騒がしい洞窟
3人がスクアドラを出発してから数日がたった頃、辺りを見渡すと青々と生い茂っていた草や木の姿は無く、代わりに砂や大きな岩の景色が広がり始めた
「この景色、まさに冒険してるって感じだな」
「そうだね、けどこの岩山の景色はすぐ終わっちゃうけどね」
「なぁ、せっかくなら少しだけ寄り道して行かないか、この辺りなら土の魔水晶がありそうだ」
「いいね!」
「土の魔水晶?」
「あぁ、ちょっと待ってろ」
ホルスは辺りの岩山を見て周り、一つの洞窟の前で立ち止まった
「どうしたんだホルス?」
「、、、この洞窟から音がする」
「え?」
ラオトとウィンディはよく耳を澄まして洞窟内の音を聞いてみた、すると中から「ドカン!」という音が微かに聞こえた
「確かに何か音がするな」
「誰かが採掘でもしているのかな?」
「それなら丁度いい、少し分けてもらえないか交渉しよう」
3人は少し寄り道をして洞窟の中へ入っていった、洞窟の中は真っ暗だったがホルスの魔法で灯りをつけ前へ進むことができた、そして前へ進むにつれて音はどんどん大きくなっていった
「うーん、この音って採掘の音ってよりも、、、」
「誰かが戦っているような音だね、、、」
「どうする、引き返すか?」
「いや、魔獣に襲われているかもしれない、それなら助けてあげよう」
3人はどんどん大きくなる音に少し怯えながらも洞窟の奥へ進んでいった、音がすぐ目の正体がすぐ目前に迫っている時、3人は大きな広場へ出た、そこは洞窟内にも関わらず非常に明るかった、そしてその広場内には激しく戦う二人の姿があった
「、、、何だあれ」
「うーん、見た感じ天使と悪魔っぽいね」
「へぇ、あれが天使と悪魔なのか」
天使と言われている者の容姿は人間の女性とほぼ変わらず、体が神々しく光っており広場を明るく照らしていた、そして羽もなしに空に浮遊しながら、悪魔に攻撃を繰り返していた、そして悪魔と言われている者の容姿は人間の男性とほぼ変わらず、体が禍々しく光り、洞窟内を薄暗く照らしていた、天使と同じく空に浮いており、天使に攻撃を繰り返していた
「凄い戦っているけど、あの二人どうするんだ」
「天使と悪魔の争いなんて日常茶飯だからね、放っておいても問題ないんじゃない?」
「この洞窟には魔水晶は無さそうだし、引き返すか」
こうして、3人が洞窟の入り口に戻ろうとした時、天使が放った光弾の一つがラオト目掛けて飛んできた
「危ない!」
「え?」
ウィンディが間一髪の所でシールドを張りラオトへの直撃は防げたが、光弾の勢いによってラオトとウィンディは吹き飛ばされてしまった
「おい、二人とも大丈夫か!」
「あ、あぁ、俺は大丈夫だ」
「私も大丈夫」
その時、ようやく3人に気がついた天使と悪魔が戦闘をやめ、3人の前へ降りてきた
「おやおや冒険者が居たのか、この堕天使の討伐に夢中で気が付かなかったよ、ほら堕天使、さっさとこの3人に謝るんだ」
それを聞いた天使は、美しい顔を歪ませながら大声で悪魔に言い返した
「はぁ?そもそもアンタがこの冒険者達の方へ行かなければ私が冒険者達の方へ攻撃する事も無かったでしょ!」
そう言うと、天使はラオトの目の前に行き、子犬のようにうるうるとした目でラオトへ訴えかけてきた
「ね、悪いのはあの悪魔だよね、君なら分かってくれるよね」
先ほどの荒々しい口調とは裏腹に、女神のような優しい声で話しかけてきた天使に対しラオトは困惑した
「えっと、、、」
「少年よ惑わされてはならないぞ、その堕天使は見た目こそ天使だが中身は悪魔よりも腹黒いのだ」
「はぁうるさいなぁ、悪魔の言う事に耳を貸しちゃダメだよ!」
そう言い、天使は吹き飛ばされた衝撃で出来た二人の傷をいとも簡単に治した
「はいどうぞ、あの悪魔は見ているだけだったけど、私は君達二人の傷を治してあげたからね」
「貴様、さてはそれを狙ってあえて少年に攻撃をしたな」
「そんなわけ無いでしょ!天使である私が人を傷つけるわけ無いじゃん」
「(この天使の性格ならそれもあり得るな)」
「君、今失礼な事考えたでしょ」
「え?」
「まぁいいや、それより君達冒険者でしょ、どこに向かっているの?」
「えっと、獣人の国だけど」
「へぇ、変わった所に行くね、それなら私も連れて行ってよ」
「え?」
「え?」
「え?」
天使の唐突な提案に3人は困惑した
「だ、か、ら、私が君達について行って手助けしてあげる、この悪魔と遊ぶのも飽きたし、どっか旅したいと思ってたんだ」
「ほう、我が手加減してやったというのに、その事も知らずに飽きたと言うとは、何とも自分勝手な堕天使だ」
「はぁ?それはこっちのセリフなんですけど、私が本気を出したらアンタなんて瞬殺だったね」
「偉そうな口を叩くではないか、何の功績も挙げずについに天使の国から追い出された、哀れな堕天使よ」
「それはアンタも一緒でしょ!」
また天使と悪魔が言い争いを始めてしまった、その隙に3人は、付いてくるらしい天使について話し合いをした
「あの天使、どう思う?」
「うーん、協力してくれるならありがたいけど、何をするか分からないね」
「まぁな、けどヒーラーがいるのはこの先心強いな」
「そうだね、それに戦闘も結構出来そうだし、連れて行く?」
「いいよ」
「いいぞ」
貴重なヒーラーとして天使を連れて行くことに決めた3人は、未だに言い争いを続けている天使と悪魔の所へ行った
「おーい、ちょっといいか」
その声に気づいた二人は言い争いをやめた
「何?今この悪魔を完膚なきまで論破していた所だったんだけど」
「論破されていたのは貴様の方ではないか!」
「うるさいよ悪魔君、負けて悔しいからって話を遮らないでね、それで何?」
「あぁ、アンタも一緒について来て良いことになったぞ」
「本当に?やったー!」
天使は目を輝かせながら辺りを跳ね回った
「それじゃあさっそく行こう!」
天使はウキウキで洞窟の入り口に向かって行った、天使が居なくなった影響で洞窟内が一気に暗くなった
「行っちゃった、私達も行こう」
ホルスとウィンディが天使の後を追いかけ洞窟の入り口へ走って行き、二人について行こうとした時、ふと悪魔に呼び止められた
「少し待ちたまえ」
「何だ、なんかあるのか?」
「あの堕天使、確かに優秀だが、あの性格から何をやらかすのか分かったものではないな」
「そうだな、けど今はとにかく戦力が欲しいからな」
「そうか、なら我も連れて行ってはくれないか」
「え?」
「あの堕天使が暴れないように抑えておく、いわば見守り役になってやろう、それに戦力が欲しいのだろう」
「まぁそうだな」
「それなら尚更我を連れて行くと良い、我々悪魔は天使のように器用貧乏ではなく、戦闘に特化しているからな」
「、、、本当は暇なだけなんじゃないか」
「それも理由の一つだな」
「分かったよ、これから結構戦うことになるけど、ちゃんと活躍してくれよな」
「もちろんだとも、我の力を思う存分発揮してやろう」
悪魔を連れて行く事にしたラオトは、悪魔と一緒に洞窟の入り口へ向かった
属性魔水晶
普通の魔水晶と違い、自分の得意属性の魔水晶でないと使うことができない魔水晶、使える者は限られているがその代わりに通常の魔水晶よりもより多くの魔力を補充できる。属性魔水晶はその属性に応じた場所にしか生成されない為、一部の国では独自の貿易品として扱われている




