防衛戦戦ホルス
ホルスが担当していた相手は、一度目の襲撃時にウィンディと戦っていた剣士だった。
「キン!!」
「カキン!!」
その剣士は俊敏な動きでホルスを翻弄し、隙ができたらそこを突くという、ホルスのよく知る人物に似た戦術を使ってきたのだった。
「なんだ?構え方から何まで、まるでウィンディじゃないか」
「、、、」
その男の鮮やかな剣術と動き、そして風魔法を使った戦い方は、まさにウィンディそのものだった。ただ、その戦い方は、攻撃に反応さえできれば、ホルスにとって苦となるものではなかった。
「フンッ!」
「カキーン」
その男の攻撃は、ウィンディ同様素早さを重視し力を捨てたものばかりとなっており、力の強いホルスなら簡単に防ぐ事ができるものばかりとなっていた。逆に、ホルスの力強い攻撃を防ぐ事ができない男は、攻撃を防御するたびに大きく後ろに押し出されていた。
「相手が悪かったな」
「、、、」
どんどんと男を押していくホルスは、男が押し出されまいと踏ん張り身動きが取れなくなった隙に、大きく槍を振り下ろしたのだった。
「オラっ!!」
ホルスはトドメを刺さぬよう、男の直接で寸止めしようと思ったが、その心配は必要なかった。
「、、、遅い」
なんと、絶対に動き出せないであろう体制になっていた男は、いつの間にかホルスの後ろに移動していたのだった。
「なっ、、、」
ホルスは急いで防御の姿勢を取ろうとしたが、それより先に男の剣が動いたのだった。
「ペチン」
男は剣の平でホルスのうなじを叩いたのだった。そして、一瞬の出来事に混乱するホルスに対し、男は諭すように話し始めたのだった。
「危なかったなケンタウロスよ、私が手を抜いておらねば、今頃首が飛んでいた」
その男の声は、戦い方に似合わぬ老人の声だった。
「、、、そうだな、油断した」
屈辱を受けたホルスは、武器を構え直して、再び男と対峙した。
「そんじゃ、次は本気で行くぞ」
「いつでも来るといい、お主に指導してやろう」
槍を構えたホルスは腕に力を込め、ありったけの速度で攻撃を開始したのだった。流石にこの攻撃は受け止めきれないと悟った男は、ホルスの攻撃を避けながら、ホルスの背後や懐を狙ってきたのだった。
「オラっ!!」
縦横無尽に男を攻めるホルスは、先程のように男をどんどんと追い詰めていった。しかし、槍を振るっていた一瞬の隙を突かれ、槍を男の剣によって弾き飛ばされてしまった。
「二勝だ」
「くっ、、、」
ホルスは急いで槍を取りに向かったが、その間に男が攻撃してくる様子はなかった。その事から、男に敵意がない事を感じたホルスは、槍を構えながら対話を試みたのだった。
「なぜ俺の首を取らないんだ」
「懸賞首以外の首など、何の価値もない」
「、、、」
「それと、、、お主は戦い方が下手だから、つい指導したくなってしまうのかもしれないな」
「指導、、、お前と俺じゃあ、戦い方は全然違うはずだが」
「先程、お主は言っていたな、相手が悪かったなと。確かに私のような戦い方は重戦士系を苦手とするが、苦手とは克服するものなのだ」
「、、、」
「私は苦手を克服する為、重戦士本人よりも重戦士という職に詳しくなった。ただそれだけの事だ」
「、、、そうか」
「そして、それはお主も同じ。お主は武器の扱いが雑で、隙が多く見られる。このままでは、仲間を守るどころか、自身を守る事も出来ぬぞ」
「、、、何でそんな事を敵である俺に教えるんだ」
「さぁ、なぜだろうか」
「、、、じゃあ、戦闘を再開する前に一つ、お前は、ウィンディと何か関係があるのか?戦い方も構え方も、お前そっくりだ」
「本当にそっくりか?」
「、、、力と速度は少し劣ってるか?あと、剣で武器を弾き飛ばす技も見た事ないな」
「それ以外はどうだ」
「、、、多分違いはないな」
「そうか、、、」
そう言うと、男は再び剣を構えたのだった。
「ケンタウロスよ、指導の続きといこうではないか」
「良いぞ。指導というからには、お前から言われた弱点を克服してやる!」
そうして、ホルスと仮面の男による戦いが再開したのだった。




