ。僕も真似しよう」
「ツールが良いならそれで……」
―モシャモシャ
―モシャモシャ
ツールが丸かじりをしておるが、頬をそんなに膨らませなくても良いんじゃぞ?
「んぐぐ」
「んぐぐ?」
「食べてから喋りなよ」
「……」
「何?エルダーン」
「ライドは剥くタイプなんだな」
「何よ。あ、やって欲しいの?」
「別にこれくらい……」
ナイフを使い皮を剥くエル。スノウのと比べるとだいぶ皮が厚いのう。
「やってあげるわよ。ほら」
「器用なんだな」
「私みたいなのが意外だよね〜よく言われ……」
「なんでだ?」
「よく男の子と間違われたし、私は可愛くないし」
「何言ってるんだ?ライドは可愛いぞ?」
「な!?」
―モシャモシャ
―モシャモシャ
さてと、腹も膨れたし何をしようかのう。皆はまったりしているみたいじゃが……ワシもぐでーっとするのじゃ。
♢
ゆっくりしたおかげで元気いっぱいじゃ!
「あぁ緊張する」
「だね。でもここまできたらやるしかないよね」
「ツールは強いな。俺は……」
「……」
『さぁクラス対抗最後の競技になりました!みなさん元気ですか!!』
「うぉーなのじゃ!」
『今日も元気ですねジュエル選手!今日は何を起こしてくれ……ん?ルール変更……』
何やら実況席がバタバタしておるのう。
『あはは。やっぱりこうなりますよね。畏まりました!』
マイク入っておるぞ〜
『おほん!さぁ対抗リレーに置いてルール変更があったぞ!レース中の魔法禁止です!分かりましたかジュエル選手?』
「何故ワシを名指しなのじゃ?」
『純粋にレースを楽しみたいとの事です!あ、強化魔法も禁止ですからね』
「身体は資本じゃしな。純粋な身体能力を比較するのには良いと思うぞ」
『さぁ本人も理解してくれたと言う事で、早速第一学年いってみよ〜!!』
それぞれのクラスがレーンに入る。ワシらのクラス第一走者は……
「……落ち着くのです私」
「スノウよ。ワシらがおる!好きに走るが良い」
「本当に小さいのに大きく見えるわね」
位置についたスノウ。
ドキドキの対抗リレーが今始まる!
副学園長「魔法の使用禁止は、少しやり過ぎな気もしますが?」
学園長「これで良いんだよ。禁止にしなかったら試合にならなくなっちゃうよ」
副学園長「どう言う意味ですか?」
学園長「そんなの。ジュエルさん一人で勝てちゃうじゃないか」
バーン「その通りじゃ!魔法を使ったジュエルは、ワシでも目で追うのがやっとなんじゃ」
副学園長「そんな……バーン様ですら!?」
学園長「まぁそう言う訳でルールは変えたけど。この試合も面白くなるんじゃない?」
バーン「ワシの孫じゃからな!生半可な訓練はしておらんからな!」
副学園長「どうしましょう……まだ不安しかありませんわ」




