醜い競い合い
悪魔も仲間に入れる事にしたラオトは、悪魔と共に、洞窟の外で待つ3人の元へ合流した。
「みんなお待たせ」
「よし、それじゃあ出発しよ!その悪魔をおいてね」
「その事なんだけど」
「いや〜思い返してみたらその悪魔とは色々あったねぇ、けど今日でお別れかぁ寂しくなるねぇ」
天使はそんな事思ってない事が丸わかりの、バレバレな演技で悲しむフリをした。
「でもしょうがないよね、私はアンタと違って人気者だから「お願いします!私達のパーティーに入って下さい!」ってお誘いされちゃったからね!」
「え?そんなこと言って、、、」
ラオトは天使の捏造を指摘しようとしたが、それに気づいた天使が、ラオトの会話に急いで割り込んだ。
「ともかく!私はこの3人について行かなくちゃいけなくなったから、アンタとはおさらばだね!」
そう言うと、天使は獣人の国の方向へ歩き出した。
「寂しいけどここでお別れだね、じゃあね!二度と会うことはないと思うけど!」
天使は上機嫌な様子で歩き始めた。しかし、そんな天使に悪魔が声をかけた。
「ほう、我と別れるのがそんなに寂しいのか、だが安心しろ、この少年の許可をもらい我もついて行く事になったのだ」
「ほら、3人とも早く、、、え?」
さっさと進もうとしていた天使は足を止め、後ろの悪魔の方へと振り向いた。
「、、、今なんて言った?」
「嬉しさのあまりもう一度聞きたくなったか?いいだろう、もう一度言ってろう、我もお前達について行くのだ」
その言葉をもう一度しっかりと聞いた天使は、みるみるうちに汗をかいていき、とても焦っている様子だった。
「えっ冗談でしょ?ねぇ君、この悪魔はついてこないよね?よね!」
天使は助けを求めるようにラオトの方へ近づいた。
「あー、なんかこの悪魔もお前がいなくなって暇そうだったから、せっかくなら俺達の戦力になってもらおうかなって」
「という訳だ!皆の者、今後とも宜しく頼む」
「、、、」
ラオトが決めてしまった事は新米の自分には拒否できない事を悟った天使は、なくなく悪魔を置いていくのを諦め、非常に不服そうな表情で、悪魔を睨みつけていた。
「俺が勝手に決めちゃったんだけど、みんなはいいか?」
「俺は良いぜ」
「私も、これからよろしくね」
「あぁ、よろしくたのむぞ」
「えっと、天使はどうだ?」
ラオトは、恐ろしい表情で悪魔を睨みつける天使に、恐る恐る声をかけた。
「、、、フンいいわ、これから先の旅路であの悪魔がいかに無能か、みんなに見せつけてやる!」
「はっ、我を妨害する事に専念しすぎて、かえって自分の醜態を晒す事に期待しているよ」
「(これから先、騒がしくなりそうだな、、、)」
3人はそんな事を思いつつも、新たに加わった悪魔と天使と共に旅を再開した。
「そういえばまだ名前を教えてもらってなかったな」
「名前か、確かに悪魔と呼ばれるのは些か分かりずらいな、それでは我から、我の名は」
「私の名前はスティアって言うよ!戦闘もサポートも任せてね!」
悪魔が自己紹介しようとした所に、すかさず天使が割り込み、急いで自分の自己紹介を始めた。スティアが自己紹介を終えると、ようやく悪魔が自己紹介を始めた。
「、、、我の名はアレス、そこの堕天使のように治療は出来ないが、戦闘面は我に任せたまえ」
「俺の名はラオト、二人ともよろしくな」
「私はウィンディ、よろしくね」
「俺はホルス、いくらでもこき使ってくれ」
全員の自己紹介が終わったところで、ラオトは早速、気になっていた事をスティアとアレスに尋ねた。
「そういえば、二人って何であの洞窟にいたんだ?」
「我は洞窟で堕天使と戦う前は色々なところを旅する旅人をしていたのだが、ここらを通りかかった際に、そこの堕天使と出会ってな、我に構って欲しかったのか、急に攻撃を仕掛けられたものだから、少し遊んでいこうと思ってな」
「なるほどな、、、ところで、なんでアレスはスティアを堕天使って呼んでるんだ?」
「それは知らなくて良いよ!!」
スティアは、急いでラオトとアレスの会話を止めようとしたが、その静止を振り切り、アレスはベラベラとスティアの秘密を話し始めた。
「この堕天使はな、どうやら自分の怠惰が原因で天使の国から追放されたらしい、その事の哀れみを理由に、我に手加減を求めてきたのだが、我は大爆笑で返してやったのだ」
「へ、へぇー、だから堕天使って言ってるんだ」
「そうだとも、国から追放された惨めな天使に相応しい名だろう」
聞いてはいけない事を聞いてしまったような気がしたラオト達3人は、スティアを哀れな小動物を見るような目で見つめた。
「な、何よ!私だって色々あったのよ!だから、そんな哀れむような視線で見ないで!」
その時、岩陰から数体の魔獣が飛び出してきた。
「お、ちょうど良いわね!みんなに私の実力を見せてあげる!」
スティアが魔獣に背を向け、意気揚々と3人に宣伝した後、ようやく魔獣を討伐しようと振り向くと、すでにその魔獣は胴体を撃ち抜かれ、動かなくなっていた。その事に気がついたスティアは、真っ先にアレスの方を見た。
「ちょっと!私が倒そうとしていたのに、何するのよ!」
「おっと失礼、魔獣に背を向け逃げようとしているのかと思っていたよ」
「くっ、、、」
その後もスティアとアレスの醜い争いは続いた。どちらの方が多く敵を倒せるかを競う為に、あえて魔獣の群れを呼び寄せたり、どちらの方が役に立つかを競う為にスティアとアレスの武勇伝合戦が始まったり、どちらの方が時間を守れるかを競う為にスティアとアレスがどこか遠くへ行き、時間になったら大量の戦利品を持って3人の元へ帰ってきたり、どちらの方がじゃんけんが強いかを競う為に、宿の中で他の冒険者も巻き込んでじゃんけん大会を開いたり、この他にも色々な事で競い続け、獣人の国の目前までたどり着いた頃には3人はへとへとになっていた。
「よし!どちらの方が怖い話ができるかは私の勝ちね」
「なんだと、我の話の方が怖かったではないか!」
「(この二人を仲間に入れたのは間違いだったかもしれない)」
洞窟での戦い
スティアとアレスは200年ほど洞窟の中で戦い続けており、洞窟の外へ出たのは200年ぶりである、二人が戦い始めた時は辺りは草の生い茂る山であったが、二人の戦闘の衝撃を食らった結果、山は崩れ、草木も枯れ、岩と砂しか残っていない不毛の地になってしまった、その事に二人は薄々気づいている




