お呼び出し
アデルに見送られ、魔法店を出たその瞬間、目の前には鎧を着用し、大きな剣を携えた二人の兵士が立っていた、その兵士達は後ろの魔法店に用がある訳ではなく、明らかに俺とウィンディを見ていた
「え、」
「え、」
兵士の視線に圧倒され(俺達なんかヤバいことしたっけ?)と思い不安な表情をした時、兵士が喋り始めた
「ウィンディ様とそのお連れ様ですね」
兵士はその堂々とした表情とは裏腹に非常に丁寧に話し始めた、二人は困惑しながらも兵士に返した
「ええ、そうだけど」
「トラウム様がお呼びです、ご同行願います」
それを聞いたウィンディは驚いた表情をした
「え、トラウムさんが?」
「はい、話したい事があるそうです」
「分かったわ」
それを聞いた兵士はグリンティアの中央にある大木に向かって歩き始めた、その後を二人は着いて行った
「なぁ、トラウムって誰だ?」
「この町の町長よ、私とメレアにグリーフ大森林の魔獣討伐の依頼を出した人だね、今は西側の戦争で忙しい筈なんだけど、そんな中私達に何のようだろう」
二人は何故呼ばれたのか不思議に思いつつ、町の中央にある大木に入っていった、その後非常に多くの階段を登り続け、おそらく一番高い階層にたどり着いた
「着きました、この先でトラウム様がお待ちです」
兵士が案内した扉はグリンティアらしい緑の装飾が施された綺麗なドアだった、恐る恐る二人は扉を開け中へ入った、部屋の中は非常に綺麗でホコリ一つ無いほど、部屋の壁には様々な表彰状のような物や、様々な人物の肖像画が架けられていた、その下にある棚には一般の店には売っていないような見事な水晶やアクセサリーが飾られていた、部屋の奥には大きなデスクがあり、その奥にちょび髭を生やし、緑を基調とした貴族らしい服を着た男性が座っていた
「ウィンディ君、それに君もよく来てくれた、感謝する、付いてきてくれ」
そう言いとその男は立ち上がり、背後にあったドアを開けた、その先はグリンティアの町を一望できる広いバルコニーに繋がっていた
「さあ、二人とも座ってくれ」
そう言われ、二人はバルコニーに用意された椅子に座った
「私の名はトラウム、この町の町長をやらせてもらっている」
そう言った後、トラウムは申し訳なさそうな顔をした
「改めて言おう、二人とも、呼び出しに応じてくれて感謝する、それとウィンディ君、君には謝りたい事がある」
「え、謝りたい事ですか?」
ウィンディは困惑した表情をした、それを聞いたトラウムは深く頭を下げた
「私がウィンディ君とメレア君に魔獣討伐の依頼を出さなければメレア君が行方不明にならずに済んだというのに、、、本当にすまなかった」
ウィンディは急に謝られびっくりしたようだ
「いやいや、大丈夫ですよ、トラウムさんが謝る事じゃないですよ、私がちゃんとメレアと一緒にいれば良かったんです」
「本当に申し訳ない」
トラウムがもう一度言い直し、頭を下げた後、トラウムがこちらを見た
「君、置いていってしまいすまない、君が門番の言っていたウィンディ君の連れだね」
「はい、ラオトって言います」
「ラオト君、いい名前だね、君達は魔法店に居たようだけど、何をしていたんだい?」
「ああ、俺の魔力量の調査をしていたんです」
「魔力量の調査、という事は、職業の選択はまだだね、君の得意属性は何かな?」
「土属性です」
「土属性、、、なるほど、いいじゃないか、何かやりたい職業などはあるかい?」
「それが、まだどんな職業があるか分からないんです」
「そうだね、すまない、どんな職業があるかも言わずにやりたい職業を聞くのは野暮だったね」
そう言うと、トラウムは一度部屋に戻り、一冊の分厚い本を持ってきた
「これを見てくれ」
そう言うとトラウムは本を開きとあるページを開いた、そこには土属性についてが詳しく書かれており、その中には土属性と相性の良い職業が書かれていた
「ここに土属性と相性の良い職業の一覧が書かれている、気になる物があったら何でも聞いてくれ」
そう言われ、ラオトはそのページをじっくり見た、重戦士、重騎士、守護者、ゴーレム使い、、、どうやら土属性はタンク系や、機動力が低い代わりに重い一撃を入れるタイプが多いようだ、しかし俺はそれらの職業に興味が湧かなかった、ただ一つを除いて
「魔法使い」
(ウィ)「え?」
「俺は魔法使いになりたい」
(ト)「、、、」
魔法使いという土属性のオススメには入っていない職業を急にラオトが口にし、ウィンディは驚いた
「魔法使い?土属性と相性の良い職業の中に魔法使いは入ってないでしょ、何で急に?」
「、、、」
トラウムは黙っている
「良いだろ、魔法も使えるようになったし俺は魔法使いをやってみたいんだ」
「あのね、土属性の魔法使いって本当に少ないんだよ、魔法を覚えたくても、他の町に土属性の魔法書があるとは限らないんだよ!」
「良いんだよ、その時は完全に自力で習得するから」
「、、、フフ」
今まで黙っていたトラウムが急に笑い始めた
「ハハハハハ!」
それに二人は困惑した
「え、どうしたのトラウムさん?」
「やはりな、ラオト君ならそう言うと思ったよ」
「え?」
そう言うと、トラウムはラオトを見つめた
「ラオト君、本当に魔法使いで良いんだね、一度決めたら変えるのは難しいよ」
「ああ、俺は魔法使いになりたい」
それを聞いたトラウムはどこか嬉しそうだった
「分かった、それじゃあそんなラオト君にいい物をあげよう、二人とも付いてきてくれ」
二人はトラウムについて行った、すると、厳重な作りになっている部屋の前に来た、トラウムがドアを開けると中には、グリンティアの要素を詰め込んだような鮮やかな緑の服と綺麗な赤色の宝石が入った杖が置かれていた
「ラオト君、君にこの服と杖をあげよう」
それを聞いたウィンディは驚愕した
「え!良いんですか!この服と杖から物凄い力を感じるんですが」
「ああ、良いんだよ、確かにこれにはすごい価値がある、しかし私が持っていても意味が無いからね、それにラオト君になら何の躊躇もなくあげられる」
「え、何でですか?」
「それは、私がラオト君に期待しているからだ」
期待している?まだ期待されるような事何もしていないと思うけど、、、そんな事を考えていたが、トラウムの真剣な眼差しに答えざるをえなかった
「ありがとうございます、トラウムさん、それじゃ、ありがたく使わさせてもらいます」
「ああ」
そう言ったトラウムの顔は嬉しそうだった
トラウム
好きな物、読書 歴史 とあるおとぎ話
嫌いな物、魔王 冬
職業 町長
得意属性 草
先祖代々受け継がれてきたグリンティア町長の家系の87代目、小さい頃から読書が好きで非常に博識、昔母親が読み聞かせてくれたとあるおとぎ話が原因で読書が好きになった、しかしその母親もトラウムが成熟する前に、前町長の父親と一緒に魔王軍に殺されてしまった、それ以降普段は表に出さないが、心の奥底では深く魔王軍を恨んでいる




