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リンドブルム☆アイズ  作者: 粟吹一夢
Episodeー02 ヴァルキュリアの嘆き
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Scene:10 イリアスの墓前にて(2)

 これからヘグニ本星への制圧を掛けるためには、ヘグニ族の生態をもっと詳しく調査をする必要があるとの理由で、二,三体の大人のめすと子供、卵を連れ出した後、ニズヘッグⅦのヘグニ族の基地は焼夷しょうい爆弾で焼き払われた。

 一方、ヘグニ戦線司令部は作戦の練り直しを迫られた。

 ヘグニ族のワープ技術が想像以上に進んでいることを思い知らされ、包囲網をくぐり抜け、ニズヘッグⅦのように既にヘグニの植民地化あるいは基地化されている惑星があるかもしれないということで、近隣のアンモニア系惑星の一斉捜索が行われた。その結果、二つの惑星でヘグニの基地が発見されたことから、増援艦隊が急遽派遣されて、それを壊滅させた。

 そして、いよいよヘグニ本星への上陸作戦が実行され、前線基地の建設に成功した銀河連邦軍は、惑星軍が中心となって、ヘグニ本星の攻略を進めることとなった。一年以内にはヘグニは陥落して、長かったこの戦争も終結する見通しであった。



「ヘグニ制圧戦の主力は惑星軍に移って、アルスヴィッドもヘグニ派遣からの帰還命令を受けたことから、部下達にも休暇を取ってもらおうと思って、自ら率先そっせんして休暇を取ったところさ」

「そうですか。ご苦労様でした」

「今回は、シャミルにもいっぱい助けてもらったのに、お礼も言ってなかったな。ありがとう、シャミル。シャミルがいてくれて本当に助かった」

「私の方こそです。キャミルがヘグニ族を退治してくれたから、その後、ゆっくりとニズヘッグⅦの探査ができましたから」

「ああ、探査の結果はどうだったんだ? どうせ、空振りだったんだろう?」

「へへへ。キャミル、依頼をしたのが俺で、探査をしたのはシャミルだぜ。失敗する訳ないだろう」

 ハシムがさも得意げにキャミルに言ったのを聞いて、シャミルが小悪魔的な微笑みを浮かべながらハシムに言った。

「ハシム殿。そういえば詳細な探査レポートは、まだお渡ししていませんでしたね。慢心まんしんすることなく地道じみちに商売に精を出すと言っていたかたにお渡しする約束だったと思いますが、ハシム商会には、そのようなかたはいらっしゃらないのでしょうか?」

「うっ、…………シャミル。もういじめないでくれ。ちゃんと心を入れ替えるからさ」

 シャミル達は笑いながら、墓の前から駐車場に向かって歩き出した。

「せっかく、みんなそろったんだから、どっかで飯でも食べていくか? 前にシャミルと約束をしたイリアスの郷土料理店なんかどうだ?」

「それは良いですね。そうしましょう」

 キャミルの提案にシャミルも賛成した。

 霊園の通路を歩きながら、ふと思い出したようにキャミルがシャミルに訊いた。

「そういえば、シャミル。『リンドブルムアイズ』の手掛かりは何か見つかったのか?」

「いいえ、全然。まあ気長に探します」

「何だ、『リンドブルムアイズ』って?」

 ハシムが横から口を出してきた。

「シャミルがずっと探しているものだが、どんなものかも分からないらしい」

「そうか。……何か聞き覚えがある言葉だな」

「えっ!」

 シャミルは驚いて立ち止まり、ハシムの顔を見た。

「ハシム殿。いつ、どこで、誰からお聞きになったのですか?」

「いや、…………すまん。思い出せない。しかし、その『リンドブルムアイズ』という言葉は、確かに聞いたことがある。たぶん子供の頃のような気がする」

「シャミルが探し求めているものの名前を、なぜハシムが知っているんだ?」

 キャミルも不思議そうな顔をしてハシムに訊いたが、ハシムも不思議そうな顔をして、首をひねるだけだった。

「ひょっとして、ハシム殿は、私の父上、つまりキャミルのお父上にお会いになったことがあるのですか?」

「いや、キャミルの父親なんて会ったことはない。そもそもキャミル自身、会ったことはないんだろう?」

「ああ」

「でも、キャミルのお父上だと気づかないで会った可能性もありますね。あるいはキャミルのお母上から聞いたか……」

 ハシムは、しばらく腕組みをしながら思案をしていたが、結局は思い出せなかったようだ。

「もし、その『リンドブルムアイズ』というのが、キャミルの父親に関係がある言葉だとしたら、キャミルのお袋さんが話していたことを憶えていたのかもしれないな。俺も小さい頃は、キャミルの家によく遊びに行って、キャミルのお袋さんには世話になったからな」

「シャミル」

 キャミルはシャミルを見つめた。

「ええ、……たぶん、今日はこれ以上のことは分からないでしょう。でも、『リンドブルムアイズ』のことをキャミルのまわりの人達も知っていたことで、父上の血を受け継ぐ者だけが見つけることができるという私の推測すいそくが少し真実味を帯びてきました」

 シャミルはハシムを見つめながら話を続けた。

「ハシム殿。『リンドブルムアイズ』について思い出したことがあったら、どんな小さなことでも良いので、私に教えてください」

「分かった。シャミルには、どんなことでも協力させてもらうさ」

「はい、よろしくお願いします。……『リンドブルムアイズ』、必ず見つけてみせます!」

「そうだな。……きっと見つけられるさ。シャミルなら」

「ピキー!」

「ピキも保証してくれているにゃあ!」

 シャミルとキャミルは思わず顔を合わせて微笑み合った。


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