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レイカノ。~『霊(アレ)』に好かれてから、俺の人生が180度変わった件~  作者: すみ いちろ
第一章 呪霊解きの世界……。『ウィズ ゴースト レインボー』
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『世界』へ……。

──夢葉(ユメハ)視点──




「そうじゃ……。ひとつ、言い忘れておった。その世界にはな、『封印』術を得意とした浄霊師(エクソシスト)たちが封印した『霊』たちが、わんさかおるでの……。心して掛かるように……」



 お爺ちゃんの声が、聴こえる──


 

 白い世界……『巨大画面(オンラインゲーム)』の中のメインメニュー画面。


 『始まりの世界』──



 黒音(クロネ)は、(カエデ)となら何処でも良いみたいだけど……。

 (カエデ)は、やっぱりちょっとビビッてるようだ。

 

 私が、闘気(オーラ)を少し()せただけで、(カエデ)は尻込みしてる。

 こんなで、大丈夫かな?



(10日しか無いのに……)



 私には、焦りに似たような気持ちが、ある。

 時間を無駄にしたくない。


 何処でも良いから、早く闘いたかった。

 「戦略」よりも、戦闘回数じゃないのかなって、想う。

 戦闘回数をこなして闘って行けば、分かるコトだってある。


 たぶん、この世界に放たれた『霊』は、成仏浄霊させ切れなかったクセのある『霊』たち。

 加えて、現実世界(リアル)に、そのまま野放しに出来ないタチの悪い悪質な『霊』。

 そう言ってしまうのも、可哀想な気もするけど……。



 私は──


 とにかく場数を踏んで慣れていくコトが大事だと想う。


 私たちに足りないモノ──それは、圧倒的に『経験値』だ。


 吸血鬼(ヴァンパイア)なピピ郎が、何か言おうとしてるみたいだけど……。


 気にしてる場合じゃない。



「強いヤツの居るところへ……!!」



 私は、その場の空気を壊すようにして叫んだ。

 これには、(カエデ)黒音(クロネ)もピピ郎も、みんな一斉に私の方へと振り向き、目を丸くして驚いていた。



(承知しました──それでは最も『霊気』の強い場所にご案内致します……)



 『巨大画面(オンラインゲーム)』の中の機械みたいな声が、メインメニュー画面である『始まりの世界』──この白い世界に響いた。



(ギュオオォォン……)



 ある一つの切り取られた写真みたいな四角い世界が、私たちの目の前に近づいて来た。


 

「ぐぉっ!?」



「ひゃっ!?」



「ムフフフ……」



 (カエデ)黒音(クロネ)が、突然目の前に迫り来る『世界』に吸い込まれるようにして、驚きの声を上げた。

 ピピ郎には、余裕があるようだ。


 私たちより、レベルが高いのかな……。



「うっ……!!」



 私だって、流石に一瞬目を閉じてしまい、声が出た。


 『世界』に吸い込まれて突然、──空の上のような場所へと放り出された。



「ウオオォォッ……!!」



 私たちは空から落下しながら、(カエデ)だけが大絶叫している。

 

 それは、そうだ。

 (カエデ)は、死んだコトが無い。


 『(アレ)』になった私と黒音(クロネ)とピピ郎には『死の体験』が、ある。


 よくは、覚えていないけど、(タマシイ)が身体から抜け出る感覚は──この『世界』と切り離されてしまったような寂しさがある……。

 

 目の前に見える『世界』には触れるコトさえ出来ずに、浮遊し彷徨う私たち。

 『(アレ)』な存在。

 私は、特異(レア)能力(チカラ)で、少しだけ触れるコトが、出来るけれども……。



(カエデ)!! 落ち着いて!! (カエデ)も今は『(タマシイ)』だけの状態だから、大丈夫だよ!! 落ちても死なない!!」



「ウオオォォッ……!!」



 ダメだ……。聴こえて無い。


 (カエデ)の耳には届かない。


 『死』の恐怖で、(カエデ)は失神しそうになってる……。


 『(タマシイ)』は、個人の想いを反映する。


 つまり、(カエデ)が「空から落ちている」と認識すれば、(タマシイ)の状態が反映され、落ち続ける。


 私と黒音(クロネ)とピピ郎は、(カエデ)とは違って、(カエデ)に合わせて飛んでいる──落下している感じ。


 私たちは、既に『(タマシイ)』だけの状態になってて、『死なない』コトを知ってるから。



「────」



 既に、(カエデ)は、失神して……コト切れているようだ。


 けど、(カエデ)は、死んではいないんだけれども……。



(ダン……!!)



(フワ……)



 地面ような場所に打ちつけられたように、(カエデ)の身体? (タマシイ)となった(カエデ)の『幽体』が、のびている。

 けど、(カエデ)の見た目は、傷ひとつ付いて無いんだけれども……。


 私と黒音(クロネ)とピピ郎は、(カエデ)とは違って、「フワッ……」と、華麗に着地した。

 着地と同時に、私たちの足もとから、空白の『世界』が『色づき』始める……。



「んー……。のびてるねー。(カエデ)くん。大丈夫かな……? いつ、目覚めるんだろ?」



「フフフ……。我が主、(カエデ)くんのコト。その内、必ずや目覚めますとも」



 (カエデ)が目覚めるまでの時間を、少しだけ待つ私と黒音(クロネ)とピピ郎……。


 ちなみに(カエデ)は、お爺ちゃんの留守中の代理で、お寺の仕事をスーツ姿でこなしてたから、そのまんまスーツ姿。


 私と黒音(クロネ)も、秘書課主任秘書として仕事してたから、そのまんまスーツ姿。いつものタイトなスタイル。

 

 ピチピチしてて、動きづらいから、別の格好イメージして服装変化(イメチェン)しても良いんだけど。

 ま、それも、イメージか……。

 動きづらさも、ただのイメージってだけで。


 吸血鬼(ヴァンパイア)なピピ郎は、黒ズボンに大きく胸の開いた白カッターシャツ。

 いかにもって感じで、赤い薔薇が似合いそうだ。

 風に(なび)く金色の長い髪をピピ郎が、掻き上げている。


 黒音(クロネ)は、何処から出したのか、右手にコスメなメイク道具を持ち、コンパクトの鏡を見ている。



黒音(クロネ)? それ、何処から出したの?」



「あ、コレ? んー……? なんか、勝手に出た」



 どう言うコトだろう?


 現実世界(リアル)じゃ、そんなの勝手に出て来なかったのに?

 どうゆうコト?



「フフフ……。ここ、『巨大画面(オンラインゲーム)』の中では、現実世界(リアル)とは違って、イメージ化したモノが出せるようですねー……。フフフ。ただし、具現化出来るのは、あくまでも愛着のあるモノに限られているようですが」



 ピピ郎が、私にそう言うと……。

 ピピ郎の左手から絵筆が出た。



「ま、画材道具は、戦闘には役に立たないですがね? ムフフ……」



 とか言いながら、「サラサラ」とピピ郎が、絵筆で魔方陣のようなモノを(カエデ)に向けて描く。



「少々、お時間が押してますので、そろそろ(カエデ)くんには目覚めてもらいましょう……」



 ピピ郎が、絵筆で魔方陣のようなモノを描き終える。



「あ、それ。私も、やりたかったヤツ? ピピ郎と私って、職業(ジョブ)? かぶってるよねー。おんなじ、魔導師(ウィザード)なのかな?」



 そうだ……。

 この世界は、『巨大画面(オンラインゲーム)』の中で。

 『職業(ジョブ)』ってのが、存在してる。

 私は、『戦士(ウォリアー)』? だったっけ?



黒音(クロネ)さんは、魔導師(ウィザード)の中でも、詠唱士(アリア)ですよ。言の葉に想いをのせて術を発動させますから。レベルやランクが上がれば、さまざまなコトが出来ますよ? 召喚とか? ムフフ……。お好きでしょ?」



 ピピ郎が「ニヤリ」と笑うと、黒音(クロネ)満更(まんざら)でも無い様子で、妖しい瞳を「キラリ」と光らせて微笑む……。



「じゃあ、ピピ郎? アンタは、何なの?」



 黒音(クロネ)が、ピピ郎に聴き返す。



「フフフ……。私は、芸術家(アーティスト)ですよ? あくまでも。光と闇の幻術師(イリュージョニスト)とでも今は言っておきましょうかね?」



 

 




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― 新着の感想 ―
[一言] 落ちる時みんなと手ぇ繋いでたら少しは恐怖薄れたかもなのにねぇ楓君(;'∀')
[良い点] まるでゲームのような展開になってきましたね(*^^*) どんな特訓になるのか楽しみです☆彡
[良い点] あらまぁ、楓くん失神しちゃいましたか。 空から落下すりゃ、そりゃそうなりますか~… そっか、楓くんのまわりの方々は霊的なもの… みんなイキイキしててすっかり忘れてました(´▽`)(笑)
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