いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!
スティアとアレスの争いに巻き込まれづづけた3人は、獣人の国まで目前の頃にはへとへとに疲れきっていた。その様子を、遠くの岩陰から二人の猫の獣人がこっそりと覗いていた
「ねぇねぇ、あれ見て」
「おっ、いい感じに疲れてそうにゃね!」
「けど、前の二人は天使と悪魔ね、あの二人は少し邪魔かも、、、」
「あの二人、、、なんか言い合ってにゃいか?」
「そうね、、、ならこうしましょう!」
二人の獣人は作戦を話し合った後、作戦実行する為にラオトら5人へこっそりと近づいていった。その頃、ラオトのパーティーでは、未だにスティアとアレスの口争いが続いていた
「どうだ!我の話の方が怖いだろう」
「いいや!私の話の方が怖いね」
「ふふふ二人共?どどどどっちも怖かったらら!もう怖い話はおしまいにしててて!」
ウィンディは二人の話がよほど怖かったのか、体が小刻みに震えており、その様子で怪談話をする二人へ弱々しく呟いた。
「へぇ、ウィンディって怖いの苦手なんだな」
「ま、まぁね」
ウィンディがそう言った直後、岩陰から急に魔獣が飛び出してきた。
「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
スティアとアレスの怪談話により弱まっていたウィンディの精神は、いきなり目の前へ飛び出した魔獣によってトドメを刺されてしまった。ウィンディは口を大きく開けながら気を失い、その場に倒れてしまった。
「おいウィンディ!」
ラオトとホルスは急いで倒れたウィンディへ近づいた。
「、、、気を失っているだけだな」
その後、魔獣を瞬殺したスティアとアレスもウィンディの元へ寄ってきた。
「ふむ、我の話が怖すぎたようだな」
「いーや、私の話のせいだね!」
「そうだぞ堕天使、もっと周りに配慮するのだ!」
「はぁ!?」
「スティア、ウィンディを起こすことはできるか?」
「うーん、私が回復できるのは傷や状態異常だけだからぁ、精神はどうにもできないね」
「そうか、それじゃあこの気絶したウィンディをどうしよう、ホルスは、、、水を持っているし待てないよな、スティアとアレスはどうだ?」
「ウィンディを運んでやりたいのは山々なのだが、我とこの堕天使は実体を持っていないからな、力添えはできない」
「そうか、、、それじゃあ俺が運ぶしかないか」
ラオトはウィンディをおんぶしようと試みてみたが、あまりの重さに失敗してしまった。
「はぁ、はぁ、この鎧重すぎだろ!」
「ふむ、ウィンディには悪いが、一旦鎧をバラし、鎧の一部をホルスに持ってもらうのはどうだろうか」
「うーん、勝手にやって大丈夫かなぁ?」
その時、獣人の国へ向かう道から一人の獣人が歩いてきた。その獣人は倒れているウィンディを見ると一瞬立ち止まったが、すぐにもう一度歩き出し、5人へ近づいてきた。
「君達、何かお困りかにゃ?」
その獣人は猫耳と尻尾を生やし、美しい茶色の髪の毛と褐色肌、そして盗賊のような軽装の服が特徴的だった。
「すげぇ、猫の獣人だ!」
「にゃ?猫の獣人なんて、どこにもいるにゃよ」
「そうなのか、すまない俺は初めて見たもんで、それより何か用か?」
「君達どうやら困っている様子にゃね、それならうちが手伝ってあげるにゃ!」
「本当か!それじゃあ俺と一緒にこの人を持ってくれないか?」
「お安いご用意にゃ!」
ラオトと猫の獣人は息を合わせ、ウィンディを持ち上げた。
「よし、これで動ける!ありがとうな!」
「お礼なんていらないにゃ、それよりも行き先はどこにゃ?」
「獣人の国だ」
「獣人の国、、、分かったにゃ」
そう言うと、猫の獣人は一度ウィンディを下ろし、深くフードを被ってからもう一度ウィンディを持ち上げた。
「よし、これでいいにゃ、それじゃあ出発にゃー!」
ラオトと猫の獣人は一緒にウィンディを持ちながら獣人の国へ向かって歩き出した。それからしばらくし、獣人の国の門の前へたどり着くと、そこにはアクシスギルドのマークが入った鎧を着た兵士が立っていた。
「あれ、あの人は」
「知り合いかにゃ?」
「あぁ、おそらく俺達を待っているんだと思う」
「ふーん」
猫の獣人は表情が一瞬暗くなったが、フードをかぶっていた事もあり、その事は他の誰にも気づかれなかった。その頃、ラオト達に気づいたのか、門の前に立つ兵士が小走りでラオト達へと近づいてきた。
「待ってたぜ、アンタがラオトだな」
「あぁ、そうだ」
「俺はオディだ、メンターさんから話は聞いていたぜ、それよりその騎士がウィンディだな、一体どうしたんだ?」
「あぁ、ちょっと色々あってな、どこか休める場所とか無いかな」
「分かった、アクシスギルドの宿営地へ案内する、ついてこい」
「分かった」
ラオト達が兵士について行こうとすると、猫の獣人が足を止め、ラオトに声をかけた。
「待ってにゃ!」
「どうしたんだ?」
「うちはこれからちょっと用事があるにゃ!だから手伝えるのはここまでにゃ!」
「そうか、、、分かった、ここまでありがとうな」
「ラオトよ、せっかくここまで手伝ってもらったんだ、少しばかりお礼をあげてもいいんじゃないか」
「おっ、そうだな」
「お礼にゃ!?」
猫の獣人はその言葉に目を輝かせながら、ラオトの目を見つめた。
「けどアンタ急いでいるんだろ、俺達も急がなくちゃいけないし、あとでどこかに合流しないか?」
「、、、そうにゃね、それじゃあ暇な時にここに来てにゃ!」
猫の獣人はポケットから獣人の国の地図を取り出し、とある場所を指差した。
「分かった、ここに行けば良いんだな?」
「そうにゃ!うちは暇人だから、いつでもここで待ってるにゃ!それじゃあにゃー!」
そう言い、猫の獣人は獣人の国とは反対の方角へ走り去って行った。
「、、、まぁいいだろう」
走り去っていく猫の獣人を見ながら、アレスは誰にも聞こえないような小さな声で呟いた。
「そんじゃあ、あの獣人の代わりは俺がやろう」
オディは猫の獣人の代わりにラオトと共にウィンディを持ち上げ、4人をアクシスギルドの宿営地へ案内した。
獣人の国
様々な獣人族の街が合体した連合国、領土が非常に広く、この世界の国や街の中でもダントツで広い。その広い領土には様々な環境があり、東の首都の近くは砂漠、北は魔水晶の産地、南はジャングル、西は海、となっており、それぞれの特徴を生かした産業が豊富に行われている、しかし、複数の種族によって構成されているせいか、度々異種族間で衝突が起きている。
近くに存在する魚人族の国は勿論、少し離れた位置に存在する鳥人族の国ともガデニダリア関係で仲がいい。また、様々な歴史に関与してきた国であるため、他の国や町からの印象は良いか悪いでハッキリと分かれており、曖昧な関係の国や町は少ない。




