パスワードを入力してください
目の前に置かれた物体の金属質な冷たさ、ピカピカと光る光沢、そしてモニターに映し出された文字や数値を見て、ラオトは懐かしい感覚と共に、この世界に機械があって嬉しいような、ファンタジーな雰囲気が崩れて嫌なような、なんとも言えない感情になっていた。そんなラオトの横では、他の4人が物珍しそうに目の前の機械を観察していた。
「なにこれ?何かの魔道具?けど、こんな変な形の魔道具なんて見た事ないね」
「けど、コイツの中にも魔力が通ってる感じするし、ただの飾りって訳じゃなさそうだよな」
ホルスの言う通り、ラオトもこの機械らしき物体の内側から微かな魔力を感じ取っていた。この世界には電気が普及していない為、恐らく魔力が代わりのエネルギーとなっているのだろう。ラオトが機械の表面に取り付けられたモニターを見てみると、そこには「濃度90% 動作良好」と書かれており、この機械は今も起動していると分かった。そしてその下を見てみると、「利用するには パスワードを入力してください」と表示されていた。
「パスワード、、、本当にあっちの世界の機械みたいじゃないか」
「ラオト、なんか言った?」
「いや、何でもない」
「ここに書かれてるパスワードってなんだろう?」
ラオトもこの世界に来てから長くなる為、この世界にパスワードという単語が存在しない事は分かっていた。実際、今この場にいる4人もパスワードという単語にピンときていない様子だった。しかし、この機械にはパスワードという単語が使われている、この事から、やはり魔王軍はあちらの世界の技術を狙っている、あるいは既に取得しているのだろう。
「パスワードは、、、この魔道具を使えるようにする合言葉みたいなものだな」
「へぇ、よく知ってるね!」
「まぁな」
「合言葉か、、、なにか手掛かりになりそうな物とか見つけなかったか?」
ホルスの問いかけに、その場にいた全員は首を横に振ることしか出来なかった。
「うーん、時間ならあるし、思いつく合言葉を総当たりするとか?」
「おぉ!それいいですな!私も何個か候補を考えましたぞ!」
「総当たりか、、、まぁ面白そうだし、やってみるか!」
こうして、ラオト達5人による、半分お遊びの合言葉の総当たりが始まった。




