オーバーヒート
遠くに見えたキオンの城を目指して歩き続ける5人、その道中も魔獣や魔人に襲われたが、圧倒的な強さで敵を蹴散らしていくスティアとアレスの前では、もはやいないも同然だった。そしてついに、5人は目的地であるキオンの城の目の前へたどり着いた
「ここがキオンの城か、、、」
ラオト達の目の前には、ヴェルンドの町のような黒い石で作られた大きな城が聳え立っていた、しかし、ヴェルンドの町の建物とは雰囲気が大きく違い、簡素な作りのヴェルンドの建物に対して、この城には至る所に棘や鎖などの派手でワイルドな装飾が施されていた
「、、、なんか、まるでヴェルンドの建物みたいな感じだな」
「えぇ?全然違くない?」
「うーん、確かに、似ていると言えばそうかも」
「まぁそんな事よりも、ついにキオンの城に突入するわけだが、みんな準備は良いか?」
「もっちろん!」
「任せとけ!!」
「パパッと終わらせちゃおー」
皆がラオトに元気よく返事を返す中、先程まで威勢が良かった筈のアレスは、返事と共に荒い息遣いをラオトに返した
「はぁ、はぁ、わ、我も大丈夫だ、、、」
「いやいや、明らかにヤバそうじゃん!」
「もしかして、覚醒の反動か?」
「そうだな、はぁはぁ、我もあれほどの魔力を吸収したのは久しぶりだったからな、はぁはぁ、あるいは、、、」
「あるいは?何か心当たりがあるのか?」
「いや何でもない」
「うーん、どうする?アレスはこのまま一緒に行けそう?」
「幸いこの城にキオンはいない事だし、城の制圧くらいなら俺達4人でもできるだろ、アレスは外で休んでな」
「そうか、それもそうだな、、、分かった、我は外で待っているぞ」
お留守番することに決めたアレスは、早速地面に座り込み、体に溜まった魔力をゆっくりと排出していった
「えぇー、アンタだけずるい!それなら私も、、、」
「ダメだぞ、スティアは俺達と一緒に行くんだ」
「ちぇっ」
アレスと別れた4人は、城の正面にある大きな門へと向かった
キオンの城
プリズン山脈の奥深くに聳え立つ立派な城
造りはヴェルンドの町の建築物と酷似しており、黒い石で作られた堅牢な城となっている。
城の壁や屋根などにはトゲのようなものが付けられており、先端の丸さから攻撃用ではなく、明らかに装飾品という事が分かる。また、城の至る所から鎖が垂れているが、これもトラップなどではなく、単なる飾りである。
この装飾はキオンの要望により後付けされたもので、キオンが十災魔神に抜擢され自分の城を任された時、任されたこの城が何の装飾もない地味な城だった為、それをつまらなく思ったキオンが、十災魔神になって初めての指令「この城を豪華にしろ」を発令し、与えられた部下と共に初の共同作戦「黒城ワイルド化計画」を実行した結果、今の見た目になった。
城の棘などの装飾をよく見てみると、実は均等な配置ではなく、少しズレていたり、棘が木で代用されていたりする。それは、建築や装飾について全くの素人であったキオンやその部下達が、数ヶ月を掛けて必死に飾り付けをした頑張りの証なのである




