いざっ……!!
─楓視点─
(ようこそ……。神霊世界へ──)
『巨大画面』から機械音声なのだろうか?
機械のような? 声のような、音が聴こえる……。
俺は、さっきから会長に言われたとおりに、座禅を組み……瞑想しているが、全然上手く行かない。
俺が、座禅を組みながら、薄っすら目を開けて視ると──
先に『霊的接続』され、『巨大画面』の中に入った夢葉と黒音ちゃんとイケメン吸血鬼なピピ郎が『コンピュータグラフィック化』され、退屈そうに待っている……。
『巨大画面』の真っ白い画面の中に浮かぶ、夢葉と黒音ちゃんと、ピピ郎──
「おーい? まだー? 楓ー?」
「急かしちゃ、楓くんに悪いよ? 夢葉?」
「フフフ……。我が主、楓くんの頑張りを、じっくりコトコト待ちましょうか……? 煮込まれたスープのように……」
夢葉、黒音ちゃん、ピピ郎のそれぞれの声が、再び目を閉じた俺の耳もとに聴こえて来る……。
三人は、俺とは違い、『霊体』だからか──すんなりと入れたようだ。
だが、しかし……。
俺は、全然、さっきから上手く『巨大画面』の中に入れない。
会長が、「ピピピ……」と、俺たち冒険者の魂を手動選択して……『霊的接続』しているのに。
(やはり、霊感0(ゼロ)の俺には、無理なのか……?)
俺だけが、すんなりと『巨大画面』の中に入れずに、時間だけが過ぎ去る……。
「ふーむ。難しいかの……?」
会長が、そう言って、俺の顔の前へと手を広げて差し伸べた。
「『幽魂乖離』……」
会長が、そう言ったかと思うと……。
俺は、座禅を組みながらも「ウトウト」と、眠ってしまった。
(楓くんや……、楓くん……)
会長の声が聴こえた。
(こっちじゃ……)
会長の声の方へと進もうとする俺。
どうやら、俺は、『幽体離脱』しているらしい……。
フワフワと、真っ白い世界を彷徨う──
──すると、
(フォン……)
何かの音がした。
(『巨大画面』の中に入れたのか?)
真っ白い空間に浮かぶ、写真のように切り抜かれた四角い画面のような世界──
(ここは、何処だ……?)
幾つも「クルクル」と回転しては『四角い世界』が、無数に浮かんでいる──そんな部屋に、俺は辿り着いた。
「楓ー! ヤッホー!!」
「楓くん、お疲れー!!」
「フフフ……。待っていましたとも。友だけに。いえ! 我が主、楓くん!!」
部屋の中心部まで行くと、既に辿り着いていた夢葉と黒音ちゃんとイケメン吸血鬼なピピ郎が、それぞれ俺に手を振り、待っていてくれた。
みんな、宙に浮いている……。
俺でさえも……。
どうやら、ここが、入り口のようだ。
『巨大画面』内のメインメニュー画面とでも言うのだろうか?
俺たちは立体だが、目の前には幾つもの無数の写真のような『四角い二次元的世界』が、円形を成して俺たちを筒状に丸く囲んでいる。
(行き先は、どちらですか──?)
機械音声の音のような声……。
魂の言霊とでも言うのだろうか、機械音声の声は機械のような音に聴こえたが、身体の中心部が震えるようにして響いたような気がした。
「行き先って、言われても……ねぇ?」
黒音ちゃんが、俺へと振り向き、色っぽく右手を頬に当てて首をかしげて言う。
黒音ちゃんの両胸が「たゆん─」と揺れる。
小悪魔的な黒音ちゃんの瞳が、俺の目を「ジッ……」と見つめている。
黒音ちゃん的には、俺と一緒なら行き先なんて何処でも良い……。
憑いてイクから、俺に決めて欲しい……。
そんなトコだろうか?
「んー……。そりゃまぁ、決まってるでしょ?」
夢葉が、両手を背中の後ろで組んで「エヘッ」と笑い……胸を「たゆん」と揺らして、俺へと熱い視線を送る。
俺は、夢葉に「ニヘッ」と笑顔を返し、幽体離脱しているのに、脇汗を感じた……。
夢葉の胸の「たゆん」とした揺れ具合に、脇汗を感じたのでは無い。
夢葉の気持ちに、脇汗を感じたのだ……。
──腕試しシたいのだ。夢葉は。
夢葉の視線は、黒音ちゃんと比べると、色っぽさが無い。
多分、夢葉は、イケメン吸血鬼なピピ郎との一戦で、疼いてしまったのだ……。
早くもう一度、誰かと闘いたい……と。
「フフフ……。では、私が行き先を選んでもヨロシイかな? 楓くん……?」
俺が、夢葉に脇汗を感じていると──
イケメン吸血鬼なピピ郎が、不敵な笑みを浮かべながら、俺へと尋ねた……。
吸血鬼なピピ郎の牙が、「キラリ」と光る……。
かなり、ピピ郎本人も「吸血鬼」であるという自分自身の姿に、強いこだわりを持っているらしい。
「行き先に、何か考えがあるのか? ピピ郎……?」
俺は、ピピ郎の考えているコトが、とても気になっている。
チームのムードメーカー的存在として、早くも頭角を現しつつあるピピ郎……。
この度の『浄霊指令』は、『討伐浄霊作戦』……。
チームワークは基より、それぞれのチーム同士の連携というものが、重要になって来ると思われる。
ま、例によって、点でバラバラの単独行動に走るヤツも、やっぱり居るんだろうけど……。
俺たちのチームのムードメーカー的存在が、ピピ郎なら……。
俺は、心の中で、ピピ郎の「行き先」に従ってみるコトにした──




