きりもみ式火起こし
エピソード12にて、ようやくこの作品の題名にもなっている科学要素(摩擦熱)を一つ出す事が出来ました、遅くなってしまいすみません、一通りの世界観の説明などは終わったので、これからは戦闘や様々な出来事中心で物語を進めていこうと思います(新しい物事などが出てきた際は物語内で解説パートがあるかも)
「科学の知識で異世界旅」を今後ともよろしくお願いします!
「野宿かぁ」
ウィンディが嫌そうにため息をついている
「よし、そうと決まったらまずは焚き火だな」
そう言い、ホルスが近くに転がっている木の枝や枯れ葉を集め始めた
(焚き火かぁ、焚き火といったら火起こしだよな、こう見えても俺、一回きりもみ式の火起こしをやった事があるんだ、今こそその経験を活かすチャンスだな)
ホルスが集めた枝と枯れ葉を一箇所にまとめた時、ラオトが自信満々に話し始めた
「2人とも、この火起こし俺がやっても良いか?」
それを聞いたホルスは思わず動作を止め、落ち込んでいたウィンディも思わず顔を上げた
「ラオト、火属性の魔法使えるの?」
「いいや、魔法は使わずに、きりもみ式火起こしをするんだ」
「きりもみ式?」
聞いた事の無い単語にウィンディとホルスは困惑した
「まぁ見てなって」
そう言い、ラオトはちょうど良さそうな木の枝と木の板を使い、火起こしを始めた、突然木の枝を木の板に立て擦り始めたラオトに2人は困惑したが、ラオトの真剣な眼差しを信じ、静かに見守った
「、、、」
「、、、」
「、、、」
月明かりに照らされた静かな草原に、ラオトが必死に
木を擦る「キュッキュッ」という音が響いた
ラオトが火起こしを始めてから数分後、流石に疲れたラオトが少し休憩をしながら2人にお願いした
「ごめんな2人とも、あともうちょっとだけやらせてくれないか」
「えぇ、勿論良いよ、頑張って!」
「せっかくラオトが頑張ってるからな、最後までやりきっちまえ」
2人の応援を受け、ラオトはもう一度火起こしを始めた、応援のおかげか、たまっていた疲れが飛び、さっきよりも力の入った火起こしが出来ている、それから数分後、、、
「あっ見て!」
ウィンディが興奮した様子で板を指差す、そこには、非常に小さいが、暗闇の中では充分分かるほどの赤く光る火種ができていた
「よし、ラストスパート!」
ラオトはより一層速度を速めた、そして、、、
「よし!もういいな」
そう言い、ラオトは火種の灯った板を慎重に運んだ、そして、ホルスに用意させていた、落ち葉をちぎり細かい紙吹雪のようになった落ち葉の中にそっと火種を入れた、2人が息を呑み見守る中、ラオトはそっと火種に息を吹きかけた
「フー、フー」
段々と火種が大きくなり始め、ついに立派な焚き火が出来上がった
「ラオトお疲れ様〜」
疲れてへとへとになったラオトに2人が近づく
「凄いな、まさか本当に魔法を使わずに火を起こすとは、、、」
「本当だよ!ラオトどうやって火を起こしたの?」
残っていた最後の気力を使い、ラオトは質問に答えた
「木を擦り続ける事で発生する摩擦熱ってやつを使ってるんだよ」
「摩擦熱?ホルス知ってる?」
「いや、聞いた事がないな」
「え、そうなのか?じゃあどうやって火を起こすんだ?」
「火を起こすのは俺達ケンタウロスの役目なんだ、ケンタウロス族は火属性使いが多いし、基本どこの冒険者パーティーにもいるからな」
「そうなのか、それじゃあホルスも?」
「ああ、このパーティーじゃ、俺が火を起こす役になるな」
「そうなのか、、、」
ラオトはホルスなら簡単に火を起こせると知り、無駄に疲れただけだと思い落ち込んだ
「けど、今回はラオトが火を起こして良かったんじゃないか、凄いもんが見れたしな」
それにウィンディも賛同した
「そうね、まさかが魔法を使わずに火を起こせるなんて、良い思い出になったね」
「、、、そうか」
2人の言葉を聞きラオトはもう一度考え直した、確かに火起こしは大変だったかもしれない、けどウィンディの言う通り、良い思い出になったかもしれない
「よし、火はラオトが起こしてくれたし、ホルスと私は食料集めに行きましょう」
「おう、そうだな」
「俺は行かなくても良いのか?」
それを聞いたホルスは呆れた顔をした
「全く、ラオトは必死に火を起こしてくれたじゃないか、今度は何もしてない俺達の出番さ」
「そうそう、明日まで疲れが溜まっていたら大変だから、ラオトはしっかりと休んでね」
そう言い、ホルスとウィンディはそれぞれ別の方向へ歩いて行った、それから数分が経ち、火起こしの疲れが取れ始めた頃、2人が色々と持って帰ってきた
「ふー、ただいま!」
「やっぱ、火があると集合場所が分かりやすくていいな、少し遠出しちまったぜ」
そう言い、2人は成果物を発表し始めた
「まずは、私からね、食べられる野草数枚、甘い木の実3個、それと道に落ちてた1カウリィ!」
「次は俺だな、俺は少し離れた川へ行ってきた、そこの川の魚4匹、水を少し、それとこれだ」
そう言いホルスは後ろに隠していたあるものを取り出した、それはオレンジ色の液体が入った瓶だった
「帰り道に見つけたんだ、誰か飲んでみるか?」
そう言い、ホルスは瓶の蓋を開けた、その途端、強烈な匂いが辺りに充満した
「ちょちょ、ホルス!その瓶の蓋閉めて!」
そう言われ、ホルスは瓶の蓋を閉めた
「ふー、凄い匂いだね、流石にこれは飲めないんじゃない?」
「そうだな、それじゃあこいつは、」
「待って!」
ホルスが瓶を火に投げ入れようとした時、ラオトが大きな声で叫んだ
「何だラオト、もしかして、これを飲みたいのか?」
「いや、そう言うわけじゃないんだけど、俺、その液体の使い方が分かるかもしれない、嗅いだ事のある匂いがしたんだ」
「何だ、こいつにはちゃんと使い方があるんだな」
「あぁ、いつか使えるかもしれないから取っておいてくれないか」
「分かった」
そう言い、ホルスは瓶を自分の前掛けバックにしまった
「ラオト、凄い博識だね」
「いや、嗅いだ事のある匂いだったから気づいただけだよ」
「匂いねぇ、確かに強烈な匂いだったから一回嗅げば忘れないね」
そうして瓶騒動も終わり、3人はようやく食事の準備を始めた、魚を枝に刺し火で炙り、風魔法を使い木の実を切ったり、ホルスの出した赤いシールドを鍋代わりに使い、水と一匹の魚と野草を入れたスープを作った、そして出来上がった品々をシールドで出来たお皿に盛り付け、野宿とは思えないほど豪華なごちそうが出来上がった
「いただきます!」
そう言い、脂の乗ったジューシーな魚、魚のダシが聞いた野草のスープ、そしてデザートの木の実を3人は味を噛み締めながら堪能した。
そして食事が終わり、ウィンディが恐れていた就寝の時間になった
「はぁ、楽しい時間もあっという間だったね、、、」
「なぁ、何でウィンディはそんなに落ち込んでいるんだ?」
「ははは、、、寝てからのお楽しみよ」
そう言い、ウィンディは怯えながらも眠りについた
「それじゃあ、俺も寝るな、見張り頼んだぞホルス」
「おう、俺に任せてゆっくり寝るといい、まぁおそらく起こされちまうと思うけどな」
「起こされる?どういう事だ?」
「それは後でのお楽しみだ」
ラオトは疑問に思いつつも、色々な疲れから直ぐに寝てしまった、そうして残されたのは、火の灯りを頼りに持ってきた本を読むホルスだけとなった
魔人
人類と獣人族の和平を受け入れなかった獣人族の総称、人類と戦っていた時から凶暴な性格により、平和的な考えを持つ獣人族(和平を結んだ方)と度々仲間割れをしていたが、平和な考えの獣人族が和平を結んだことによりついに耐えきれなくなり、凶暴な獣人族を数多く集め、一番力の強かった獣人を魔王とし、「魔王軍」として獣人族から独立した。
獣人族と魔人族は非常に仲が悪く、魔王軍は因縁の相手である人間と元仲間であったはずの獣人族を敵認定している、しかし例外もありガデニダリアに関しては魔王軍もたまに利用しており、敵認定から外されている




